apjのコメント: 効果の出るからくり (スコア 5, 興味深い) 71
磁石くっつけただけの装置で効果が出るからくりもだいぶわかってきました。
まず,錆防止の指標にしている水の中の鉄分測定が,鉄イオン(こちらが普通)じゃなく全鉄ってところがポイントです。全鉄なので,サンプリングの時に錆の粉が混じると,鉄の量が多い結果になります。採水は,一旦バケツやビニール袋に水を受けて,ボトルに汲むことが多いようですので,このとき,うまく水をかき混ぜて錆のかけらを一緒に入れると,設置前検査で鉄の量が多く出ます。設置後検査で上澄みをとれば,鉄の量は少なくなります。もし,きちんと濾過して鉄イオンの量で評価すれば,違う結果になります。が,最初に売り込まれた時にそこまで疑わないので,会社にしてやられる結果になります。
次に配管閉塞率の写真判定。全く同じ位置で撮影するのが難しい上,管内側に膨らんだ錆の境界線は,プラニメーターを使って手作業で出しています。ですので,若干内側をなぞるか外側をなぞるかで,会社が主張する程度の違いは出せます。また,元になったデジタル画像の画素数とのかねあいで,差が小さいが改善した,と会社が言ってきても,それが誤差以上の違いであるとはいえない状態です。
いずれの方法でも改善がみられなかったら,次に会社が持ち出すのは,錆を採取して赤錆・黒錆比率を測定して基準値より黒錆が多ければ改善とみなす,という方法です。これは,契約書に書いて無くても会社が言い出すことがあります。錆が発生すると,水に触れているところは赤錆になりますが,内側の部分には自然に黒錆も発生します。黒錆の割合については一定していないので,この場合の基準値=会社が主張する都合の良い値,になります。会社と関係無く,いろんなところで赤錆黒錆比率を測ってもばらつくので,なかなか信頼できる値(と変動幅)は得られていないようです。このポイントは,会社が錆の塊を採取して持ち帰るので,赤錆の多い部分は後から除去し放題ということです。
これらを防ぐのはちょっと面倒です。水質検査の段階でイオンでしか評価しないというのを条件に入れる必要があります。閉塞率の測定はデジタルで行い,こちらも画素数の限界でおきる誤差範囲も先に決めておいて,それを越えない限り改善と認めないことを契約書に盛り込む必要もあります。黒錆と赤錆の比率についてはオレオレの基準でないものに基づいて,変動幅も含めてそれ以上,という条件を課した上で,サンプリングした錆はその場で乳鉢などで粉砕し,2つに分けて,会社側とユーザー側で独立に別の分析会社に出して結果を突き合わせると確実になります。
なお,以前,TOKYO MXに出た時,社長は,1年でははっきりした結果は出ないと言ってました。はっきりした結果が出ない状態で測定すると,測定には誤差がつきものなので,改善と悪化が半々に近い割合で出てくるはずです。ところが,どういうわけか,会社が設置後1年の検査をすると,ことごとくポジティブな結果になるんですね。つまり,サンプリングから測定に至る部分に作為が疑われる状況だということなんです。