アカウント名:
パスワード:
地球温暖化については中学の理科や高校の社会でしか習っていませんでした。そこでは「二酸化炭素には温室効果がある→人間活動により二酸化炭素が大量に排出される→地球の気温が上昇する」という非常に簡単な説明しかありませんでした。で、アメリカ副大統領のゴア氏の不都合な真実を読んで逆に「気温が上昇する→大気中の二酸化炭素が増える」というこれまた大雑把な理屈、すなわち件の公開されている書籍のp35(pdfでは47枚目)にある懐疑論者の反論と同じことを考えていました。で、そこから先の地球温暖化支持者の反論がいまいち理解できない。門外漢で、しかも懐疑論者寄りの自分
>気温が上昇する→大気中の二酸化炭素が増える
まず前提として,緩やかな気温の変動に関してはこれは正しい事です.ですので,何らかの原因で気温が上がると大気中の二酸化炭素が増え,逆に二酸化炭素が増えると気温が上がると考えられています.(正のフィードバック効果.ただし当然無限に膨らむわけではない)ただ,後述するように急速に二酸化炭素が増えているためちょっと状況は違います.
さて,ではまず二酸化炭素の増加が人類の活動由来である,という点に関して.ここで,人間の排出している二酸化炭素量(要は使った化石燃料の炭素換算)は既知,大気中の二酸化炭素量は測定できる,海水中の二酸化炭素量はまあそれなりに測定できる,人間が土地の利用方法を変えた事による効果(森を切り開くとか,逆に緑化するとか)は統計データとモデルにより推計(ただし総量でも人間の排出量の1/5-1/9程度なので第一近似的にはまあ無視できるかも),火山の噴火による突発的な増加はモニタリングしているのでさっ引ける,というデータから計算すると,おおざっぱに言って大気中および海水中での二酸化炭素の増加量(後者は増えてはいるけれどもそれほど多くはない)が人間の排出量におおよそ一致するので,まあ今増えてる二酸化炭素は人間が出したのでほぼ間違いないね,というのは(諸国の反温暖仮説側の人の間でも)現在ではほぼ一致した見解となっています.#ただし,5-10%ぐらいの二酸化炭素が行方不明で,もしかしたら見落としている吸収機構があるのではないか,とは言われています.
この際,単純な議論では温度の上昇によって海洋からは二酸化炭素が放出されると成りそうなものですが,実は現状海洋表層の二酸化炭素濃度は,温度の上昇により二酸化炭素が放出される割合よりも,大気中の二酸化炭素濃度が急速に増えているため逆に海洋中に溶け込んでいく方が多く,二酸化炭素濃度の測定値は緩やかな増加を示しています.#ただし,海洋中の二酸化炭素濃度は揺らぎが大きいのではっきりした増加量は議論しにくい.#定性的には吸収されてそうだが,その定量面には注意が必要.
少なくとも,大気中の二酸化炭素濃度の増加を説明できるほど海中の二酸化炭素が減っていませんので(むしろどちらかと言えば増えている),前述のポジティブフィードバックに伴って二酸化炭素が増えた,というわけではないのはほぼ観測事実となります.#人類に未知の凄まじい量の炭素源があるなら話は別ですが.
また,少なくとも数十万年前までの二酸化炭素濃度の変位を見る限り,現在観測されているような急速な増大は観測されていませんし(タイムスケールで2桁ぐらい違う),ここ数十万年ぐらいでは今現在はぶっちぎりで高濃度ですので,自然現象によるとはなかなか考えにくいという点も考慮されています.
でもって,具体的な議論になると定量的な議論が必要になるのですが,そこまで踏み込まずに,なぜ今二酸化炭素が原因であるかと言われているかという傍証をいくつか挙げますと,
0. 前提:全球的な気温は上がっている.これは観測事実.何故気温が上がっているのか,を説明する必要がある.
1. 二酸化炭素を含めたモデル計算からの定量的見積もり(一番重要ではありますが,今回省略)
2. 他に気温が上がる理由がないのに気温が上がっている これも重要なところで,10年ほど前あたりでは,「太陽が活動期に入っていくところだから気温が上がっているんだ」という説が唱えられました.当時の段階では確かに考慮に値する説でしたが,その後ご存じのように太陽活動の周期的な減衰期(今が11年周期の底のあたりですので)に入っても気温が上がり続けたためにこの説明は退けられました.今は太陽光量の変動程度ではそれほど大きな気温変動にならないという計算が出来るようになっていますが,計算なので今回は省略. もちろん,人類に未知の加熱機構がある可能性は否定できませんが,次の観測事実との整合性が問題になります.
