Anonymous Coworkerの日記: ナノ公害その2
一般的に、呼吸器官に取り込まれる粒子を「吸入粒子」と呼び、空気力学的直径が約200μm以下の粒子とされる。そして、さらに肺の深部である肺胞に達する粒子を「吸入性粒子」と呼ぶ訳であるが、ICRP(国際放射線防護委員会)の1956年の定義によれば、「粒子の大きさが10μm以下のものは肺胞に到達可能」とあるから、当然ナノ粒子なんてのは、吸入性粒子であり、もしナノ粒子が空気中にフワフワと浮遊していれば、吸気と一緒に取り込まれ、肺胞に到達するだろう。で、血液中に流入ということも十分ありえて、しまいには血液脳関門をすり抜けて脳にまで達するかもしれない。
何かと話題に(なった|なっている)アスベスト公害。「Stanton-Pottの仮説」によれば,直径0.25μm以下で長さ8μm以上の残存性の繊維は強い発がん性を示す恐れがあるとされる。そして、悪性中皮腫などの発症がこのことを実証しているわけであるが、ナノ粒子の場合はどうだろう。アスベストなどの繊維性物質よりもさらに小さな、まだ毒性に関しては、殆どデータがないであろう領域である。脳に沈着で連想されるのが、アルツハイマー病やプリオン病なわけで。
こういうのって、数十年のスパンを経て顕在化してくるからなぁ。
「ナノなの」という文言で、指を加えたメイド姿のメガネ娘を想像している場合ではないかもしれない。
予防原則というスタンスは悪くないと思う。