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新しいインフルエンザウィルス対処法 19

ストーリー by yosuke
特許出願済み 部門より

oddmake曰く、"BBC記事経由、英国ウォーリック大学Nigel Dimmock教授らのチームは全く新しいウィルス対策法を開発したと発表した。
教授らの開発した手法はこれまでにない斬新なものである。RNAを除去し無害化し増殖能力を奪った「防御ウィルス」を準備し、防御ウィルスが「通常の」、つまり感染性のある有害なウィルスと細胞内で結合すると、防御ウィルスは無害なまま通常のウィルスを上回る速度で増殖し、通常のウィルスを圧倒して免疫系がウィルスを駆逐するための時間を稼ぎ、実質的に侵入してきたウィルスに生ワクチンと同じ役目を果たさせるのだという。
動物実験の結果ではどのようなインフルエンザに対しても防御ウィルスは同様な有効性を示したそうであり、変異しやすいインフルエンザの対処法として期待の持てる結果である。また、この方式はこれまでのワクチンとは異なり、接種後即座に有効になるということだそうだ。まだまだテストは必要だろうが、今後に期待のもてる研究結果である。"

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by teratera (19792) on 2006年10月05日 8時06分 (#1031955) 日記

    論文が発表される前のpress releaseなので、詳細が解りませんが……
    多分、ウィルスの特徴そのものを利用した手段なのでしょう

    RNAの一部を除去することで、『増殖能力』『毒性』を奪ったということは、それらのタンパク質をコードする部分を壊したのでしょう
    通常のウィルスの感染によって、増殖能力が回復する点からも示唆されます
    A型限定っていうところも、それっぽい気がしますね
    (ウィルスは、順番通りにタンパク質を加えていけば、試験管の中でも構築できます)

    通常のウィルスの感染によって、増殖能力は回復するけど毒性は回復しないみたいです……これがこの記事のポイント
    予想ですが、『増殖能力』を制御する部分は、完全に破壊されているのでしょう。よって、通常のウィルスのもので補完されます。
    一方、『毒性』を制御する部分……これは、完全には破壊されておらず、一旦ウィルスに組込まれるけれど、実際には機能しないので毒性を発揮しない……というところでしょうか

    (仮に上の推察が正しいとして)
    注目なのは、RNAの破壊の仕方が絶妙というところでしょうか
    現在、ウィルスが細胞内に侵入しないようにして、感染拡大を防ぐ……という手法がありますが、今回のreleaseでは感染させるみたいです
    具体的にどこをどう弄って、どういう効果を期待しているのか、早く論文を読んでみたいものです

  • 命名 (スコア:1, おもしろおかしい)

    by Anonymous Coward on 2006年10月05日 3時59分 (#1031930)
    F5攻撃ワクチン
  • >防御ウィルスは無害なまま通常のウィルスを上回る速度で増殖し、通常のウィルスを圧倒して免疫系がウィルスを駆逐するための時間を稼ぎ

    と有るけれどその「無害」のウィルスは「有害」なウィルスを
    駆逐しても増殖し続けるの?
    免疫系が駆逐するのかな?

    だとすると、逆に免疫系に大きな負担がかかるような気がするし、
    通常のウィルスを上回る速度で増殖するウィルスを駆逐できるなら
    最初から免疫系に任しちゃった方がいい気もするし・・・

    #原文読解できないのでとんちんかんなこと言ってたらスマン
    • by ikebass (8108) on 2006年10月05日 5時33分 (#1031940)
      >「無害」のウィルスは「有害」なウィルスを
      > 駆逐しても増殖し続けるの?

      生体にとっては「無害」のウイルスも非自己なので、
      ゆくゆくは免疫系が駆逐するでしょう。

      ウイルスは細胞に感染することで、細胞のはたらきによって増殖します。
      細胞が1個のウイルスを1000個に増殖させる程度の活性をもっているものとして、
      有害なウイルス1000個できるのと、有害なウイルス100個と無害なウイルス900個できるのと、では
      後者の方が生体に与える負担が小さい、ということなんではないかと想像します。

      # 結局想像なんですが。
      親コメント
    • by SNT (23129) on 2006年10月05日 6時18分 (#1031943)
      これ二回目使えるんですかねぇ。
      この無害なウィルスの抗体が体内にできてしまって、
      二度目の投与において効果を発揮しないような気がするんですが。

      何回目投与用とかって感じで、抗体が反応しないように表面が化学修飾されているのかしら。
      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2006年10月05日 7時53分 (#1031954)
    誰か詳しい一解説してくれ。

    >つまり感染性のある有害なウィルスと細胞内で結合すると、

    ウィルスが細胞と結合するというのはわかるが、
    ウィルス同士で結合するというのは、
    ありえるのか?

    >防御ウィルスは無害なまま通常のウィルスを上回る速度で増殖し、

    防御ウィルスは、増殖しないのではなかったのか?
    なんでそれが通常ウィルスを上回る速度で
    増殖できるようになるの?

