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日記

kahoの日記: 終わりに代えて〜STAP論文調査委員会NGSデータの公開を求める一提案〜 20

日記 by kaho

私事によりここ数日は休暇を取り多忙であったため出遅れてのコメントになります。
そのつもりはなかったのですがこちらでの発言に対して匿名での(卑怯な)告発扱いをされたこともあり最近は実名でTwitter(@caripso)での発言だけにしていました。今回こちらに書くのは140文字では収まらないからですが,色々騒がせてしまったこともありこのアカウントはこのエントリで最後にしようかと考えているところです。

私は調査委員会そのものに呼ばれたことはなく,解析も担当していないため発言には制約を受けないと考えますので思うところを述べていきます。以下の発言は組織とは全く関係なく,私一個人の意見です。

調査報告書に示された残存サンプルの解析は情報量も解析内容も膨大かつ詳細で,感嘆せずにはいられませんでした。
関係者の皆様のご苦労をねぎらうとともに感謝を捧げたいと思います。

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kahoのコメント: Re:「STAP現象は検証する価値のある合理性の高い仮説」 (スコア 5, 参考になる) 148

by kaho (#2583602) ネタ元: STAP細胞問題、笹井CDB副センター長が会見

>Oct4-GFP発現までは正しいと思いますので

正しくないですよ.
今日笹井先生が配られた資料を見てびっくりしました.
「遺伝子発現パターンの詳細解析でも、STAP細胞は、ES細胞や他の幹細胞とも一致せず」
若山先生もトランスクリプトーム解析でSTAPは他の細胞と違うと仰っていました.
ところが,その「トランスクリプトーム解析」で分かることは,STAP細胞と呼ばれるもの同士ですら
「遺伝子発現パターン」が様々であることです.

アーティクルの方では酸処理後3日でES細胞マーカー遺伝子がある程度ESの発現に近くなり7日で
ほぼ匹敵するという図になっています.しかしレターの方ではSTAP細胞におけるこれらの遺伝子
発現はES細胞よりはるかに少ないという結果が示されています(Ext.Fig.3b).
レターの方ではトランスクリプトーム解析は2セット行われていますが,もう片方はESに非常に近い
どころかマーカー遺伝子の発現がESより多いほどです.
トランスクリプトーム解析はOct4-GFP発現を確認した細胞で行っているものではなく細胞塊をつくった
細胞で観察したということですが,少なくともそれぞれの図ごとに非常に異なる遺伝子発現をもつ
別種の「STAP細胞」があるということを示しています.しかし同じ図に使われるデータ同士は似通っ
ているので,作成日時によってその時々の「STAP細胞」があるかのようです.
そうであれば他の幹細胞と一致しないのは当然だと思います.「STAP細胞」と同じ名で呼んでいながら
その性質は日々変わることになりますから.

また,ESよりはるかに少ないマーカー遺伝子の発現でもSTAP現象と称するならば,GFPによる蛍光の
観察はOct4やその他のマーカー遺伝子とはリニアな関係でなく,Oct4の発現がほぼ0に等しくても
GFPが観察されたり細胞塊を形成したりするのだろうということになります.
トランスクリプトーム解析ではこの論点を出す前に私の愚かなミスで自滅したので書きませんでしたが,
他の方にも是非生データから解析を行って見比べていただきたいと思います.

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kahoのコメント: Re:なんとも (スコア 5, 興味深い) 172

本人です.
私は調査委員会や検証チーム(というものが内部にあるかも知りませんが)とは無関係です.
自分の考えとして解析結果を提出はしましたが,何も要請されていませんし,こちらから情報の提供も求めていません.

関係がある場合,例えば自分の実績のために内部情報を悪用したと言われかねませんので,そうならないように注意してきました.
かつて同様の問題で苦労された石井先生がこの問題で常に言葉を選んで来られたように,法廷で研究者の常識が認められるとは限りませんので.この部分ははっきりさせておきたいと思います.

まさか,そうしておいてよかったと思うような事態になるとは想像していませんでしたが・・・

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kahoのコメント: Re:インフォマティクス (スコア 3, 参考になる) 63

by kaho (#2564236) ネタ元: オオカミ少年

(バイオ)インフォマティクスも今では裾野がかなり広がっており,確かにイメージがつかみにくいですね.
お尋ねの内容とは合致しないかもしれませんが私の考えを述べますと,今回の文脈では,簡単に言うと大量データ中心の生命科学とでもいえるかと思います.
今回の論文ではRNA-seq, ChIP-seqという,遺伝子の発現を全て観測する方法,遺伝子発現の制御を網羅的に観測する方法が使われています.これらの生データを印刷しても全く意味をなしません.コンピュータで処理して初めてその意味を知ることができます.

その他にも様々な方法がありますが,膨大なデータから意味を抽出し,統計的な処理と適切なモデル設計をして仮説を検証することで,生命現象を解明しようという立場は概ね共通しているかと思います.
この結果が欲しいからデータをこのプログラムにかけろ,といった下請け感覚ではなく,この仮説を検証するにはどういった規模でどのようなデータが必要か,あるいは得られたデータの特徴は何でどういったモデルでそれが明らかになるかといった建設的な議論がウェット(実験系ラボ)とドライ(解析系ラボ)の間で当たり前のように交わされるようになることを期待しています.

