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von_yosukeyanの日記: 名古屋銀行が情報系にSQL2005を採用

日記 by von_yosukeyan

少し古い話だが、ITProの記事によると、名古屋銀行が情報系DBを更新し、新たにMicrosoft SQL 2005を採用するらしい

情報系システムは、勘定系システムと異なり顧客に直接目に触れるATMだとかIB系のチャネルとはあまり関係しないので、一般の関心は低い。しかし、銀行システムにおいては従来の納税や会計処理のためのデータ転送・分析といた以外に、顧客のトランザクション(預金取引データ)をデータマイニングで分析して営業提案を行ったり、融資のスコアリング分析を行ったりと重要性は増大しつづけている

ところが、情報系は勘定系から大量のトランザクションを取得し、それを大半がパッケージ製品のデータ解析ツールや、内製が多い営業支援システムが処理できる形式にデータを加工して受け渡す必要がある。理想的には、リアルタイムに情報系のツールが勘定系からデータを取得して形式変換を行い分析できればよいのだが、そういうシステムを構築すると勘定系にとんでもない処理能力が必要になってしまう

そこで、従来の情報系は勘定系システムから夜間バッチでトランザクションを対象システムごとにデータ転送して変換して使用していた。しかし、それだと情報系が使用するデータの鮮度は前営業日時点のデータとなり鮮度としても問題があるし、ATMの24時間化などによってバッチ処理時間はタイトになる一方であり現実的ではない。そこで、情報系にデータ解析用の巨大なDWHを構築して、数分おきに勘定系から更新データを取得・加工し、情報系の各サブシステムデータ転送を行うというのが一般化しつつある

最初期にこの手のシステムを構築したのは旧福岡シティ銀行で、IBMのS/390の勘定系からやはりS/390で構築されたDWHに15分おきにデータ転送してDWHを構築していた。ハイエンドUNIXサーバでの構築も検討したようだが、大量のデータ転送を伴うためI/O性能が不足し結局メインフレームを採用したようだ。UFJ銀行も福岡シティと同じ分析パッケージを使ってメインフレームで情報系を構築している

福岡シティの事例は、地銀/第二地銀のみならず都銀レベルでも最新事例で見学者の絶えない先進システムだったが、これに倣ってDWHを構築する地域銀行はかなりあった。最近は、ハイエンドUNIXサーバの性能が飛躍的に向上しているのでメインフレームを使用しているのは都銀レベルになるが、過去にメインフレームやハイエンドUNIXでDWHを構築した銀行も、運用コストの低減を目的にUNIXやPCベースのシステムにスケールアウトする傾向にある

名古屋銀行は名古屋市を営業基盤とした第二地方銀行だが、業容の上では中規模の地方銀行に匹敵する典型的な都市型第二地銀で、同規模の愛知・中京両銀行とUFJ銀行と激しいシェア争いを繰り広げている。そういった環境からか、DWHの構築は比較的早かったが運用コストの増大が悩みだったようだ。端的に言えば、ハイエンドUNIXサーバとOracleのライセンスコストと、データ分析用のSASのライセンスで、MSSQLSVにスケールアウトするだけで開発・運用費が一桁浮かせられる。記事にもあるように、SQLSVのデータマイニング機能活用すればSASのライセンスが不要になるという利点もあるようだ

一見かなりハイリスクなスケールアウトのように思えるが、当初構築したシステムがオーバースペックで実際の営業現場で活用されないという事例も多い。営業ツールの整理・絞込みを行った結果、SASでなくても…といった理由もあったのかもしれない。福岡シティの事例は、Y2K対応と営業支援ツールの再構築に平行してDWHを構築した事例で、当初からユーザー需要をかなり慎重に見積もりながら構築しているが、福岡シティに感化されて導入した銀行の中には、ユーザー需要の見積もりが過大なまま導入した銀行も少なくない。そういった銀行の中にも、スケールアウトと共にシステムの再構築とダウングレードを行う銀行も多いのではないかと思う

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