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人から人へ感染する新型のブタインフルエンザというのは、最早ブタインフルエンザではなくて新型インフルエンザと呼んで差し支えないような気もするが、
区別するのは何かの理由があるのか?
>スペイン風邪もH1N1、Aソ連もH1N1これは、大流行したときの発生源・・・と思われる場所に由来するものですね。
HとNは、ウィルス外部の蛋白質結合突起の型を示しています。でもDNA本体自体に関する情報は、考慮していません。こうのため、H1N1でも複数の種が、存在します。
抗体から見た場合、この種レベルの違いでも別抗原としてみえるため、同一抗体では、対応できません。
このため通常は、”どこそこ”の”なになに”株・・・会社じゃあありませんよ^^;という形で、区別されます。
ちなみに、インフルエンザワクチンの毎年摂取が推奨されているのは、夏の段階で、鳥が感染しているウィルスから、トリーヒトーヒトで感染する可能性のあるウィルス株を取り出したところ、地方地方でも変異率が高く、前年の抗体が、効かないことが多いからだそうです。
という前提で考えると、流行規模としては、(1)免疫を持っている人がいない、(2)ワクチンの事前接種がない、ことから、例年の季節性インフルエンザのうち規模が大きな年よりも大きくなり、(3) 異なる亜型のアウトブレイクと条件は同じか、むしろよい、ことから、最大でアジアかぜや香港かぜの出現時程度には収まるのではないか、と予想してます。実際には拡散防止の措置がされるだろうことから、もう少し小さくなる可能性もあります。 ただし、(2)のワクチンの事前接種が見込めないことから、ハイリスク群についての重症化予防ができないため、感染者数の割に死亡率は上昇する可能性は残ってます(ただし今回のは若年者死亡率が高いという点で、予想がつきにくいです)。日本では、医療従事者の次に、ハイリスク群へのタミフルの予防投与に踏み切る可能性もありますから、世界的に見ると意外と死亡率の上昇は低めに収まるかもしれません。 総合的に考えて、日本全体に「一気に」広まったとして、感染者数・死亡者数がそれぞれ例年の1-5倍くらいには収まるかなぁ、と。それでも大変なのは間違いないですが。……まぁ勿体つけて書いた割に、この程度の予想は他にも多くの人がしていると思いますが、まぁいろいろ理屈を考えても今予想できるのはその程度、ということで。 で、今できるいちばん効果的な対策は「国内での大流行までの時間を出来るだけ稼ぐこと」。これに尽きます。時間稼ぎしている間に、ウイルスの性状についての研究を進め、ワクチンを開発するなどの対策を練ることが出来れば、被害規模はこの予想よりも小さくなるでしょうから。「症状が軽いうちに罹ろう」という人が増えてしまうと、流行をコントロールすることができなくなるし、逆に却って強毒型の発生リスク自体を上げてしまうことになりかねません。その上結局、今罹ったとしても強毒型に罹らないという保証はないし、それよりはいずれ作られるワクチンに期待する方がまだ安全だろうとも言えますから。
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アレゲはアレゲを呼ぶ -- ある傍観者
ヒトのインフルエンザとは何か違いがあるのか。 (スコア:2, 興味深い)
人から人へ感染する新型のブタインフルエンザというのは、最早ブタインフルエンザではなくて新型インフルエンザと呼んで差し支えないような気もするが、
区別するのは何かの理由があるのか?
Re: (スコア:1)
元々ブタ間のウィルスが、ヒト間でも流行するだけというのであればヒト間で流行する「ブタインフルエンザ」なんじゃないでしょうか?