3. 高層大気における気温の低下 ゾンデ上げての高層大気の研究が行われていますが,地表面での気温が上がっているのに対し,高層大気では全体的に寒冷化が進んでいます.これは単なる太陽などの熱源の強化や地表での何らかの熱源の存在では説明できず,地表面と高層大気との間で熱抵抗が増大している(中層部での断熱性が増している)ことを意味しています.(ほぼ観測事実そのまま)
4. 人工衛星からの観測における二酸化炭素等の振動領域での吸収線の増大 人工衛星からのスペクトル分析を30年ほど前のものと比較(数点で感度補正は行っている)した結果,二酸化炭素やメタンなどの吸収線の増大が見られます.これは地表面等の低層から発する赤外線の一部が二酸化炭素等によって散乱される効果が増加していることを意味しています.(観測事実)
とまあ,簡単なところはこんな感じで,まとめると,
二酸化炭素の増加に関しては,・今増えている分は人間が出した分でほぼ合いそう・過去これだけ急速に増えたことはなさそう・海中の二酸化炭素も増えてる(か,せいぜい横ばい)だから海から出てきたわけではない・これだけ急速に二酸化炭素を増やす機構は現時点で考えつかないから,まあ多分人間が出してんだろう(ここまでは二酸化炭素温暖化説の否定者も含めほぼ合意がとれている)
気温上昇に関しては・気温は上がってる(やたら多数の点での観測事実なんで否定も何もない)・高層大気は冷えているらしい(かなり確実な実験事実),から断熱性は上がってそう・とりあえず他に気温を上げる機構は考えつかないから,まあ温室効果は強くなってるんじゃない,という感じで.
では,その温室効果の増大に占める二酸化炭素の効果は?(つまり,二酸化炭素がどのぐらい増えたらどのぐらい温度が上がるのか?)に関しては喧々囂々,未だ統一見解は得られず,という感じでしょうか.どの程度影響が出るかもよくわからんし,気温が上がった際の影響も地域ごとに違うし,どこまで減らせばいいかもよくわからんし,という状況ですので(ある程度は推定してますが,エラーバーが大きい),対処に関してはなかなか意見の統一がとれない.(ある意味当然)
>排出権取引に使われる金を総動員して宇宙に日傘を打ち上げたら解決するんじゃないの?と思う。
似たような案を出して検討している人はいます.ただ,・大規模な打ち上げにはとんでもなくコストがかかる・あまり大規模にやってやり過ぎた場合にすぐ戻せる保証がない (逆方向に大惨事になる可能性がある)・気候関連で問題が起きたときに,(実際には関連がなくても)責任を問われるなどの点から,現時点では実現の可能性は相当低そうです.
件の文書の11ページに「ヒートアイランド効果は風の強い夜には弱いにもかかわらず、温度上昇量は風の強い夜と風の弱い夜との間に大きな違いがないことから、温度上昇へのヒートアイランドの影響は小さいと評価した。」とありますが、国土交通省国土技術政策総合研究所から こんな文書 [nilim.go.jp]が出ていて、2-2-1熱帯夜の増加に「最低気温が3.8度上昇している」とあるんですよね。他にも4ページを見ると解りますが、大きな都市ほど、最低気温が上昇しているという事実があるわけです。さらに、昔から観測している地点は大都市が多いことから、ヒートアイランド現象による最低気温が上昇による平均気温の上昇への影響が無視できるほど小さいとはいえない
> ・高層大気は冷えているらしい(かなり確実な実験事実),から断熱性は上がってそう
断熱性が上がる、という言い方だと、太陽が地表を温める効果も少なくなりそうな気がしますが、それはまた別の話なんでしょうか?
>断熱性が上がる、という言い方だと、太陽が地表を温める効果も少なくなりそうな気がしますが、
確かに,放射に関するものなのでただ単に「断熱」というとご指摘の通り変な言い方かもしれませんが,まあ,地上からの放射の波長域での放射断熱性の増大,ということで.
注釈:太陽からの放射はおよそ6000Kの放射で,地表面からの放射は300K程度ですので,放射強度分布(各波長の光でどのぐらいのエネルギーが出て行くかという分布)では大きな違いが現れます.6000Kではおよそ500nmあたりにピークをもって,300Kですと10μmあたりにピークがきます.そのため,数百nmあたりの光を選択的に散乱するものが増えれば入射光は減少する(入射側の断熱性が上がる)一方放射で逃げていくのはあまり阻害せず,逆に数-数十μmあたりの光を選択的に散乱するものが増えれば入射光に関してはほぼ素通りする一方放射側を強く散乱するため熱が逃げていく方に関しての断熱性が上がります.
