aoki_taichiの日記: 地球を一周する橋は橋桁がなくても浮くことができるか? 12
このツイートについて計算してみた。長文なので超久しぶりにここの日記に書く。
https://twitter.com/aoki_taichi/status/659030650456944640
酔っぱらいながら久しぶりに材料力学の計算をしたので間違っているかもしれないが、、、
<<問題設定>>
半径Rの完全球体の地球上空に地面からの高さhの位置に断面積Aの構造体をぐるっと一周構築し、これを橋と呼称する。
建設中の橋は橋桁が必要であるが、完成したあかつきに橋桁を一斉に消滅させた場合に橋は浮くか?
橋の材料の(圧縮)縦弾性係数はE、密度はρとする。
簡単のために橋は回転していないとする。(回転すれば、遠心力の考慮が必要になる)
剛体で安定性を考えなければ浮くが。安定性を考慮すると落下する。
剛体でなく弾性体であったとして、考察してみよう。(安定性は考慮しないとする。また簡単のため座屈は発生しないものとする)
弾性体であると落下は開始してしまうが、問題は地面まで落下するかどうかである。
また、R>>h、h>>√A とする。(もしかして後者の条件はいらないかも)
hの範囲内で重力加速度はgで一定とする。
<<計算>>
<橋の全長(周長)>
完成状態ではL=2π(R+h)
なお地面では2πRとなるので、地面に落下することにより橋の長さはΔ=2πhだけ短くなり、それによるひずみε=h/(R+h)となる。
<地面まで落下することにより解放される位置エネルギ>
位置エネルギ=mgh=LAρgh=2π(R+h)Aρgh
<地面まで落下するのに必要な弾性(圧縮)エネルギ>
地面まで落下した状態で橋にかかる圧縮力F、圧縮応力σとして、E=σ/εなので
F=σA=EεA=EAh/(R+h)
弾性エネルギ=ΔF/2=πhF=πhEAh/(R+h)
<地面までの落下>
地面まで落下しない(ちょっとでも浮いた状態でつりあう)条件は
位置エネルギ < 弾性エネルギ
2π(R+h)Aρgh < πhEAh/(R+h)
2(R+h)ρg < hE/(R+h)
ρ < hE/(2g(R+h)(R+h))
<<実際の値を代入>>
R=6371 [km]
g=9.8 [m/s^2]
h=100 [m]
E=210 [GPa](鋼)
とすると
ρ = 100*210e9/(2*9.8*(6371e3+100)*(6371e3+100)) [kg/m^3] = 0.0264[kg/m^3] 以下なら浮く。
さて、鋼の密度はだいたい7800[kg/m^3]なのでだんぜん重い。橋が鋼製ならほとんどなんの抵抗感もなくただ地面に落下するだけだろう。
鋼と同じ縦弾性係数で、密度が鋼の30万分の1の超軽量材料であれば、浮くことができる。
<<結論>>
上の計算はあくまでh=100mの場合で、hを10倍にすれば、密度もほぼ10倍重くなってもよい。
しかし、それでも現実的な高度と材料で橋を建築するとなると、結局地球では橋は地面に落下するという結論になる。