10770243 journal
日記

kahoの日記: オオカミ少年 63

日記 by kaho

STAPの話題は#5で最後にと述べましたが,少しだけ追加する必要ができましたので補足を.
聞く所によると犯人探しのようなことが起きているようでとても残念です.
今回私が投稿した内容は,神戸でNGS解析を担当した研究者を批判するものでは全くありません.
アップロードされたデータや解析内容から伺えることは,彼らは言われたデータをただとって,言われたように解析したのだろうということです.
外部に対してはプロジェクトの一員としてある程度の責任はあると思いますが,内部的には被害者という側面もあると思っています.恐らくサンプルの細胞名すら聞かされていなかったのではないでしょうか.
本当に彼らが不正な論文に加担しようとしていたのだとしたら,アップロードするデータをいくらでも加工出来たはずですが,ごく正直に,きれいなデータ(このおかげでかなり助かりました)を提供したというのが生データを見た私の印象です.

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kahoのコメント: お疲れ様でした (スコア 2) 21

by kaho (#2563538) ネタ元: 会見から帰還

内容が予想されたので会見は見ていませんが,長時間お疲れ様でした.
こちらはこちらで,サイエンスの課題として雑誌上での活動をするつもりです.
あまりにも実験ノートがプアだと調査が遅々として進まないという逆説もありえますし,証拠の確保も遅すぎたとは思いますが,単に撤回して終わりにはしないでもらえればと思います.

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日記

kahoの日記: STAP細胞の非実在について#5 123

日記 by kaho

とりあえず論文が撤回の方向に進んでいるようでいくらか安心しました.
真相の解明までいくか分かりませんので,10%程度の安心ですが.
誤解を受けないように明記しておきますと,今日までこの解析を行うにあたって私は一切の圧力も感じませんでしたし,協力してくださった皆さんのおかげで大変助けられました.頭に血が上った上に何の制限もなかったおかげで,周りが見えなくなって大失敗もしましたが.
一段落したことで今回がSTAPについて書く最後になるかと思います.今回の大本のメディアからも問い合わせを受け,本名を出しても構わないと返答しましたので,これからはコメントをするとしても公式な手続きを踏んだものになるかと思います.

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日記

kahoの日記: STAP細胞の非実在について#4 74

日記 by kaho

※以下のエントリは完全に間違いでした.間違いをしたことを隠さないため削除しませんが,主張は過ちであることを注記しておきます.

ここまで私はChIP-seqの”input”を元に解析を行ってきました.
このデータはまだいくつかのことを教えてくれますが,内容がほぼ学術論文のようになってしまうので,遺伝子発現について先に見たいと思います.
今回彼らが公開したNGSデータはChIP-seqとRNA-seqの実験のものです.このうち遺伝子発現を見るのはRNA-seqであり,いくつかの図を示しています.このRNA-seqデータは調べたい内容に対して不適当なほど長い配列を読んでおり,扱いづらい(計算時間がかかる)のですが,今知りたいのは大まかなアウトラインなので先頭の50塩基だけを使った解析を行いました.NGSデータに馴染みのない方には何のことかわからないと思いますが,データの一部を取り出して遺伝子発現について大まかな解析をしてみた,という意味です.

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kahoのコメント: Re:データの読み方 (スコア 4, 参考になる) 77

by kaho (#2558328) ネタ元: STAP細胞の非実在について#3

これについて回答します.
論文中にはどのマウスを使ったか書かれていませんので正確には分かりません(こういう不備も多い論文です)が,一般論としてレポーター遺伝子(今回はGFP)を導入する場合はターゲットの遺伝子の上流のプロモーターだけではなく,周辺(上流下流両方)のエンハンサー配列も一緒に導入します.そのためプロモーターだけでなく,もっと広い範囲の配列が観察できます.
実際JAX labや理研BRCで入手できるOct4-GFPマウスはエンハンサー領域も含めた導入がされていることがデータベースからわかります.

また,レポーター遺伝子の発現がよく分かるように,マルチコピーで導入されることもよくあります.
今回の図はOct4のプロモーター及びエンハンサーがゲノム中に複数挿入されていることを示すものです.
それ以外にもGFPの配列も存在するため,論文で使われているもののうちOct4-GFPであろうと考えました.

10741364 journal
日記

kahoの日記: STAP細胞の非実在について#3 77

日記 by kaho

残念ながら政治的には勝てそうにありません.
しかしここを読んだ人に誤解していただきたくないのは,私が孤独な戦いをしているというわけではないということです.むしろ話をした方々は全て私に賛同し応援してもらっており,数の上では私の方が圧倒的なマジョリティだと思っています.
科学雑誌の論文は著者全員の同意がないと著者側からの撤回はできませんので,一人でも意見を曲げない人がいれば強制的に撤回させる方法はないのが現在の制度であるのです.

10739442 journal
日記

kahoの日記: STAP細胞の非実在について#2 80

日記 by kaho

前回の日記は思いの外反響があり,驚いています.
察していただいた方もいらっしゃった通り,私は件の論文に直接関わる立場ではないのですが,研究所の外から見れば「中の人」になります.
内部では実名でこのような活動をしており,隠れているつもりはありません.内部でどうしても解決できなかった場合は外へ向けて情報を出すでしょうが,それまではできるだけ内部での解決を目指しています.
その目的は迅速な論文の撤回とできる限りの真相の解明がなされることであり,また動機は科学への信頼,研究所への信頼の棄損を許せないことが半分,この状態を曖昧にしておくことで私個人の研究活動も制限を受けかねないのでそれを防ぎたいという私利私欲も半分の動機となります.

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あつくて寝られない時はhackしろ! 386BSD(98)はそうやってつくられましたよ? -- あるハッカー

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