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ものすごーく初歩的な質問だったらスマンなんで、3回にも分けて2段目使うの?1発でとまではいかんでも、1発目もうちょっと長くして、もう1発(計2発)でなんとかならないもん??
...とここまで書いてて、今回のやり方が一番早く#2923136の言う"効率の良いGTO"に向かえる気がしてきたでもなぁ、3回も吹かすのってものすごくリスキー...って思いながらニコ生見てた
打ち上げからそのまま噴射を続けるだけだと、軌道遷移のエネルギー効率が悪いです。
低高度の軌道から高高度の軌道に移るためのもっとも効率のよい方法は、
1. 楕円軌道の近地点で加速すると、近地点はそのままで、遠地点の高度がより高い、より扁平な楕円軌道に遷移する2. 楕円軌道の遠地点で加速すると、遠地点はそのままで、近地点の高度がより高い、より真円に近い楕円軌道に遷移する
という二つを組み合わせることです。(「1を何度か繰り返してから、2を何度か繰り返す」というやり方でも問題ありませんが、「1と2を交互に繰り返す」のは効率が悪くなります)あと、軌道傾斜角も0度に合わせる必要がありますが、楕円軌道の場合、遠地点ほど速度が低いですし、速度が低いほど進路変更が楽になりますので、上記の2とセットで、・楕円軌道の遠地点で、軌道傾斜角の調整噴射を行うことになります。
つまり、最初の打ち上げから考えると、0. 通常の1段・2段で、低高度の軌道に遷移する(パーキング軌道)1. パーキング軌道からの噴射で、遠地点が静止軌道までの高さの楕円軌道に遷移する(静止トランスファ軌道)2. 静止トランスファ軌道の遠地点での噴射で、傾斜角0の円軌道に遷移する(静止軌道)
という3段階になるわけです。今までのH2Aは、この0と1の2回噴射を行っていました。この従来のやりかたで2回目の噴射をより強力にしても、遠地点が静止軌道より高くなってしまうだけで何の意味もありません。
今回の29号機は、さらに2の遷移を2回にわけ、まずH2A第2段の3回目の噴射により「遠地点はそのままだけど近地点がより高く」「より傾斜角が0度に近い」ようなトランスファー軌道に衛星を送り込み、そこから衛星自身の噴射で静止軌道に遷移するようになったわけです。
ほほーなるほど!詳しい解説、ありがとうございましたお礼に一杯おごりたいところですが、精神的に...でご容赦ください
ホーマン遷移軌道 [wikipedia.org]が、エネルギー効率が最も良いという話ですが、他の軌道をとって軌道遷移をした場合、無駄になったエネルギーは何に変わるんでしょう?
噴射材の運動エネルギー。
同じ性能のロケットで考えるなら、噴射剤が持っていくエネルギーも運動量も同じではないの?
「船体の運動エネルギー増加分+推進剤の運動エネルギー増加分=ロケットエンジンが生み出すエネルギー」で一定になるのですが、その配分が変わってくるんですよ。
運動量保存の法則としては、同じ噴射をすれば、「速度の変化量」は同じです。でも、運動エネルギーは速度の2乗で聞いてくるので、より速度が速い時に加速した方が、運動エネルギーの増加量は多くなるんです。
あるいは、分かりやすい説明として、(推進剤の質量は無視して考えて)、速度2km/sで移動している宇宙船(質量100kg)が、噴射によって1km/s増速し速度3km/sになったら、船体の運動エネルギーは250MJ増えます。(=1/2 100 30002 - 1/2 100 20002)ところが、速度4km/sで移動している状態から同じように噴射したら、1km/s増速し速度5km/sになるので、船体の運動エネルギーは450MJ増えるのです。(=1/2 100 50002 - 1/2 100 40002)
だから、一番速度の速い近地点で加速するのが運動エネルギー増加の効率が一番良いのです。それによりパーキング軌道からホーマン軌道に移ったあと、静止軌道の高さな遠地点での加速は、運動エネルギー増加の効率は良くないですが、静止軌道に移るためには必須の噴射になるわけです。
前進だけするのと、前進して後退して前進するのでは最終的な速度が同じでも使うエネルギーの量は違うでしょ?
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アレゲは一日にしてならず -- アレゲ見習い
なんで再々起動まで必要なの? (スコア:2)
ものすごーく初歩的な質問だったらスマン
なんで、3回にも分けて2段目使うの?
