ジャンクDNAに重要な機能 9
新しい世界 部門より
parsley&naocha曰く、"毎日新聞記事、朝日新聞記事などによると、独立行政法人理化学研究所を主体とする国際研究グループは、マウスのDNAのがらくた部分から、遺伝子の発現を指令するなど重要な機能を持つRNAが作られている事を発見した(理化学研究所プレスリリース)。これまでは、DNAのなかでタンパク質をコードしている部分だけが重要で、その他の部分は進化の過程で蓄積されてきただけの無駄なもの、と考えられていた。
理研ゲノム科学総合研究センターの林崎良英主任研究員らは、マウスの細胞中のトランスクリプトームの詳細な分析を行い、計44,147種類のRNAが作られていることを解明。ゲノムの少なくとも約7割が、RNAに転写されていることになる。このうちの53%に相当する23,218種類は、タンパク質合成に関与しないものだった。これは従来知られていた数より遥かに多いものである。
また、タンパク質合成をおこなうコード配列であるセンスRNAの発現は、それに相補的な配列でありタンパク質合成を行わないアンチセンスRNAによって制御されていることもわかった。
今後、ヒトのRNA解析が進めば、さまざまな病気の治療に役立つ可能性があるという。これらの結果は、2本の論文にまとめられて9/2付のScienceに掲載されている(The Transcriptional Landscape of the Mammalian Genome, Antisense Transcription in the Mammalian Transcriptome)。また、関連する基礎情報も、理研のFANTOM 3と国立遺伝学研究所の日本DNAデータバンク上で公開されている。"
ソフトウェアでも (スコア:2, おもしろおかしい)
一見ジャンクにしか見えないコードも極力保存するよう努めてたのですけれど、
どうやらその心掛けは正しかったようですね。ほっとしました。
無駄に見えるグローバル変数でも、どこでどのようなコントロールに使われているか分かりませんからね。
ジャンクDNAの関連記事 (スコア:1)
ジャンクだと思われていた部分は,実は,遺伝発現を複雑に制御するためのRNAをコードしていた。したがって,ジャンク/非ジャンクなDNAは総体として遺伝情報を保持していると思われる。今回の研究成果により,遺伝発現を制御するRNAが思ってたよりも莫大にある事が判明し,遺伝発現における各種RNAの機能も含めて『遺伝子』とみなす新しい解釈のもとでその仕組みを詳細に調べなければならない事が分かった。
…と素人解釈してますけど,実のところよく分かってません:-(
Re:ジャンクDNAの関連記事 (スコア:3, 興味深い)
昨年のnature誌だったと思いますが、これまでにもタンパク質をコードしていないDNAが、遺伝子発現の制御をしているという報告はだされています(そのときは酵母)。
そのときは特定の遺伝子の制御を、タンパク質をコードしないRNAの転写開始によって行うことが明らかにされています。
結構以前から、タンパク質をコードしないRNA(tRNAなど機能的なものを除いても)がたくさんあることは知られていましたが、その機能は解っていませんでした。このとき、その未知の機能の一端が明らかになったことでジャンクDNAも何らかの機能をしているのではないか……と推測できました。
今回の論文は、理研の技術のたまものでもある、と考えています。転写されたRNAは、そのままでは解析作業に用いることができません。普通は逆転写(転写の作業をDNA > RNAではなくRNA > DNAで行う)によってcDNAにして解析をすることになります(RNAは不安定なので扱いが面倒)。
この作業で問題になるのが、mRNAの全長をcDNAに置き換えるのが困難である、ということですが、理研は全長cDNAを取る技術を持っているので、それが今回の結果につながったのでしょう(一部分だけだと、機能的なタンパク質として扱われるのか、それともジャンクなのか判断が難しい)。
網羅的な解析を行ったことも、特定のタンパク質のみではなく、一般的に存在する機構であることを示すのに一役買っています
#その代わり、作業を行った研究者の数が並みではありませんが(笑)
水銀燈へ (スコア:0)
常識は疑わなければ (スコア:1, 興味深い)