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プライバシ

ISPでのパケット検閲による行動ターゲティング広告、総務省が容認

タレコミ by Anonymous Toward
Anonymous Toward 曰く、
5月30日の朝日新聞一面トップに「ネット履歴丸ごと個人用広告に利用、サイト閲覧・検索…接続業者側が分析、総務省容認」という記事が出ている(asahi.comに掲載の記事)。これは、記事の図にあるように、インターネット接続プロバイダ(ISP)が、DPI(ディープ・パケット・インスペクション、深層パケット検閲)技術によって、ISP利用者のすべての通信を傍受し、利用者ごとの趣味や志向を把握して、それに応じた広告を配信するというもの。4月のストーリー行動ターゲッティング広告システム「Phorm」、ブラジルに進出と同様の方式と見られる。イギリスでの経緯についてはWikipediaのPhormの項目が詳しい。4月のストーリーでは、日本では通信の秘密が憲法でうたわれていることから、実施は無理ではないかと言われていたが、朝日新聞の記事によると、総務省の作業部会に参加した人の証言として、「総務省の事務方は積極的だったが、参加者の間では慎重論がかなり強かった。ただ、『利用者の合意があれば良いのでは』という意見に反対する法的根拠が見つからなかった」のだという。

この作業部会というのは、先週5月26日に発表された「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」第二次提言のことと思われる。パブコメ意見募集の結果が公表されているが、これによると、「DPI技術を活用した行動ターゲティング広告は、憲法に定める通信の秘密に違反するもの/プライバシーを侵害するものであり、導入に反対」といった意見が百数十件寄せられたというが、それに対する総務省の見解は、「運用に当たっての基準等を策定しこれを適用することを求めていましたが、ご指摘の趣旨を踏まえ、基準等において事業者が明確にすべき事項を提言(案)に追記する」というもので、けっきょく運用を促す結論になっている。また、インターネットユーザー協会(MIAU)が出した意見「DPI 技術を活用した行動ターゲティング広告については、推奨しないむね明記すべきである」に対しては、「行政機関の研究会として、個別のサービスについて、推奨しない旨の表明を行うことは適当でないと考えます」と回答、「プロバイダ企業が皆「同意」を求めれば、なし崩しに同意せざるを得なくなります」という意見には、「今後の参考意見として承ります」としてスルーしている。

一方、パブコメには事業者の意見として、NTTコミュニケーションズから「個人向けのサービスの申し込み形態として利用度が高い「オンライン・サインアップ」等も同意取得の有効な手段の例示として追記されると利用者にもわかりやすいと考えます」という意見が出ているが、これに対する総務省見解は、「それが個別かつ明確な同意取得の有効な手段といえるかどうかは、ケースバイケースであるため、例示として追記することは適当でない」とされており、必ずしも事業者の都合のいいように進んでいるわけではないようだ。朝日新聞の記事では、DPIの導入を検討しているプロバイダーとしてNECビッグローブの飯塚久夫社長のコメントが掲載されている。推進するのは、OCNとBIGLOBEということだろうか。
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