>Oct4-GFP発現までは正しいと思いますので
正しくないですよ.
今日笹井先生が配られた資料を見てびっくりしました.
「遺伝子発現パターンの詳細解析でも、STAP細胞は、ES細胞や他の幹細胞とも一致せず」
若山先生もトランスクリプトーム解析でSTAPは他の細胞と違うと仰っていました.
ところが,その「トランスクリプトーム解析」で分かることは,STAP細胞と呼ばれるもの同士ですら
「遺伝子発現パターン」が様々であることです.
アーティクルの方では酸処理後3日でES細胞マーカー遺伝子がある程度ESの発現に近くなり7日で
ほぼ匹敵するという図になっています.しかしレターの方ではSTAP細胞におけるこれらの遺伝子
発現はES細胞よりはるかに少ないという結果が示されています(Ext.Fig.3b).
レターの方ではトランスクリプトーム解析は2セット行われていますが,もう片方はESに非常に近い
どころかマーカー遺伝子の発現がESより多いほどです.
トランスクリプトーム解析はOct4-GFP発現を確認した細胞で行っているものではなく細胞塊をつくった
細胞で観察したということですが,少なくともそれぞれの図ごとに非常に異なる遺伝子発現をもつ
別種の「STAP細胞」があるということを示しています.しかし同じ図に使われるデータ同士は似通っ
ているので,作成日時によってその時々の「STAP細胞」があるかのようです.
そうであれば他の幹細胞と一致しないのは当然だと思います.「STAP細胞」と同じ名で呼んでいながら
その性質は日々変わることになりますから.
また,ESよりはるかに少ないマーカー遺伝子の発現でもSTAP現象と称するならば,GFPによる蛍光の
観察はOct4やその他のマーカー遺伝子とはリニアな関係でなく,Oct4の発現がほぼ0に等しくても
GFPが観察されたり細胞塊を形成したりするのだろうということになります.
トランスクリプトーム解析ではこの論点を出す前に私の愚かなミスで自滅したので書きませんでしたが,
他の方にも是非生データから解析を行って見比べていただきたいと思います.