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衛星のジャイロとモーメンタムホイールはよく混同されるようですが別物です。前者は自分の角速度を検出する為の装置で、後者は回転数を変える (→自分が保持する角運動量を変える) 事で衛星全体の角速度を変化させる為の物です。ジャイロは飛行機の慣性航法装置とかもしかするとカーナビの類とかにも使われていますが、モーメンタムホイールは恐らく宇宙機にしか使われていないでしょう。(空気や地面がある環境では、そちらを押す方が遥かに効率が良い筈です。)
円盤状の物がぶんぶんと回ってるという意味では似たような物ですが、実際には高感度マイクとコンサート用スピーカ位かけ離れた物です。機械として見た時の違いは大きさと回転速度と精度で、ジャイロの方がはるかに小さく回転速度と精度が高いです。回転速度と精度の高さがそのまま故障し易さに繋がるのだと思われます。与圧 (ヘリウムが一般的に用いられるようです) してまで軸受けのストレスを軽減するように頑張っていますが、それでもジャイロは (現実問題として) 消耗品です。これに比べると、モーメンタムホイールの方は使い物にならんところまで性能が劣化する事ははるかに少ないように思います。
ああ、やっぱり。ファイバ光路長だけじゃなくてレーザとファイバの光カップリングや、半導体レーザを使ってればそっちの波長変化も問題になりそうな気がします。
ちなみに、レーザージャイロは評価してみたけど衛星用途では何だか問題があって使えなかったと数年前に聞きました。とはいえロケットの誘導用途には使われていますので、長時間安定性と機械的強度の両立が問題なのかもしれません。どうもμ-LabSatには使われてるようですので、今後は違うかも
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にわかな奴ほど語りたがる -- あるハッカー
何でそんなに消費するんだろうか (スコア:1)
Re:何でそんなに消費するんだろうか (スコア:3, 参考になる)
特に高精度のモーメンタムホィールは消耗品と言っていいでしょう。ハードディスクの親玉を常に回転速度を可変させながら、真空中で動かしつづけるのです。
という訳で、メンテナンスを考慮した設計になっています。もしそうなっていなければ、打ち上げ直後に発覚した光学系の設計ミスに、補償光学系を挿入して対処するような事も出来ず、ハッブルはとうの昔に捨てられていたでしょう。
ハッブル計画は打ち上げ
Re:何でそんなに消費するんだろうか (スコア:3, 参考になる)
衛星のジャイロとモーメンタムホイールはよく混同されるようですが別物です。前者は自分の角速度を検出する為の装置で、後者は回転数を変える (→自分が保持する角運動量を変える) 事で衛星全体の角速度を変化させる為の物です。ジャイロは飛行機の慣性航法装置とかもしかするとカーナビの類とかにも使われていますが、モーメンタムホイールは恐らく宇宙機にしか使われていないでしょう。(空気や地面がある環境では、そちらを押す方が遥かに効率が良い筈です。)
円盤状の物がぶんぶんと回ってるという意味では似たような物ですが、実際には高感度マイクとコンサート用スピーカ位かけ離れた物です。機械として見た時の違いは大きさと回転速度と精度で、ジャイロの方がはるかに小さく回転速度と精度が高いです。回転速度と精度の高さがそのまま故障し易さに繋がるのだと思われます。与圧 (ヘリウムが一般的に用いられるようです) してまで軸受けのストレスを軽減するように頑張っていますが、それでもジャイロは (現実問題として) 消耗品です。これに比べると、モーメンタムホイールの方は使い物にならんところまで性能が劣化する事ははるかに少ないように思います。
衛星のジャイロスコープは,今でも機械式なの? (スコア:1)
これを読んで,衛星のジャイロスコープは今でも機械式なのか,と,驚いてしまいました。民生分野では機械式ジャイロスコープは,ほぼ駆逐されたと思っていたのですが…… もし,本当ならやはり,驚きです。
それとも,いつもの私の早とちりかも。
斜点是不是先進的先端的鉄道部長的…有信心
Re:衛星のジャイロスコープは,今でも機械式なの? (スコア:2, 参考になる)
自分で裏もとってみましたので,年表にまとめときます。
1976年:光ファイバジャイロが提案される[* [kmt-ti.or.jp].pdf論文より]
1990年:ハッブル打ち上げ(ソース多数・・ 確かに間に合いそうもない)
1999年:民間衛星も輸出統制品に[* [tokyo-np.co.jp]大学衛星の記事解説より]
2002年:チューンドドライジャイロ(TDG,機械式)をこだま(DRTS)で性能試験[* [nasda.go.jp]]
--- [リンク]は,参考にしたソース記事です。
というように,まだまだ開発途上ということのようで。これも本来なら99年の事態を受けて前倒しすべき基盤技術だった。っつうのは,さておくとしても。
ちなみに,VR系のコンベンションで「ファイバジャイロの弱点はジッタとドリフト」ってのは訊いたことがありますが・・・・ むにゃむにゃ。
斜点是不是先進的先端的鉄道部長的…有信心
使った感想。 (スコア:1)
……といった感じです。要するに、光ファイバが熱で伸縮して光路長が可変してしまうので、温度センサ積んで補正しないといけません。
ジッタとドリフト、確かにありましたが、そう酷いものでは無かったように思います。
圧電振動ジャイロも温度に弱いです。こっちは個体差が激しく、まともな精度を出そうと思ったら、温度で補正をかけるより、ヒーターで一定温度に保つほうが手っ取り早いという代物でした。
という訳で、MEMSジャイロには期待しています。
Re:使った感想。 (スコア:0)
ああ、やっぱり。ファイバ光路長だけじゃなくてレーザとファイバの光カップリングや、半導体レーザを使ってればそっちの波長変化も問題になりそうな気がします。
Re:衛星のジャイロスコープは,今でも機械式なの? (スコア:0)
宇宙開発で使う製品は、環境試験を行って合格した製品を使うのですが、最近はこの試験の合格認定を辞退する部品メーカーが多いとか・・
Re:衛星のジャイロスコープは,今でも機械式なの? (スコア:0)
本当ですよ。
良くも悪くも、衛星に最新の民生技術が使われる事は本当に少ないです。主に信頼性が保証できない事が原因です。こんなんじゃ金もかかるし古い技術しか使えないってんで JAXA 他も色々と動き出していますが、それが一般衛星の基盤技術の一つとなって出てくるのはもちっと時間がかかるような気がします。
ちなみに、レーザージャイロは評価してみたけど衛星用途では何だか問題があって使えなかったと数年前に聞きました。とはいえロケットの誘導用途には使われていますので、長時間安定性と機械的強度の両立が問題なのかもしれません。どうもμ-LabSatには使われてるようですので、今後は違うかも
Re:何でそんなに消費するんだろうか (スコア:1)
例えばMirではKvantのモーメンタムホィール群を二度、Kvant-2のものを一度交換しています。特にKvant-2では二群六基搭載していたものが4つも機能を失い、しかも与圧隔壁の外に据付けていたものだから、代わりのホィールは与圧内に配線をバイパスして据え付けています。
まぁ、Kvantのジャイロも激しく故障して交換されていますが、Kvantは環境が劣悪だったから……