1発でとまではいかんでも、1発目もうちょっと長くして、もう1発(計2発)でなんとかならないもん??
...とここまで書いてて、今回のやり方が一番早く#2923136の言う"効率の良いGTO"に向かえる気がしてきた
でもなぁ、3回も吹かすのってものすごくリスキー...って思いながらニコ生見てた
Re:なんで再々起動まで必要なの? (スコア:5, 参考になる)
打ち上げからそのまま噴射を続けるだけだと、軌道遷移のエネルギー効率が悪いです。
低高度の軌道から高高度の軌道に移るためのもっとも効率のよい方法は、
1. 楕円軌道の近地点で加速すると、近地点はそのままで、遠地点の高度がより高い、より扁平な楕円軌道に遷移する
2. 楕円軌道の遠地点で加速すると、遠地点はそのままで、近地点の高度がより高い、より真円に近い楕円軌道に遷移する
という二つを組み合わせることです。
(「1を何度か繰り返してから、2を何度か繰り返す」というやり方でも問題ありませんが、「1と2を交互に繰り返す」のは効率が悪くなります)
あと、軌道傾斜角も0度に合わせる必要がありますが、楕円軌道の場合、遠地点ほど速度が低いですし、速度が低いほど進路変更が楽になりますので、上記の2とセットで、
・楕円軌道の遠地点で、軌道傾斜角の調整噴射を行う
ことになります。
つまり、最初の打ち上げから考えると、
0. 通常の1段・2段で、低高度の軌道に遷移する(パーキング軌道)
1. パーキング軌道からの噴射で、遠地点が静止軌道までの高さの楕円軌道に遷移する(静止トランスファ軌道)
2. 静止トランスファ軌道の遠地点での噴射で、傾斜角0の円軌道に遷移する(静止軌道)
という3段階になるわけです。
今までのH2Aは、この0と1の2回噴射を行っていました。
この従来のやりかたで2回目の噴射をより強力にしても、遠地点が静止軌道より高くなってしまうだけで何の意味もありません。
今回の29号機は、さらに2の遷移を2回にわけ、まずH2A第2段の3回目の噴射により「遠地点はそのままだけど近地点がより高く」「より傾斜角が0度に近い」ようなトランスファー軌道に衛星を送り込み、そこから衛星自身の噴射で静止軌道に遷移するようになったわけです。
Re:なんで再々起動まで必要なの? (スコア:1)
ほほーなるほど!詳しい解説、ありがとうございました
お礼に一杯おごりたいところですが、精神的に...でご容赦ください
Re: (スコア:0)
ホーマン遷移軌道 [wikipedia.org]が、エネルギー効率が最も良いという話ですが、
他の軌道をとって軌道遷移をした場合、無駄になったエネルギーは何に変わるんでしょう?
Re: (スコア:0)
噴射材の運動エネルギー。
Re: (スコア:0)
同じ性能のロケットで考えるなら、噴射剤が持っていくエネルギーも運動量も同じではないの?
Re:なんで再々起動まで必要なの? (スコア:2)
「船体の運動エネルギー増加分+推進剤の運動エネルギー増加分=ロケットエンジンが生み出すエネルギー」で一定になるのですが、その配分が変わってくるんですよ。
運動量保存の法則としては、同じ噴射をすれば、「速度の変化量」は同じです。
でも、運動エネルギーは速度の2乗で聞いてくるので、より速度が速い時に加速した方が、運動エネルギーの増加量は多くなるんです。
あるいは、分かりやすい説明として、(推進剤の質量は無視して考えて)、
速度2km/sで移動している宇宙船(質量100kg)が、噴射によって1km/s増速し速度3km/sになったら、船体の運動エネルギーは250MJ増えます。(=1/2 100 30002 - 1/2 100 20002)
ところが、速度4km/sで移動している状態から同じように噴射したら、1km/s増速し速度5km/sになるので、船体の運動エネルギーは450MJ増えるのです。(=1/2 100 50002 - 1/2 100 40002)
だから、一番速度の速い近地点で加速するのが運動エネルギー増加の効率が一番良いのです。
それによりパーキング軌道からホーマン軌道に移ったあと、静止軌道の高さな遠地点での加速は、運動エネルギー増加の効率は良くないですが、静止軌道に移るためには必須の噴射になるわけです。
Re: (スコア:0)
前進だけするのと、前進して後退して前進するのでは最終的な速度が同じでも使うエネルギーの量は違うでしょ?