von_yosukeyanの日記: 常陽でMA添加MOX燃料の照射実験 2
http://www.asahi.com/national/update/0523/TKY200605220380.html
核拡散を防ぐため、というのだがイマイチ要領を得ない
マイナー・アクチノイドというのは、核分裂によって生じる超ウラン元素のうちPuを除く9種をいい、うち半減期が異常に長いアメリシウムやネプツニウムを、MOX燃料中5%程度添加して中性子線を照射して、核変換を行うプロジェクトらしい
変換実験に使用するのは、高速増殖炉(FBR)である原研大洗センターの常陽で、この炉はFBR研究炉であるが、現在増殖炉心(Mark1)から照射実験炉心のMark3に変更されいて、主に照射実験に使用されている。原研によると、このうちの1体の燃料集合体をMA照射用の燃料棒として照射実験をやるらしいんだが、よくわらんね
MAの抽出は、再処理過程でPuを分離した後に化学的に抽出されると思われる。添加率を5%を上限にして添加すれば、FBRでも照射できるということらしいんだが、核拡散の防止というよりもFBR実用化のための口実なんじゃないかと思ったりする。元々、FBRは高中性子束で運転することが可能なため、MAに限らず解体中の核弾頭コアに使用されてるPuをMOX化して照射する実験は、原研とロシア原子力省が共同でロシアのFBRでも行っている
ただ、高中性子束な炉というのは、ほとんどFBRか専用に設計された軽水炉ではないと不可能なので、実質的にこの燃料が使用できるのはFBRか、建設中・計画中のMOX燃料の使用を前提としている原電や電開のABWRやAPWRくらいしかない。研究としてはアリだとは思うが、現実的にMA添加のMOX燃料など、通常のMOX燃料の装荷にも困難を極めている商業炉での使用など不可能に近いのではないだろうか
あと、実験参加国が日米仏というのが微妙にアレだ。三ヶ国のうち、FBRを運転しているのは日仏の二ヶ国だけだし、そのフランスもFBRは2009年までに停止する予定なので、実質的にこの実験を継続できるのは日本だけになる。まぁフランスは通常のPWRにMOX燃料を使用していたりするのでアレなんだが、なんか胡散臭さが拭いきれない研究だなと思ったりする
核種変換 (スコア:1)
J-PARC は加速器によるスポレーションソースですが、物質構造研究用の中性子源、核種変換、ニュートリノの3本だてだったと思います
核種変換なんてものが、どういう位置付けなのかは知らないのですが
「それがどうした、おれたちには関係ない」
Re:核種変換 (スコア:1)
ちょっと研究の実態をよく知らないので、直感としてですが、FBRがからむということはかなり政治臭いところが拭えないんじゃないかと思えるんです。FBRを長期計画として稼動させているのは、実質的に日本とロシアくらいですし、米国がエネルギー政策を転換して、再処理に着手しようとしている中で、ワリと日本の再処理技術やFBR技術が注目されているという事情もあると思います。それ以上に、米国の核政策が、核拡散を防止するために、核技術保有国をいくつかランク分けして、再処理技術や原子炉供給能力を持った国を、核供給国グループとして、核濃縮から原子炉提供、再処理まで一貫した体制を独占させるという計画もあります
FBRは世界的に逆風が強い上に、商業化はほぼ不可能なので、今の日本にできることはもんじゅを再稼動して、できるだけ多くのデータを採取して廃炉にするくらいだと思うのですが、溜まる一方のPuや使用済み核燃料をどうするかといった現実的な問題は、最終処分場が未定という中で、とりあえずFBR開発を進めるために、何らかの技術的課題でも据えとかないと政治的な立場がないことは確かです。深読みすしぎかもしれませんが…。