電動スクーターは何台か乗ったが、すべてトルク制御が構造上できないものだった。
内燃機関はある程度回転が速くならないと実用トルクが発生しないのに対し、
電動モーターは低速 (というか静止状態) から強烈なトルクが発生するのが利点だが、
二輪車の場合はこの利点が欠点となる。
低速域ではトルクを減らさないと微妙なバンク制御ができない。
言うまでもなく、二輪車は車速とバンク角でセルフステアを作り出すものだから、これができない場合はハンドルをこじってバランスを車速に合わせることになるが、
電動モーターではその間にも強烈なトルクで前に進んでしまう。
それらを打ち消すのがクラッチやブレーキだが、スクーター型や自転車の場合はクラッチが無いのでブレーキで誤魔化さざるを得ない。
ところが電動スクーターの場合は航続距離を延ばすためと思うが、ブレーキをかけるとモーターが駆動しなくなり、トルクが 0 になる。
これでは低速バランスをとることができない。
ブレーキでデューティ比を作り出してもみたが、トルクを減らしたいだけなのに (当然だが) ブレーキも効いてしまうためうまくいかない。
NC700 に搭載された DCT なんてカーブでバンク中にシフトしてくれるもんだから、トルク変動が起きてバランス崩れっぱなし。
低速ターン中にギリギリのバンクで勝負するジムカーナでは使い物にならないどころかただの罰ゲーム。
村田製作所やヤマハが試作したオートバランサーが内蔵されていれば自動でバランスをとってくれるだろうが、
ソーイチローの存在を否定したホンダがどこまでやってくれるか、いろいろな意味で興味が湧く。