vyamaの日記: 組込み機器+LGPL
組込み機器でLGPLedなlibusbを使いたいんだけど、リンクするオブジェクトコードは公開したくないんだという。手間が惜しいとの事。「それは通らないだろ」というのが第1印象。ところが社内では、私以外は「分からない」「動的リンクだったらソースもオブジェクトを公開しなくてもよい」という意見だけ。LGPL前文で実行ファイルは静的リンクでも、共有ライブラリでもLGPL派生物だと言っている。「動的リンクだったらなんでもOK」なんてデマを流した奴は誰なんだろう?
法務に聞いたら「どっちにも解釈出来ますねぇ。」ライセンスの取り扱いなんて法務が決めなきゃ誰が決めるんだ?そんな意見を出してもらってもねぇ…。
と言う訳で、LGPLを再読。LGPLのキモともいえる6節では、リバースエンジニアリングが出来て、「適切な共有ライブラリ機構」を用いるならOKと書いてある。ここが誤解の元であり、落とし所かなと思う。「実行時にすでにユーザのコンピュータシステム上に存在するライブラリのコピーを利用し」とあるが、通常ライブラリを入れ換える事なんてできない組込みシステムにこの文面を適用するのはリスクが大きいと思うが、そんなことを言ったらDesktopでLGPLedなGLIBCを入れ換えるのだって、大変だし。この解釈も相当LGPLの想定した世界と現実世界のギャップをついたようで、気持ち悪いことは確かだけど、そこくらいしか法務もアテにならない以上、落とし所が見つからない。ただし、dll cacheに入ってないとダメ位は制限しないとまずいだろう。例えば、他のユーザからアクセス不可能な /home/vyama/dlls に共有ライブラリが入っていたとしても、私はそれが「適切な共有ライブラリ機構」だとは認めたくない。
あと、もう1つ。「修正版が著作物が作られた版とインターフェース的に互換である限り、修正版のライブラリでも適切に動作するようになっている」って、どうやって保証するのかなぁ。それくらいだったらオブジェクトコードを公開したほうがずっと楽だと思うんだけど。
そんなに気になるようなら、FSFに相談すれば?と言ってきた人がいたけど、そういうのはヤブヘビになる可能性が非常に高いので遠慮しておきます。(笑 法務部門に「詳しい弁護士を探して相談してくれ」って言っただけで「予算がない」って拒否される始末なんだから、FSFに相談したら、最大限FSFに有利な解釈をしてきて、火に油を注ぐ結果になりかねない。だから皆業界人は黙っているのに。(笑 分かってないよな。
で、笑えるのが、これだけ譲歩しても私以外は「動的リンクならOK」派で、結局「動的リンクならOK」ってことになりそうな気配が濃厚なんだけど、それでFSFと問題が起こったら、責任を取らされるのは私になりそうなんだな。ここで頑張るか、責任を取らされる前に、今の会社から逃げ出す算段をすることにしよう。(笑
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