節分はもう昨日になってしまったが、恵方巻 - Wikipediaより
全国への普及はセブン-イレブンによるもの[23][24][25][15]。1989年(平成元年)に広島市のセブン-イレブンが販売を開始し、翌年より販売エリアを広げ、1995年(平成7年)から西日本に販売エリアを拡大、1998年(平成10年)に全国展開をしたことで急速に普及した[23][24][25][6][26]。
全国にあるわけではないセブンイレブンがどうやって全国に普及させられたと言うのだろうか。やたらと付けられている出典を見ていこう。
セブンイレブン自身による文章。
『縁起のいい風習』としてお店で紹介しながら、翌年より販売エリアが広がり、95年には関西以西の地区に、そして98年には全国のセブン-イレブンで恵方巻を販売するようになりました。
こうして一部地域の食文化が全国へと広がり、今ではすっかり節分の定番のお寿司として定着しました。
セブンイレブンが全国に普及させたなどとは書いてない。セブンイレブンのある地域は限られているのはセブンイレブン自身がよくわかっているだろうから当然だ。全国のセブンイレブンで販売するようになったと言っても、店舗のない地方が該当しないのは当然であり、次の文の「全国へと広がり」との間にはギャップがある。
リンク切れ。少なくとも、広島の店舗から始めたことが書かれてあった模様。
2ページめにはこうある。
整理すると、
1989年 広島県のセブン-イレブン一部店舗で販売
1995年 関西以西で販売
1998年 全国のセブン-イレブンで販売
セブン-イレブンのこの成功を見て、その他コンビニチェーンが追随した。
また、5ページめでもこうだ。
そんなことも含めて恵方巻を受け入れる土壌が耕されていき、ついに問題の1998年、全国のセブン-イレブンで販売するに至り、やがて各社が追随して現在につながっている。
どちらも書かれていることは同じだ。「全国のセブンイレブンで販売」「他コンビニチェーン/各社が追随」。前掲のセブンイレブンの記述に加えて、他社の動きについて言及されている。セブンイレブンのない地方での他社の関与がうかがえる。
「3−5.1980年以降の恵方巻き−コンビニエンスストアの動き」に各コンビニの動向について具体的に記されている。
恵方巻きの認知度を広めるにあたって、大きな役割を果たしたのはコンビニエンスストアだといわれる。
セブンイレブンは1989年、広島で販売を開始してから次第に販売域を広げ、1998年から全国で展開されるようになった。
ローソンでは1998年以前は近畿以西で販売していたが、1999年から全国で販売を開始し、2004年は110万本、2005年は180万本、2006年は220万本であった。
サークルKサンクス(図2)は、2005年から全国販売を行っているが、当初から七福神にちなんで具材を7種類にした丸かぶり恵方寿司、ハーフサイズ、幸せと本数の4をかけた「丸かぶり寿司しあわせ4本セット」、「節分そば」の4種類を販売している。
その他のコンビニエンスストアを見ると、ミニストップは2006年には
「節分とろろざるそば」に黒豆をつけて販売し、2008年は幸福恵方巻、海鮮恵方巻、節分ざるそば、フルーツロール、am/pm は2004年から販売を開始し、2007年度は8万本売り上げた。スリーエフは2005年、銭洗い弁天で祈祷した5円玉つきキーホルダーを景品としてつけた。ファミリーマートは2002年以前は関西地区限定で販売していたが、2003年から全国で販売開始した。
ここでも全国への普及はセブンイレブンによるものなどとは書かれていない。そして実際に当地、北陸地方へのセブンイレブンの出店は2009年のことであるが、それ以前にローソン、サークルKサンクス、ファミリーマートの各社が全国販売を開始していたことも読み取れる。ここからひくのであれば、「全国への普及はコンビニエンスストアによるもの」あたりがまだ適切だろう。
「全国への普及はセブン-イレブンによるもの」という文に付けられた出典は以上である。リンク切れのページに書かれていたことはわからないが、それ以外の資料からすると「全国のセブンイレブンで販売」と「全国へ普及」とを混同しているものと思われる。繰り返すが、セブンイレブンは全国にはなかったし、現時点でもなお、ありはしない。
ちなみに1999年6月末当時、セブンイレブンが展開していたのは1都1道2府21県(リンク先PDF)。7月に山形県に出店して1県増えて26都道府県。都道府県数だけでみると約55%でしかない。同年には追随して全国で販売を開始したと書かれているローソンは、1997年には全国47都道府県に出店していると言うのだから、この点だけ見ればむしろ「全国への普及はローソンによるもの」と言う方がまだマシとすら思える。無論、全都道府県に店舗があって販売したことをもって「普及させた」と言ってよいのか、という疑問は当然であり、「セブンイレブンではなくローソンだ」などと言うのは「それはそれでどうか」というところでもあるので、挙げられた資料からしてもやはり「コンビニ各社によるもの」辺りが落とし所ではないだろうか。