    増殖するようになった防御ウィルスは、変異の可能性を
    持つようになるんじゃないの?再び有害化する可能性も?
    • Re:よくわからん (スコア:2, 参考になる)

      by teratera (19792) on 2006年10月05日 8時18分 (#1031957) 日記

      >ウィルス同士で結合するというのは、 ありえるのか?
      ウィルス同士の結合というのは……専門家じゃないので、よく解りません
      ですが、『有害なウィルスのコンポーネントと結合』と考えれば、何となく辻褄が合います

      有害なウィルスのコンポーネントを使うことで、無害なウィルス単体では増殖できなくても、増殖可能になると推察されます
      速度については、どこで調節しているのか解らないので、これも推察ですが……
      RNAから最終的にタンパク質を作る過程で、『酵素の結合しやすさ』が速度に影響します
      ウィルス由来の配列をもつDNAからのタンパク質合成と、ヒト由来の配列をもつDNAからのタンパク質合成では、少なくとも実験ではウィルス由来のDNAを持っていた方が数十倍〜というオーダで合成可能です
      それを利用して最適化をさせていけば、通常のウィルスよりも早く増殖可能っていうのも無理ではないかも知れません

      >変異の可能性を 持つようになるんじゃないの?再び有害化する可能性も?
      変異の可能性自体はあります
      ですが、作製段階でRNAの一部を削り取ってしまっているので、『人為的に』その部分を回復させない限り『再び有害化』はないと思います。

      親コメント
      • Re:よくわからん (スコア:5, 参考になる)

        by y_tambe (8218) on 2006年10月05日 9時54分 (#1031988) ホームページ 日記
        論文そのものを読んだわけでなく、タレコミにあるムービーで見た限りなんですが。

        インフルエンザウイルス [wikipedia.org]のゲノムは8分節に分かれてるので、一つの細胞に同時に複数のウイルスが感染すると、「合の子」が生じます。もともと、ウイルスの複製ってのは、細胞の中で核酸とタンパク質などをパーツごとに大量生産し、細胞外に出る前にそれをパッケージするものなので、インフルエンザウイルスのような分節型のものは容易に組み換えが可能なんです。

        で、今回のやつのポイントは、実はワクチン用ウイルスの、欠損させた分節のゲノムが短いことだったりします。

        おそらく、欠損させたのはウイルス独自のRNAポリメラーゼか何かの部分だと思うんだけど、この部分の変異があるので普段は増殖が遅い。で、そこに別の病原性の高いウイルスが入ってきて、本来の(野生型の)ポリメラーゼを発現すると、そっちの活性が高いので、ワクチン用ウイルスも、後から来た病原株も両方のゲノムが活発に複製されるようになる。ところが、ワクチン株の方がゲノムが短い分複製が有利なんで、細胞内ではその欠損した分節の方が、野生型のもののよりたくさん作られる。その結果、野生型よりも変異型のウイルスが結果的にたくさん作られることになる、というそういう仕組みでしょう。

        これが可能になった背景には、インフルエンザウイルスのリバースジェネティクス(人工的にデザインした遺伝子からウイルスを合成する研究手法)が進んできた、ということがあります。特にパッケージングの機構解明では東大のグループの貢献も大きいですね。

        #実際にはvon Magnus現象によって、DI粒子(欠損粒子)が作られるような機構も効いてくると思う……実験系では。
        #だから、実験結果だけで臨床の有効性を推察するのには、一層慎重になる必要があるかと。

        インフルエンザウイルスの場合、上述のような機構で新型ウイルスが出るのが一ばん怖いことなので、そこが今回の方法でも最大の問題になるでしょう。特に、ワクチンとは違って「生きたウイルス」を使うことになるから、組み換えには慎重になる必要があります。「どのウイルスにも有効」だからと言って濫用されると怖いですね。
        親コメント
      • by Anonymous Coward
        >通常のウィルスよりも早く増殖可能っていうのも無理ではないかも知れません

        防御ウイルスの変異よりも、有毒ウイルスが防御ウイルスの増殖力を取り込んだ新種発生の方が怖いかもしれない・・・
  • 暖かくして寝なさい

    古過ぎですか?
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    惑星ケイロンまであと何マイル?
    • もっと古くから伝わる方法がある。もはや使い手は少ない失伝に近いものだが、それはこういうものだ。
      ”まず帽子1つと充分な量のウイスキーを用意する。次に帽子をベッドの枠に掛け、それを眺めつつベッドの上でウイスキーを飲み始める。最後に、帽子が2つに見えるようになったら、そのまま倒れこめ”
  • by Anonymous Coward on 2006年10月05日 11時18分 (#1032042)
    防御ウィルスを直接接種するよりも、ワクチン製造
    期間を短縮するために生かしたほうが安全のような
    気がする。

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