「ひまわり5号」運用終了 14
ストーリー by yosuke
10年間お疲れさま 部門より
10年間お疲れさま 部門より
KAMUI曰く、"宇宙航空研究開発機構(JAXA)は,ひまわり6号が正式運用を開始した事に伴い,静止気象衛星ひまわり5号(GMS-5) の運用終了を発表した(JAXA のプレスリリース)。
ひまわり5号は1995年3月18日に打ち上げられたが,代替衛星の打ち上げ遅れにより設計寿命の5年を遥かに越えて運用。機器の劣化により全球観測が出来なくなったことから,2003年5月22日にはアメリカのGOES-9に観測を引き継いでいた。しかし,その後も気象データの配信とバックアップとして運用が続けられていた。
ひまわり5号は既に7月17日に軌道の上昇を開始しており,7月21日午前11時をもって停波し,10年余の運用を終了することとなる。"
【7/22 7:00 追記 by yosuke】JAXAは、7/21にひまわり5号の運用を終了したことを発表した。
死人に鞭うつようだけど (スコア:1, 興味深い)
運用すると言う可能性はなかったのでしょうか?
プレスリリースを見る限り、多少がたはきているものの
まだバックアップとしては機能するみたいです。
というかGOES-9のほうが満身創痍のような気がします。
GOES-9も7月中旬に運用終了(観測を終了するだけ?)、
本来のバックアップ機であるMTSAT-2は今年度内に打ち上げ予定となると、
半年ぐらい、またバックアップ機のない運用ということになりかねないような。
こんな慌しく去ってしまうのは
・そこにとどまっていると何らかの問題がある
・予算の節約
あたりが理由なのか、それ以外に何らかの理由があるのか。
孫の顔を見るまで、もうちょっとがんばってくれないかなと思います。
Re:死人に鞭うつようだけど (スコア:2, 参考になる)
JAXAのプレスリリース読むと書いてありますが、既にひまわり5号の推進剤の残りは、廃棄用の軌道遷移に必要な量ギリギリです。てゆーか、推進剤消費を押さえるために3年以上前に南北方向の軌道維持制御を中止しています(つまり、厳密に言うと「静止衛星」ではなくなっていた)。
バックアップというからには、きちんと観測ができるように軌道制御してあげなければいけませんが、もはやそれすら継続困難な状況なのです。天寿を全うさせてあげましょう。
# どっちかっつーと「姥捨て」に近いけど。
Re:死人に鞭うつようだけど (スコア:2, 参考になる)
> MTSAT-2が無事打ち上げられるまで、バックアップ機として
> 運用すると言う可能性はなかったのでしょうか?
わたしもそう出来ないのかなって思ってみたのですが、タレコミにあるJAXA のプレスリリースに
・推定誤差を考慮した残推薬の最小値は約2.9kg
・JAXAの「スペースデブリ発生防止標準」で定めている静止軌道の高度上昇距離273kmを確保するために必要な推薬約2.8kg
とあるので、推薬の余裕は0.1kg。これでどのくらい延命できるかは分かりませんが、バックアップを捨てて軌道を去るのも仕方が無いかな、と。
# それでもあと数日、GOES-N [nasa.gov]が上がるまでは待って欲しかったような気もするけど。
Re:死人に鞭うつようだけど (スコア:1, 興味深い)
が理由でしょう。静止軌道は大混雑 [nict.go.jp]です。(出典:米国宇宙司令部(USSPACECOM)による軌道物体の監視)
お疲れ様でした (スコア:0)
で、離脱軌道ってどうなってるんですか?>偉い人
浮いてるんだか、再突入するんだか…
ひまわり5号上げたのは「H-IIロケット試験機3号機」なんですね。
Re:お疲れ様でした (スコア:2, 参考になる)
ですので、俗に墓場軌道と呼ばれる、静止軌道よりも少し上の軌道に移動させることになります。
この辺りは、大気の影響など皆無なので、落ちてくることはありません。
Re:お疲れ様でした (スコア:1)
でも実際のところデブリ問題ってどのくらい深刻になってるんでしょーかね
Re:お疲れ様でした (スコア:0)
Re:お疲れ様でした (スコア:1, すばらしい洞察)
Re:お疲れ様でした (スコア:0)
このへんもう少し詳しく。
多少減速しても内側の軌道で安定してしまうのかな。
遠心力を打ち消して、しかも他の衛星に衝突しないよう
速やかに落下させようとしたら大量の推進剤が必要になる?
Re:お疲れ様でした (スコア:1)
> 多少減速しても内側の軌道で安定してしまうのかな。
その通りです。衛星は円運動をしているので遠心力と重力の
釣り合ったところで安定します。
大気圏直上の衛星なら、すこし減速してやれば高度が下がり大気圏に入り
大気との摩擦でさらに減速し最終的に落下します。
それに比べて静止衛星は高いところにあるので衛星の減速機構は推進材の
噴射のみと考えられます。
# 静止衛星の高度は約4万km で
# 大気圏の厚さは約500km
衛星を減速して高度1000km 程度まで降ろせば大気による減速が考えられる
としても、高度にして一桁違うので、かなりの量の推進材が必要。
とすると一般に衛星を落とすことは大気圏脱出以降に使った推進材と同量の
推進材があれば可能と言えますね。
ということで親コメントの方は「ありえない」と書いてるのでしょう。
Re:お疲れ様でした (スコア:0)
# 持ち上げる時に加速する必要はあります
Re:お疲れ様でした (スコア:1)
もう少し正確に書いてみます。
衛星を運動方向に加速すると、一時的に速度は上がるかもしれませんが、
運動エネルギーと位置エネルギーの 二つが釣り合ったところが安定なので
運動エネルギーを位置エネルギーに変えつつ安定な高い軌道に移り、
速度を下げます。
つまり運動エネルギーの形でエネルギーを加えることで、
系全体のエネルギーを上げてやるわけです。
# 系全体のエネルギーを下げるときにも推進剤が必要となります。
# 宇宙空間では摩擦によるロスが無いので。
ちょっと計算してみたところ、
速度 v で運動している衛星を一時的にdv だけ加速してやると、
高い安定軌道に移り、最終的な速度は v - dv となりました。
# 変化後の軌道半径は r/(1-2dv/v)
dv -> -dv としてやれば高度を下げる方も同様です。
私の最初のコメントで速度を上げるとか下げると言っているのはこの
dv の符号のことと考えてもらえると話は通るでしょう。
正直ちゃんと考えていなかったので混乱させたのならごめんなさい。
Re:お疲れ様でした (スコア:0)
ちゃんと理解できたかどうかは不明だが、得心しました。