建設業界で契約書締結前の図面作成は「無償の営業活動」になるとの判決が出る 42
ストーリー by hylom
いっぽうIT業界では 部門より
いっぽうIT業界では 部門より
あるAnonymous Coward 曰く、
とある建築設計事務所が顧客との契約締結前に作成した計画案や各種図面について、設計料を求めて裁判所に提訴したという。しかし、裁判所はこれらについて「営業活動である」と判断、この事務所は設計料を回収することができなかったという(日経アーキテクチャ)。
この事務所は、顧客が銀行融資を受ける際に必要とのことから契約書の締結前に計画案を作成し、各階平面図や全体工程表、概算工事費などを顧客に提出していた。その後、設計事務所は基本設計料(約2000万円)を顧客に求めたが、顧客は契約締結前であり、銀行の決済もまだであるとして、これを拒否したという。
これについて「口頭黙示的でも契約は成立する」とし東京高裁まで争われたが、裁判所は、銀行融資が得られるか不確定な時点であったことを理解し、「建築設計会社の営業活動の1つと考えられる」「契約締結まで至らなかった場合は、建築設計会社は顧客に対し営業行為の報酬請求を行わないのが通例」として、費用請求を認めなかった(日経アーキテクチャ別記事)。
なお、今月施行の改正建築士法においては、延べ面積300平米m2超の建築物については契約書の締結が義務化されるが、義務対象外の案件についても契約書締結をめざすべきだと記事では述べている。
プラント業界では全く普通 (スコア:3)
ある程度設計を進めないと清算見積もりなどは出来ないし、
納期も守れない。
注文とってしまえば値増しで何とでもなると考えている営業や
定期検査で回収すればよいと考える上層部も多い。
Re:プラント業界では全く普通 (スコア:3, 興味深い)
自分もプラント業界に転職して初めて知ったのですが、本契約前、ヘタすると公官庁への審査通過の目処がついたくらいから、もうモノ創り始めますからね。
大規模プラントともなると特殊工作の一品物が多く、納期に間に合わせるためには年単位で先行着手が必要なのはしかたがないのですが、契約前から億単位の作業が発生しているのは驚きましたよ。
もっともプラント業界は狭く、特に特殊な技術がいるような難しい案件は世界で何社しか発注できないので、見込みの時点でほぼ契約まで決まったようなもの、ってな業界の特殊性があるからかもしれません。
Re: (スコア:0)
そもそもそれ前提での納期設定がまかり通ってることが問題なんだけどね。
設計費としてなら (スコア:2)
どの程度の規模から払う・貰うもんでしょうか?
もちろん、詳細設計前の基本設計のあたりでの話
入札仕様書書いたり提案書見たりしてていつも気になる・・・
見たような聞いたような・・・
itinoe
Re:設計費としてなら (スコア:3, 参考になる)
設計事務所もピンキリですが。
銀行や行政相手の計画書作成は100㎡辺り10万円位が一番お手頃なスタートラインと聞いたことがあります。
今回裁判があった事例に落とし込むと。
150室のホテルで一室10㎡だとしても客室だけで1500㎡。通常は客室比率が6割くらいと考えると。
初回分の資料だけで250万円。これが3回分必要だったようなので単純に考えても750万は普通に請求。
ということになりますね。
イット企業では茶飯インシデント (スコア:0)
締結させるまでは無償の営業活動をいくらやっても許さるという光景。
その後は無償のアフターサポートを要求される。
Re: (スコア:0)
目の前にある物質にしかお金を出さない顧客が多すぎ。
ソフトウェアはもちろん、人が作業するという、手で触れる物質ではない物にはお金を出さない。
それなのにクラウドのシステムなんか販売強化してるもんだから大変なことに。
Re: (スコア:0)
ここでいう営業活動って何?
まだ受注もしてないのにSE連れてきてワーキングとか始めてんの?