ちなみに今回のインフルエンザウィルス(H1N1 A型)も、新型というわけではないようです。
スペイン風邪もH1N1、Aソ連もH1N1。
# 専門家ではないので予想です。
# yes, fly. no, fry.
Re: (スコア:4, 参考になる)
>スペイン風邪もH1N1、Aソ連もH1N1
これは、大流行したときの発生源・・・と思われる場所に由来するものですね。
HとNは、ウィルス外部の蛋白質結合突起の型を示しています。
でもDNA本体自体に関する情報は、考慮していません。
こうのため、H1N1でも複数の種が、存在します。
抗体から見た場合、この種レベルの違いでも別抗原としてみえるため、同一抗体
では、対応できません。
このため通常は、”どこそこ”の”なになに”株・・・会社じゃあありませんよ^^;
という形で、区別されます。
ちなみに、インフルエンザワクチンの毎年摂取が推奨されているのは、
夏の段階で、鳥が感染しているウィルスから、トリーヒトーヒトで感染する可能性のある
ウィルス株を取り出したところ、地方地方でも変異率が高く、前年の抗体が、効かない
ことが多いからだそうです。
Re:ヒトのインフルエンザとは何か違いがあるのか。 (スコア:3, 参考になる)
>これは、大流行したときの発生源・・・と思われる場所に由来するものですね。
これまた細かい指摘ですが、厳密に言うと「スペインかぜ」は1918〜1956に流行したH1N1の総称で、ソ連かぜ(A/ソ連)は1977年以降、現在まで流行しているH1N1の総称です。スペインかぜは、1957年にアジアかぜ(H2N2)が出現した後に一旦ヒトの世界からは消失し、そのアジアかぜも1968年に香港かぜ(H3N2)が出現すると姿を消しました。そういう風に、インフルエンザでは大変異による新型が発生すると、それまでの流行型は姿を消す、と考えられてたのが、1977年にソ連かぜ(H1N1)が出現したときには、香港かぜは姿を消すことなく、それ以降は(現在も)H1N1とH3N2の両方の同時流行が起きる、という状況なわけです。
現在流行しているインフルエンザウイルスの株は、それぞれ最初の分離地を付けて、例えば「A/ブリスベン/59/2007」みたいに命名されているのですが、これも元を正すと言うと「ソ連かぜに由来するウイルス株」ということができます。「スペインかぜ」「ソ連かぜ」というのは、そういうちょっと特殊な名称でもあったりするのです。
じゃあ、このスペインかぜとソ連かぜは同じH1N1ですが、別物なのかというと…おそらくは同じ系統に由来するものだと考えられてます。実は本当の意味での「スペインかぜのウイルス」というのはごく最近まで分離されてなかった…というのも当然で、スペインかぜの発生当時にはまだウイルスという概念すら広まってはおらず、当然その分離法なども確立されていなかったので、実際に分離されたのは1933年のワシントン株 (A/ワシントン/1/1933) が最初だったからです。これが「保存された最古のインフルエンザウイルス」であったのですが、それと最初のスペインかぜが同じものかどうかというのは証明できなかった。そして、その証明が近年、当時の患者の遺体から分離されたウイルスとの比較でようやく成功した、ということです。一方、ソ連かぜについては姿を消した当時の株と近いことが判ってまして…おそらくはヒトの世界ではH2N2に駆逐されたH1N1が、何らかの形で自然界に「保存」されており、それが何かのきっかけで再びヒトの世界に現れたものだと考えられてます。
Re: (スコア:0)
Re:ヒトのインフルエンザとは何か違いがあるのか。 (スコア:1)
>1、現在広まりつつある豚インフルエンザの型がH1N1型、ソ連風邪、スペイン風邪もH1N1型。と言うことは現在のヒトは豚インフルエンザに対してある程度免疫を有していると言うことでしょうか?そのために病状が重篤化しにくいのではないでしょうか?
亜型が同じであっても、あるウイルス株によって誘導される免疫が、別のウイルス株の感染に対しても有効であるとは限りません。このコメント [srad.jp]で述べているように、同じH1N1の中でも、連続変異によるウイルス株ごとの小さな違いというのが存在します。「小さな違い」とは言っていますが、この違いは意外に馬鹿になりません。
毎年、秋〜冬になると(いわゆる季節性の)インフルエンザワクチンのことが話題に上がりますが、やがて流行期に入ると「今年のワクチンは外れた」とか「効きが悪い」とか聞いたこともあるかと思います。実は、インフルエンザワクチンはそのシーズンごとに流行するウイルス株を予測して作製されており、その予測が当たったかどうかで効き目が変わってきます。通常このワクチンは、「今年流行が予想されるA/ソ連(H1N1)系統」「今年流行が予想されるA/香港(H3N2)系統」「今年流行が予想されるB」をそれぞれ1株(多くても2株)、合計3〜5株程度を混合して用います。つまり型と亜型レベルで言うと、現在ヒトの世界で流行しているすべての型、亜型をカバーしているのですが、それでも当たり外れが出るわけです。
#例えばこの報告 [nih.go.jp]は、今年の初めに仙台で患者から分離されたウイルスに対しては、今年のワクチン株では効果が弱く、また昨年のワクチン株ではほとんど効果がない、ということを示唆してます。
このようにヒトの世界だけで流行しつづけてきた同じA/ソ連(H1N1)に由来するウイルス株の間でも、数年間でその程度の違いが出るわけです。これと比較すると、ブタの世界で少なくとも数年間は独自に変異を繰り返し、今年はじめてヒトの世界に入ってきたウイルスの方が違いは大きいだろうわけですから、これまでのA/ソ連の流行株に対する免疫が有効であるかどうか、その可能性は低いだろうな、と予測されるわけです。
#まぁあくまで理屈の上からの予測で、実際のところは「広まってみないと判らない」としか答えようはないのですけどね。
それから現行のインフルエンザワクチンについては、もともとインフルエンザウイルスの感染自体を抑制する効果はあまり期待できず、重症化の予防には有効性があるとされてます。つまり「流行株の予想がばっちり的中」したときに得られる効果が、「重症化しにくい」という、ある意味「その程度」が現在の医療の(というか、人類の)限界だということについては、知っておいていただければと…。
>2、また、もうひとつ質問なのですが、例えば、懸念されている鳥インフルエンザのワクチン(H5N1型)を作って接種したとすると、この後仮にH5N1型のインフルエンザが蔓延したとしても、ワクチンを打ってない人よりは重篤化しにくいのではないでしょうか?だとしたら、今のうちにワクチンを少しずつでも接種しておいたほうがいざと言う時にあわてる必要がないのではないでしょうか?
