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日航機事故での一番の問題は垂直尾翼が失われたことではなく、(4つの)油圧系統が全て失われたことです。
垂直尾翼を失ったことによって方向安定性(風見安定)はかなり落ちましたが、それでも上反角効果が利くので風見安定がまったく失われたわけではありません。その証拠に墜落に至る経路図でループしているところ以外は「割とまっすぐ」になっています(ただし上反角効果しか利かなかったため猛烈な「ダッチロール(によく似た現象)」がおきましたが)。
日航機事故と同様に油圧系統が失われた事故としては、「スー・シティー事故 [jst.go.jp]」があります。この事例では生き残ったエンジンの推力を調節することでなんとか空港までアプローチすることができています。ワシにとっては、空港までアプローチして、かつ過半数の乗客が生存できたことは「奇跡的」とすら思えます。
F-16以降の戦闘機であれば、基本的にもっと不安定ですから逃げたほうが無難。 ってよりも、今の戦闘機って期待が無傷だったとしてもコンピュータが死んだら制御できないでしょう。
まあ、旅客機はそれなりに安定性はあるでしょうけど、エンジンの出力の割合は低いし反応も遅いしそもそもの自由度も低い。 って事で難易度は高いでしょうね。
が良く良く考えると、燃費優先で尾翼の小型化(不安定化)をFBWで制御してって今のやりかたの機体って、形状的にはフラットスピンの危険性が高くなっているので、じつはこの案、それなりに使えたり。
って言っても、フラットスピンでしやすいってのと、その状態で安定して回転し揚力を得られるってのは違うと思うが。
ま、B707の場合はそのお陰で派生型が沢山出来た訳ですが。
因みに、無尾翼機って別にそれなりに作れば不安定でも無いってのは、リピッシュやホルテンやノースロップさんが証明してきくれました。
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Stay hungry, Stay foolish. -- Steven Paul Jobs
爆破して喪失させる翼が作っていた揚力が失われた場合 (スコア:4, 興味深い)
…で、実際は残された方の翼の揚力で、 90度近くまでバンクした状態となり、そこで揚力が失われて墜落するだけでしょ。
先の大戦では、片翌がもぎとられた戦闘機の墜落シーンが多数ガンカメラで捉えられてますが、軟着陸が可能と思われるような水平スピンは発生してなかったですねぇ。
--- Toshiboumi bugbird Ohta
Re:爆破して喪失させる翼が作っていた揚力が失われた場合 (スコア:3, 参考になる)
これは、落下中に羽のねじれで回転が始まり、角運動量の増大につれて慣性主軸周りのフラット回転に移行し、揚力も増大してソフトランディングするという代物だ。
片翼の飛行機でも適正な操作を行なえば、同様のことが可能なんだろうが、人間技で出来ることとは思えん。
(かの日航機事故の後、垂直尾翼を失った場合でも操縦方法によっては安全に着陸することは、物理的には可能、というシミュレーション結果が出たそうだが、人間技では無理らしい)
the.ACount
Re:爆破して喪失させる翼が作っていた揚力が失われた場合 (スコア:4, 参考になる)
日航機事故での一番の問題は垂直尾翼が失われたことではなく、(4つの)油圧系統が全て失われたことです。
垂直尾翼を失ったことによって方向安定性(風見安定)はかなり落ちましたが、それでも上反角効果が利くので風見安定がまったく失われたわけではありません。その証拠に墜落に至る経路図でループしているところ以外は「割とまっすぐ」になっています(ただし上反角効果しか利かなかったため猛烈な「ダッチロール(によく似た現象)」がおきましたが)。
日航機事故と同様に油圧系統が失われた事故としては、「スー・シティー事故 [jst.go.jp]」があります。この事例では生き残ったエンジンの推力を調節することでなんとか空港までアプローチすることができています。ワシにとっては、空港までアプローチして、かつ過半数の乗客が生存できたことは「奇跡的」とすら思えます。