Re: (スコア:0)
まだ受注もしてないのにSE連れてきて客の代わりにRFP作ったりじゃない?それが横行した結果、こういう問題も起きてますし。
ベンダーの提案書をコピペしたRFPの恥知らず [nikkeibp.co.jp]
(仮)のままズルズルと (スコア:0)
わりとよくある話
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
四八のことですね。わかります。
Re: (スコア:0)
ケンサク♪ケンサク♪
相手方がはなから発注する気がない場合は (スコア:0)
最終的にご破算にした上でその図面のコピーを他社へ持っていて「これ、いくらでできる?」なんてやると、さすがに払えって話になるのかな。
それでも営業活動だから請求できないとかにはならないよね?
Re: (スコア:0)
そうならないためにも、「設計料」をもらう契約を結んでおくべきって話じゃないの?
Re: (スコア:0)
でも、客側が契約書を交わさないのが合理的な場合もあると認められたわけでしょ。
こういう判決が出てしまうと、受注する側としてはあまり強く出られないよね。
Re:相手方がはなから発注する気がない場合は (スコア:4, 参考になる)
別記事の方を読むと、戦略ミスのようです。
計画の基礎設計として請求・契約するのではなく、参考図面制作費として請求・契約するべきらしい。
それらの契約が認められないなら、「無償の営業活動」として飲める範囲で簡易なものを制作するということなのかな。
Re: (スコア:0)
納得
Re: (スコア:0)
私がとある業者に見積りをお願いしようとしたら
過去に社内でそれをやったクソ野郎が居たらしく「あんたのとこの仕事は二度と受けねぇよ」とキレられましたわ。
目先のわずかな利益のために他社に迷惑をかけて、しかも自社の信用を投げ捨てるとか信じられん…
Re: (スコア:0)
で、そのクソ野郎を特定した上で何らかの処分に掛けることが出来たのだろうか?
ちゃんと処分しないと信用回復できませんよ。
Re: (スコア:0)
世間は狭いから、その図面のコピーのコピーがきて「これ、いくらでできる?」ってもう一度見積もりをなんてこともあるかもw
営業の能力不足だぬ (スコア:0)
不況が作ったザコ営業職増えすぎなんだとおもう
上手い営業は全然違う
どうしてそんな斬り返しが出来るのかとおなかが痛くなる感じ
Re: (スコア:0)
そして割りを食うのが設計開発といった実働部門
業務だけじゃなくて責任までおっ被される事も普通
関連記事 (スコア:0)
これと似たような話ですね
http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1410/20/news011.html [atmarkit.co.jp]
珍しく下請け潰しを認める判例 (スコア:0)
悪い会社が下請け企業に責任を押しつけて生き残る様な側面がある判決。
通常裁判所は川下をある程度助ける判決を下す傾向がある中で異色の結果。
この判決結果を活かそうとするブラックな企業が増えて、
社会が悪い方向に進んでいく未来が広がらないことを祈るばかり。
社会通念として紙に絵を描いて2000万は高すぎると考えたのかもしれないが、
客室等の設計条件から察すると必要となる人件費等から妥当な範囲。
ちなみに通例では基本設計2:実施設計5:工事監理3程度の料金構成なので、
本来は一億円相当の設計料が発生する規模の工事であった事が窺い知れる。
Re:珍しく下請け潰しを認める判例 (スコア:2, 参考になる)
依頼主であるホテル事業者は金融機関に提出する企画案を求めたのに対して、設計事務所が未契約状態のまま基本設計の最終案まで練り上げ、基本設計の費用を請求した。
基本設計を急いだ理由は、法改正に間に合わせるため。ただし、ホテル事業者は法改正後になっても問題ないといっていた。
裁判所としては、契約が存在しておらず、依頼主が具体的に依頼していない基本設計を行ったことは営業活動と判断した。
リンク先の弁護士は、基本設計の費用でなく、企画案に対する対価を求めれば請求が認められたのではないかとコメントしている。設計事務所は費用の回収を急いでしまったのかもしれない。
Re: (スコア:0)
でも、金融機関からの融資をうけるなら金額の概算が必要でしょう。
それなりの設計案まで出さないと某国立競技場みたいに1300億→3000億→1600億→2500億ってどんどん金額が変わりますよ。
それでは金融機関もOKが出せないのでは?