より多くのコメントがこの議論にあるかもしれませんが、JavaScriptが有効ではない環境を使用している場合、クラシックなコメントシステム(D1)に設定を変更する必要があります。
日々是ハック也 -- あるハードコアバイナリアン
門外漢から見ると極論しか導けない? (スコア:1)
地球温暖化については中学の理科や高校の社会でしか習っていませんでした。
そこでは「二酸化炭素には温室効果がある→人間活動により二酸化炭素が大量に排出される→地球の気温が上昇する」
という非常に簡単な説明しかありませんでした。
で、アメリカ副大統領のゴア氏の不都合な真実を読んで逆に「気温が上昇する→大気中の二酸化炭素が増える」というこれまた大雑把な理屈、
すなわち件の公開されている書籍のp35(pdfでは47枚目)にある懐疑論者の反論と同じことを考えていました。
で、そこから先の地球温暖化支持者の反論がいまいち理解できない。
門外漢で、しかも懐疑論者寄りの自分
Re:門外漢から見ると極論しか導けない? (スコア:4, 参考になる)
>気温が上昇する→大気中の二酸化炭素が増える
まず前提として,緩やかな気温の変動に関してはこれは正しい事です.ですので,何らかの原因で気温が上がると大気中の二酸化炭素が増え,逆に二酸化炭素が増えると気温が上がると考えられています.(正のフィードバック効果.ただし当然無限に膨らむわけではない)
ただ,後述するように急速に二酸化炭素が増えているためちょっと状況は違います.
さて,ではまず二酸化炭素の増加が人類の活動由来である,という点に関して.
ここで,人間の排出している二酸化炭素量(要は使った化石燃料の炭素換算)は既知,大気中の二酸化炭素量は測定できる,海水中の二酸化炭素量はまあそれなりに測定できる,人間が土地の利用方法を変えた事による効果(森を切り開くとか,逆に緑化するとか)は統計データとモデルにより推計(ただし総量でも人間の排出量の1/5-1/9程度なので第一近似的にはまあ無視できるかも),火山の噴火による突発的な増加はモニタリングしているのでさっ引ける,というデータから計算すると,おおざっぱに言って大気中および海水中での二酸化炭素の増加量(後者は増えてはいるけれどもそれほど多くはない)が人間の排出量におおよそ一致するので,まあ今増えてる二酸化炭素は人間が出したのでほぼ間違いないね,というのは(諸国の反温暖仮説側の人の間でも)現在ではほぼ一致した見解となっています.
#ただし,5-10%ぐらいの二酸化炭素が行方不明で,もしかしたら見落としている吸収機構があるのではないか,とは言われています.
この際,単純な議論では温度の上昇によって海洋からは二酸化炭素が放出されると成りそうなものですが,実は現状海洋表層の二酸化炭素濃度は,温度の上昇により二酸化炭素が放出される割合よりも,大気中の二酸化炭素濃度が急速に増えているため逆に海洋中に溶け込んでいく方が多く,二酸化炭素濃度の測定値は緩やかな増加を示しています.
#ただし,海洋中の二酸化炭素濃度は揺らぎが大きいのではっきりした増加量は議論しにくい.
#定性的には吸収されてそうだが,その定量面には注意が必要.
少なくとも,大気中の二酸化炭素濃度の増加を説明できるほど海中の二酸化炭素が減っていませんので(むしろどちらかと言えば増えている),前述のポジティブフィードバックに伴って二酸化炭素が増えた,というわけではないのはほぼ観測事実となります.
#人類に未知の凄まじい量の炭素源があるなら話は別ですが.
また,少なくとも数十万年前までの二酸化炭素濃度の変位を見る限り,現在観測されているような急速な増大は観測されていませんし(タイムスケールで2桁ぐらい違う),ここ数十万年ぐらいでは今現在はぶっちぎりで高濃度ですので,自然現象によるとはなかなか考えにくいという点も考慮されています.
でもって,具体的な議論になると定量的な議論が必要になるのですが,そこまで踏み込まずに,なぜ今二酸化炭素が原因であるかと言われているかという傍証をいくつか挙げますと,
0. 前提:全球的な気温は上がっている.これは観測事実.何故気温が上がっているのか,を説明する必要がある.
1. 二酸化炭素を含めたモデル計算からの定量的見積もり(一番重要ではありますが,今回省略)
2. 他に気温が上がる理由がないのに気温が上がっている
これも重要なところで,10年ほど前あたりでは,「太陽が活動期に入っていくところだから気温が上がっているんだ」という説が唱えられました.当時の段階では確かに考慮に値する説でしたが,その後ご存じのように太陽活動の周期的な減衰期(今が11年周期の底のあたりですので)に入っても気温が上がり続けたためにこの説明は退けられました.今は太陽光量の変動程度ではそれほど大きな気温変動にならないという計算が出来るようになっていますが,計算なので今回は省略.
もちろん,人類に未知の加熱機構がある可能性は否定できませんが,次の観測事実との整合性が問題になります.