Re:爆破して喪失させる翼が作っていた揚力が失われた場合 (スコア:4, 参考になる)
スーシティの事例は航空事故史上の奇跡とも言えるもので、乗員の努力といくつもの幸運によって6割もの乗員乗客の生還が実現できたものです。
一番の幸運は非番の航空教官が客席に乗り合わせていたことで、彼は油圧が失なわれた機体の操縦についてシミュレータで訓練したことがあり、彼が機長たちに協力して機体のコントロールをなんとか確保することに成功しました。事故の後、このような事故からどのように生還し得るのかを調べるためにフライトシミュレータを使って同じ状況が再現されましたが、調査に参加した操縦士たち7チームのうち、空港まで辿りつけたのは1チームだけ、彼等も着陸には失敗という結果だったとか。
(ごめんなさい、この事故後の調査については以前に読んだソースが手元になくて、数字は特に怪しいです。噂程度に読んでください)
またその他の幸運としては、
・事故が昼間であり目視で操縦できた
・機体のコントロールを確保するために通常の着陸速度よりもかなり速い速度で滑走路に突っ込むことになったが、オーバーランした先が収穫を控えて茂ったトウモロコシ畑だった
・スーシティの空港は州軍(確か州軍だったと思います)の駐屯している空港で、彼らの手によって迅速な救助活動が可能だった
・事故が起きたのが病院のシフト交代の時間にあたり、病院に通常の倍の人員が待機していた
ということが挙げられます。これらの幸運が重なって6割もの生還が実現できました。
通常は油圧が失なわれることは、ほとんど絶望的な、致命的な事故です。
Re:爆破して喪失させる翼が作っていた揚力が失われた場合 (スコア:2, 興味深い)
イスラエルのF-15が訓練中に衝突して片翼ほぼ全損の状態でちゃんと
着陸してたりしますね。
Re:爆破して喪失させる翼が作っていた揚力が失われた場合 (スコア:3, 興味深い)
別にF15のオハコというわけではなく、 飛行機にとって主翼の1枚くらいはどうということはないのです。翼面加重の小さい戦闘機の場合は特に。
垂直尾翼は致命的(全日空機の場合はこっち)なので、 損傷の予測される軍用では双垂直尾翼が重宝されるわけです。
Re:爆破して喪失させる翼が作っていた揚力が失われた場合 (スコア:3, 参考になる)
どうということはない、ワケが無いじゃない。揚力半分になるうえ非対称形態になるというのに。
> 損傷の予測される軍用では双垂直尾翼が重宝されるわけです。
双垂直尾翼は、大面積の垂直尾翼を構造・寸法的に無理が無いよう2枚に分けておさめるとともに、
高AOA時に垂直尾翼が胴体の影にかからないようにし、高AOAでも方向安定を損なわないための手法であって、
予備のためとか損傷を予測してとかじゃありません。
Re:爆破して喪失させる翼が作っていた揚力が失われた場合 (スコア:0)
A10 くらいになると、予備とか損傷を想定して、という説も説得力が出てきますけどね
#確か部品も左右共通
Re:爆破して喪失させる翼が作っていた揚力が失われた場合 (スコア:1)
たいていの場合、方向安定が強すぎてろくに飛べない飛行機になります。
Re:爆破して喪失させる翼が作っていた揚力が失われた場合 (スコア:3, 興味深い)
飛行機たっていろんな形があるんだから
とくにF15なんて胴体がある程度翼の役割を果たしているので揚力は問題ではなく
バランスがすごく悪いのに着陸まで操縦しきったパイロットがすごいと思う
旅客機が主翼(エンジンごと)失ったらほぼ墜落間違いないのではないでしょうか
むしろエルロンやラダーが動かなくても、スロットル操作である程度操縦できるのに
翼ふっとばしたら自爆でしか無い気がします
Re:爆破して喪失させる翼が作っていた揚力が失われた場合 (スコア:0)
主翼の一枚くらいと豪語するのは結構ですが、
別コメントで示されたリンクによると96式が失ったのは片翼のうち三分の一に過ぎないようですが。
#それはそれですごいことではある
> 損傷の予測される軍用では双垂直尾翼が重宝される
そうなの?つまり予備!?
