保護するのは故人の権利ではなく個人の権利
タレコミ by ayashii_net
ayashii_net 曰く、
Impressの記事によれば、文化庁の文化審議会著作権分科会は8月3日、「過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会」の第7回会合が開催開催された。会合では保護期間延長についてEUや米国の例を引いて「著作者からその孫までの世代を保護することを意図していたもので、平均寿命が長くなった現在では死後50年では不十分である」「貿易収支の健全な黒字という経済的な利益を確保すること」等を紹介し、延長は新たな著作物の創作を促進するため長期的にはパブリックドメインの量を高めるとしているとしたとのこと。
作家で日本文藝家協会常務理事の三田誠広氏からは創作者団体による権利情報ポータルサイトの構想が説明されたが、コスト面の問題やデータ整備の問題など、疑問の声が上がった。また慶應義塾大学の金正勲准教授は「有益な取り組みであるが、それを保護期間の延長を結びつけることには無理があるのではないか」と疑問を呈した。
また孫の代まで保護することの正当性についても言及され、東京大学教授の中山信弘氏は、著作権が孫の生活まで保証するものなのかは考える必要があるとし、「孫まで保護することによって創作のインセンティブになるのであれば保護すべきだが、そうとは思えない」と述べた。
タレコミ人としては、保護期間延長を唱えている側は故人の権利を尊重しているわけではなく、あくまで個人の権利の保護を訴えているということが印象的だった。