3. 高層大気における気温の低下
ゾンデ上げての高層大気の研究が行われていますが,地表面での気温が上がっているのに対し,高層大気では全体的に寒冷化が進んでいます.これは単なる太陽などの熱源の強化や地表での何らかの熱源の存在では説明できず,地表面と高層大気との間で熱抵抗が増大している(中層部での断熱性が増している)ことを意味しています.(ほぼ観測事実そのまま)
4. 人工衛星からの観測における二酸化炭素等の振動領域での吸収線の増大
人工衛星からのスペクトル分析を30年ほど前のものと比較(数点で感度補正は行っている)した結果,二酸化炭素やメタンなどの吸収線の増大が見られます.これは地表面等の低層から発する赤外線の一部が二酸化炭素等によって散乱される効果が増加していることを意味しています.(観測事実)
とまあ,簡単なところはこんな感じで,まとめると,
二酸化炭素の増加に関しては,
・今増えている分は人間が出した分でほぼ合いそう
・過去これだけ急速に増えたことはなさそう
・海中の二酸化炭素も増えてる(か,せいぜい横ばい)だから海から出てきたわけではない
・これだけ急速に二酸化炭素を増やす機構は現時点で考えつかない
から,まあ多分人間が出してんだろう(ここまでは二酸化炭素温暖化説の否定者も含めほぼ合意がとれている)
気温上昇に関しては
・気温は上がってる(やたら多数の点での観測事実なんで否定も何もない)
・高層大気は冷えているらしい(かなり確実な実験事実),から断熱性は上がってそう
・とりあえず他に気温を上げる機構は考えつかない
から,まあ温室効果は強くなってるんじゃない,という感じで.
では,その温室効果の増大に占める二酸化炭素の効果は?(つまり,二酸化炭素がどのぐらい増えたらどのぐらい温度が上がるのか?)に関しては喧々囂々,未だ統一見解は得られず,という感じでしょうか.
どの程度影響が出るかもよくわからんし,気温が上がった際の影響も地域ごとに違うし,どこまで減らせばいいかもよくわからんし,という状況ですので(ある程度は推定してますが,エラーバーが大きい),対処に関してはなかなか意見の統一がとれない.(ある意味当然)
>排出権取引に使われる金を総動員して宇宙に日傘を打ち上げたら解決するんじゃないの?と思う。
似たような案を出して検討している人はいます.
ただ,
・大規模な打ち上げにはとんでもなくコストがかかる
・あまり大規模にやってやり過ぎた場合にすぐ戻せる保証がない
(逆方向に大惨事になる可能性がある)
・気候関連で問題が起きたときに,(実際には関連がなくても)責任を問われる
などの点から,現時点では実現の可能性は相当低そうです.
Re: (スコア:0)
件の文書の11ページに「ヒートアイランド効果は風の強い夜には弱いにもかかわらず、温度上昇量は風の強い夜と風の弱い夜との間に大きな違いがないことから、温度上昇へのヒートアイランドの影響は小さいと評価した。」とありますが、国土交通省国土技術政策総合研究所から こんな文書 [nilim.go.jp]が出ていて、2-2-1熱帯夜の増加に「最低気温が3.8度上昇している」とあるんですよね。他にも4ページを見ると解りますが、大きな都市ほど、最低気温が上昇しているという事実があるわけです。さらに、昔から観測している地点は大都市が多いことから、ヒートアイランド現象による最低気温が上昇による平均気温の上昇への影響が無視できるほど小さいとはいえない
Re: (スコア:0)
> ・高層大気は冷えているらしい(かなり確実な実験事実),から断熱性は上がってそう
断熱性が上がる、という言い方だと、太陽が地表を温める効果も少なくなりそうな気がしますが、
それはまた別の話なんでしょうか?
Re:門外漢から見ると極論しか導けない? (スコア:1)
>断熱性が上がる、という言い方だと、太陽が地表を温める効果も少なくなりそうな気がしますが、
確かに,放射に関するものなのでただ単に「断熱」というとご指摘の通り変な言い方かもしれませんが,まあ,地上からの放射の波長域での放射断熱性の増大,ということで.
注釈:
太陽からの放射はおよそ6000Kの放射で,地表面からの放射は300K程度ですので,放射強度分布(各波長の光でどのぐらいのエネルギーが出て行くかという分布)では大きな違いが現れます.6000Kではおよそ500nmあたりにピークをもって,300Kですと10μmあたりにピークがきます.
そのため,数百nmあたりの光を選択的に散乱するものが増えれば入射光は減少する(入射側の断熱性が上がる)一方放射で逃げていくのはあまり阻害せず,逆に数-数十μmあたりの光を選択的に散乱するものが増えれば入射光に関してはほぼ素通りする一方放射側を強く散乱するため熱が逃げていく方に関しての断熱性が上がります.
Re: (スコア:0)