Re: (スコア:0)
出せるだろ
つーか、世の中どうやって動いてると思ってんだお前
Re: (スコア:0)
だせねえよ
まず事業計画つくれ
Re: (スコア:0)
事業計画に基本設計まで入れないと銀行が金出さないと言ったなら
そりゃ銀行は遠回しに断ってんだよ。諦めろ
Re: (スコア:0)
記事から裁判所の判断を読み取ると,
とあるので,法的には特段契約がない場合,金額の概算見積もりは,設計会社の無償の営業活動という判断ですね。
Re: (スコア:0)
契約書の提示があったこと・押印を先延ばしし続けたこと・金額に見合う労働があったこと。
ここまでは裁判で争点になっていません。事実認定されています。
つまり実働部隊は千万単位の労務を行った訳です。
通常の判例では。下請けに対して見なし契約で労働を強いた場合、
契約書が無くても民法上の契約は成立するという原則に習うのですが。(保証人等の要式契約には定めがある。)
この判例だけは「業務委託契約の締結にまで至らなかった場合は、営業行為の報酬請求を行わないのが通例」
と、業種の特性だけで「信義誠実に反する行為があ
Re:珍しく下請け潰しを認める判例 (スコア:1)
>民法上の大原則である信義則(民法第1条2項)の適用を避けている点が特異です。
ちょいちょいこれはいくらなんでもどこで法学学んだの発言だぞ
信義則は他にどうにも救済策が無い時の伝家の宝刀であって滅多に抜くべきではないものよ
今回の例では下請でもない独立した企業体同士の契約に関する問題であって
別段ブラックがどうこうという問題設定ではないっしょ、公取案件だっていうならまだ理解は出来るけど
設計事務所側の契約意識が杜撰でかつ訴訟戦略がまずかったんならこの程度の判決出るのは普通に有り得ることだよ
Re:珍しく下請け潰しを認める判例 (スコア:1)
先延ばしするなら作業しませんって言えばいいじゃん。
むしろ「この判決が出ちゃったんでハンコ貰えるまで作業出来ないんで契約お願いします」と言える様になった。
Re: (スコア:0)
この設計会社は下請けなの?ホテルに直説営業しているところからして,元請けのような気がするけど。
契約書まじだいじ (スコア:0)
何事にも最初に契約書にまとめて締結してしまった方がいいでしょうね。
途中で取引停止した際の場合もどうするか、まとめて。
契約取らずに勝手に行動して、ご破算したらその費用を請求するとか客観的に見て悪徳企業でしょ。
Re: (スコア:0)
外野の人間が無理してわからないことを述べようとすると、粗が出るのでやめておいたほうが良いですよ。
ひるがえってIT業界は (スコア:0)
まったく設計しないどんぶり見積もりでえらい目にあったりしてませんk?
Re: (スコア:0)
まず今までやった事の無い開発項目が含まれてる時点(他で経験済みの開発と全く同じことを他でやるなんて、そうそうありえないわけで)でリスク込みのどんぶり勘定な納期と見積もりになるのはしょうがない。
そしてそんな見積り出せば、顧客や営業から「減らせ」と言われてあれやこれや削ったり前提条件いじくりまわして減らし、コストも納期も一切余裕の無いプロジェクトが出来上がる。
下手すると最初から1日12時間以上稼働の計算で線表が引かれてたりする。
もちろん一切の想定外が発生しないプロジェクトなどありはしないわけで、余裕の一切無い張り詰めた糸みたいなプロジェクトは、リスク発生のたびにメンバの残業(徹夜)と土日を使って自転車操業し続け、最終的に糸が切れる頃には大惨事となる。
まぁよくあるパターンですね。
Re: (スコア:0)
そりゃそんなブラック企業に勤めている人が悪い。
つまり裁判所は水増し請求しろと (スコア:0)
図面にかかる費用はしばしば営業費の範囲を超える
企業は利益を出さないと生き残れないので、
契約時にその分を水増し請求するしかなくなる
Re: (スコア:0)
そもそもその仕事では「まだ設計書は着手されていない」わけで、
当然、契約時の請求書に設計費を含めるべきだし、
契約後に設計書を作り直すのが(法的には)筋が通ってる。
「設計費を含められないので、この金額ではできません」って言うべき。
もっとも、それで対抗馬がいる場合は、仕事を取られちゃうけど。