Re:爆破して喪失させる翼が作っていた揚力が失われた場合 (スコア:0)
#なにか違う…
Re:爆破して喪失させる翼が作っていた揚力が失われた場合 (スコア:0)
Re:爆破して喪失させる翼が作っていた揚力が失われた場合 (スコア:2, 興味深い)
それに戦闘機は飛行特性にかかわるエンジン出力の割合が大きいし、もともと操縦性のマージンも大きいし。
(例えば旅客機じゃあ宙返りが出来たら完全に設計ミス)
F-16以降の戦闘機であれば、基本的にもっと不安定ですから逃げたほうが無難。
ってよりも、今の戦闘機って期待が無傷だったとしてもコンピュータが死んだら制御できないでしょう。
まあ、旅客機はそれなりに安定性はあるでしょうけど、エンジンの出力の割合は低いし反応も遅いしそもそもの自由度も低い。
って事で難易度は高いでしょうね。
が良く良く考えると、燃費優先で尾翼の小型化(不安定化)をFBWで制御してって今のやりかたの機体って、形状的にはフラットスピンの危険性が高くなっているので、じつはこの案、それなりに使えたり。
って言っても、フラットスピンでしやすいってのと、その状態で安定して回転し揚力を得られるってのは違うと思うが。
Re:爆破して喪失させる翼が作っていた揚力が失われた場合 (スコア:0)
バレルロール http://www.masdf.com/crm/crm707.html [masdf.com]
くらいはできるようですが・・・
Re:爆破して喪失させる翼が作っていた揚力が失われた場合 (スコア:2, 興味深い)
う、うわああああマジで回ってるー [aviationexplorer.com]
すごいものを見てしまった・・・
Re:爆破して喪失させる翼が作っていた揚力が失われた場合 (スコア:0)
ま、B707の場合はそのお陰で派生型が沢山出来た訳ですが。
Re:爆破して喪失させる翼が作っていた揚力が失われた場合 (スコア:0)
ふむ。名古屋空港で墜落した中華航空のエアバス機は、木の葉落とし(零戦の高等戦技)をやった様な感じですが。
Re:爆破して喪失させる翼が作っていた揚力が失われた場合 (スコア:0)
B-2みたいな無尾翼機ならともかく、F-18までは人だけも
まともに飛ぶんじゃないですか?
(フライバイワイヤが動くかどうかはともかく)
Re:爆破して喪失させる翼が作っていた揚力が失われた場合 (スコア:1, 興味深い)
静安定性のある普通の飛行機は、水平から左右に傾いても、水平にもどるようになっているわけですが、
安定性が無い場合、水平から少しでも傾くと、どんどん傾いていくような感じになります。
安定=なかなか向きが変わらない=機動性が低い、そのかわり操作しやすい
不安定=すぐ向きが変わる=機動性が高い、そのかわり操作しにくい
ということで、F-15以前は、パイロットの負荷を考えると安定なものを作るしかない、と考えられていたわけですが、
F-16なんかは、わざと不安定に作った上で、姿勢制御をコンピュータに補助させることで、高機動性と操作のしやすさを両立させてます。
まあ、「エレベータとエルロンとラダーで操作する」という点では普通の飛行機と同じわけで、コンピュータのアシスト無しでは操縦できなくなるわけじゃないでしょうが、操作の難易度は格段に上がると思います。
#「水平尾翼が半分無くなっても、何事もなかったかの様に飛行できて、パイロットは帰還するまで気づかなかった」
#って逸話はF-16だっけ。
Re:爆破して喪失させる翼が作っていた揚力が失われた場合 (スコア:0)
メーカーの人の話だと、僅か秒間20~30回の当て舵をとるだけで良いそうですから。
因みに、無尾翼機って別にそれなりに作れば不安定でも無いってのは、リピッシュやホルテンやノースロップさんが証明してきくれました。
Re:爆破して喪失させる翼が作っていた揚力が失われた場合 (スコア:0)
Re:爆破して喪失させる翼が作っていた揚力が失われた場合 (スコア:2, 興味深い)
> 的には可能、というシミュレーション結果が出たそうだが、人間技では無理らしい)
たしか、コンピュータ制御の自動操縦で可能になってるんじゃないかな?
イラクで、DHLの貨物機がミサイルで攻撃されて
片方のエンジン、補助翼を(昇降蛇も制御不能だったか)
失ってスロットル操作だけで見事着陸しました。
Re:爆破して喪失させる翼が作っていた揚力が失われた場合 (スコア:1)
> 空中散布される植物の種子で、羽が一枚だけ付いてるタイプがある
荷重に対する気体(流体)モデルが全く異なりますよね。メタファーを使うべきじゃないと思うけど、海水の中で片翼な飛行機が墜落(というか沈没)するくらいの状態だと、旋回を始めるかも。
# ま、液体なので圧縮はないわけですが…
--- Toshiboumi bugbird Ohta