それが、いわゆる「プレパンデミックワクチン [nih.go.jp]」と呼ばれるもので、その開発が現在進行しています。
ただし、リンク先にも書かれているように、仮に将来パンデミックを起こしたとしても、上述のように、現在発生しているトリインフルエンザ A/H5N1に対する免疫が、そのときにヒトの世界で流行するA/H5N1に対して有効かどうかは、現時点では誰にもわかりません。「効果があるかもしれないんだったら、とっとと接種しといた方がいいんじゃないか」という考え方が出てくるのは自然なのですが、ワクチン接種にはメリットだけでなくデメリットが出てくる可能性もありまして。
特にインフルエンザの場合、1976年に米軍でブタインフルエンザが発生したとき、急遽ワクチンが作られ接種されたのですが、効果がなかったばかりか、副作用としてギラン・バレー症候群 [wikipedia.org]が多発したという苦い経験があります。なので、いきなり一般人に「効くかどうか判らず、副作用が出るかもしれないワクチン」を広く事前接種しようという動きに対してはブレーキをかけざるを得ません。少数の人でとりあえずの安全性を確かめておき、万一トリインフルエンザパンデミックが発生したときには、その新型ウイルスに対して有効な「パンデミックワクチン」が出来るまでの間を乗り切るために使用する、という形になるというわけです。
Re: (スコア:0)
Re:ヒトのインフルエンザとは何か違いがあるのか。 (スコア:1)
ここでどういう回答を期待されているのかは判るのだけど、一応私も科学者の端くれなので、まだよく判らないことを、さも確定事項であるかのように答えることはできません。まだ判らないことに対しては「判らない」と答えざるを得ないし、また期待されているものとは違う回答をせざるを得ません。ただ、それは決してパニックを引き起こそうという意図があるわけではないことは、ご理解いただきたく。
まず、スペインかぜとアジアかぜについてですが、元のコメント [srad.jp]に書いたように、この両者は現在存在しません。ソ連かぜは、スペインかぜが「復活」したものだと考えられていますが、スペインかぜとソ連かぜは別物として扱われます。現在までに流行しているインフルエンザは、ソ連かぜ(A/H1N1)、香港かぜ(A/H3N2)とB型の3種類に大別されます(C型インフルエンザというのもありますが、これは通常の風邪に近いものとして扱われます)。この3つに加えて、今回、新型のA型インフルエンザ(H1N1)が出現している、ということです。
では、現在の我々が獲得している通常のA/ソ連系統に対する免疫が、今回の新型インフルエンザに対して有効かどうかというと、現時点では「判らないが、おそらく可能性は低い」と答えざるを得ません。これは一つ前の回答の(1) [srad.jp]で述べた通りです。こればっかりは、たとえ何度繰り返し聞かれても「あなたの聞きたい(だろう、耳障りのいい)回答を与える」ことは、「現時点では」できないですね。
−−−
ただまぁ、こっから先は科学者としての立場ではなく、一切責任を持てない独り言として。
無責任な予想としては、ここ [srad.jp]で述べたような感じになります。
もう少し詳細に突っ込んで、現時点で判っている状況と理論だけで、それ以外に「予想のつかない因子」が存在しない、すなわち
という前提で考えると、流行規模としては、(1)免疫を持っている人がいない、(2)ワクチンの事前接種がない、ことから、例年の季節性インフルエンザのうち規模が大きな年よりも大きくなり、(3) 異なる亜型のアウトブレイクと条件は同じか、むしろよい、ことから、最大でアジアかぜや香港かぜの出現時程度には収まるのではないか、と予想してます。実際には拡散防止の措置がされるだろうことから、もう少し小さくなる可能性もあります。
ただし、(2)のワクチンの事前接種が見込めないことから、ハイリスク群についての重症化予防ができないため、感染者数の割に死亡率は上昇する可能性は残ってます(ただし今回のは若年者死亡率が高いという点で、予想がつきにくいです)。日本では、医療従事者の次に、ハイリスク群へのタミフルの予防投与に踏み切る可能性もありますから、世界的に見ると意外と死亡率の上昇は低めに収まるかもしれません。
総合的に考えて、日本全体に「一気に」広まったとして、感染者数・死亡者数がそれぞれ例年の1-5倍くらいには収まるかなぁ、と。それでも大変なのは間違いないですが。……まぁ勿体つけて書いた割に、この程度の予想は他にも多くの人がしていると思いますが、まぁいろいろ理屈を考えても今予想できるのはその程度、ということで。
で、今できるいちばん効果的な対策は「国内での大流行までの時間を出来るだけ稼ぐこと」。これに尽きます。時間稼ぎしている間に、ウイルスの性状についての研究を進め、ワクチンを開発するなどの対策を練ることが出来れば、被害規模はこの予想よりも小さくなるでしょうから。「症状が軽いうちに罹ろう」という人が増えてしまうと、流行をコントロールすることができなくなるし、逆に却って強毒型の発生リスク自体を上げてしまうことになりかねません。その上結局、今罹ったとしても強毒型に罹らないという保証はないし、それよりはいずれ作られるワクチンに期待する方がまだ安全だろうとも言えますから。
Re: (スコア:0)