オーストラリアの大型動物を絶滅させたのは人類による火の使用? 8
ストーリー by yosuke
プロメテウスの誤算 部門より
プロメテウスの誤算 部門より
巨大化を夢見る猫曰く、"コロラド大学のGifford Millerをはじめとする研究チームは、草食性だった古代の鳥(emuと絶滅種であるGenyornis newtoni)の卵の殻とウォンバットの歯の化石の分析によると、 5万~4万5000年前に起きたオーストラリア大陸での大型動物相の絶滅は、そこに到達した人類が火を使い始めたことに関連づけられるとScience誌で発表しています(
カーネギー研究所のニュースリリース、News@Natureの記事、訳文)。
研究者らは、炭素安定同位体比計測を行って、過去14万年に渡る彼らの餌が何だったのかを推定しました。それによると、5万~4万5000年前に餌となる植物が急激に砂漠型へと変化したことがうかがえるそうです。また、これは絶滅したGenyornis newtoniの卵の殻には見られなかったとのこと。
植生の変化に関しては、まず気候変動という要因が考えられます。しかし研究者らは、これらの動物が暮らしていた時期に生じた気候変動によって餌や生活環境が変化した様子はない、としています。研究者らは、「餌の変化は人類がこの大陸に到達した時期に生じており、おそらくそれは火の使用に伴って植物相が変化した結果だったのだろう。特定の植物に依存し、急激な変化に対応するだけの柔軟性を持たなかった動物は絶滅へと向かったのだ」、と語っています。"
研究者らは、絶滅の原因が気候変動でもいき過ぎた狩猟でもない、ということからこの議論の余地がある結論を導きだしたようだ。
人の関与を推定するのは飛躍では (スコア:2, 興味深い)
このことだけで直接的に今回の説を否定はできませんが、巨大生物の絶滅と人の豪州大陸への進出を結び付けるには若干弱い気がします。
Re:人の関与を推定するのは飛躍では (スコア:2, 興味深い)
まあ、オーストラリアの環境がどのような歴史を経て来たのか、ちょっと解らなかったのであれなんですが…。
論文の主題はむしろ、動植物を絶滅させたオーストラリアの環境の変化がどういうものだったのか、人類のどういう働きにあったのか、にあるのだと思います。
Re:人の関与を推定するのは飛躍では (スコア:1)
もしかしたらヒトの進出がユーカリの生息環境の拡大を促しコアラの生息地拡大を促したのかも。
帰化生物(この場合は人間)が他の種の生態に影響を与えることは一般に多いと思います。
Re:人の関与を推定するのは飛躍では (スコア:0)
今も、船舶によるバラスト水によって態系の破壊 [google.co.jp]が問題視されていますね。
# オフトピなのでAC.
Re:人の関与を推定するのは飛躍では (スコア:2, 参考になる)
この記事にリンクされているもののフリーアクセスできない記事ではまた違った解釈がされ
ており、人類がオーストラリアに渡来してからしばらく共存していたという化石もあるし、
これもNature Web Newsで読んだもののフリーでは読めない記事では気象変化がなかった
というのはこれまで調べていた地点が悪かったのであり、調査地点を変えれば内陸部は
急激に乾燥した(よって山火事が起こりやすくなった)ことが分かったという報告も
あったと記憶しています。
私の想像ではオーストラリア全土を火の海にするほどの数と分布の人類が当時いたとは
思えないし、人間に責任を押し付けようとする著者らの説はちょっと強引なのでは
ないだろうかと思っています。
kaho
関連性の有りそうな最近の発表あれこれ (スコア:3, 参考になる)
アフリカから移住した最初の近代人達は、海沿いに進んだ説 [mypress.jp]
・オーストラレシアで発見された最も古い人骨は、およそ6万年前のもの
・東南アジアの先住民のミトコンドリアDNAの情報によると、6万5000年 程前にインドにいた特定集団が、アンダマン諸島とマレーシアに住む 先住民達の共通の祖先らしい。
・当時の遺跡は海の底になっている事が考えられる。
◇Australian Megafaunaの絶滅は気候変動によるもの?
オーストラリアの巨大な動物達は、人間の到達後も長い間生きていた説 [mypress.jp]
オーストラリア・ニューサウスウェールズ州のCuddie Springsから発掘された獣骨のウランやトリウムなどの放射性元素の量を測定し、それらが3万年程前まで人類と混在して生き延びていたとしています。
この場合の絶滅の主犯は、「3万年ほど前までに、この大陸の70%を乾燥地帯へと変えてしまった」気候変動だ、という事になります。
> オーストラリア全土を火の海にするほどの数と分布の人類が当時いたとは思えない
1788年の最初のイギリス人達の入植時以前の先住民達の人口 でさえも(はっきりとした数字は残っていませんが)、 推定で75万人から100万人ほどだったとされています。 いくら人間の増殖能力が高くても、当初の到達人数は ごく限られたものだったでしょうし、人間が「主要因」だとする説にはあまり賛同したくないです。
でも、砂漠化の進行に伴って、人間と他の生き物達が同一の生存に有利な場所を取り合ったとしたら … 人間の存在が否応なしに進んでいた「絶滅の進行を加速した」というのは有りそうですね。
絶滅には人間の関与があったとする他の諸説
・「電撃的な(blitzkreig)狩猟」によって食べられた
・「人間が持ち込んだ病気」に対する抵抗力がなかった
・「人間が連れてきた生き物との競合」に破れた
Re:人の関与を推定するのは飛躍では (スコア:0)
どちらにせよ, 原因は複合的であると思います. 燃えやすいことも原因の一つかもしれません.
ニュージーランドへの人類到達と黒土層 (スコア:2, 参考になる)
ニュージーランドへの人類到達はかなり新しく、ざっと1000年前だったかな。で、ちょうどその頃の土層から黒色土層になる(登場するか、増えたか)。これは草原が広がったためで、草原化した原因は、人間が来て火がもたらされて森林が失われた、という解釈。火は意図的か失火か分からないけど、とにかく野火が増えたと、そういう話...が、あったと思う。
同じ話の構図を(人類到達が5~6万年前の)オーストラリアに当てはめている感じ。