夏本番で逼迫する電力事情の東北地方【アップデート】 11
8月8日東北電力管内で一時的に電力供給の予備率が3%を割り込む事態となった(毎日jpの記事、東北電力プレスリリース)。
7日夕方の時点で想定された東北電管内の需要予測は1180万kWであったが、事前予想よりも気温が上昇。使用電力が増え、正午前に一時供給予備率が3%を切る事態に。そのため東電に緊急の追加融通を要請、8日午後に110万kWを融通してもらうことで、供給予備率が上昇し停電の危機が回避された。なお8日の最大使用電力は1233万kW(14時半ごろ)。
さらに8月9日、東北電力管内で予想最大使用電力は1250万kWを見込んでいたため、東電から東北電へ送電線能力の枠内で最大の140万kWを受電していた(北海道電力より30万kW+電力会社間の連系線利用により最大110万kW)。しかし「東北電管内では最高気温が1度上がると電力需要は30万~35万kW上昇するとされる」(毎日jp)一方、他社電力会社からの融通量の限界に達していたため、東京電力と対応策を協議。常磐共同火力(株)勿来発電所8・9号機(各60万kW)から全量受電するよう接続を変えたことで、10日より東京電力から合計170万kWの電力融通を受ける見通しとなった。
なお9日の最高気温は青森県弘前で31.9℃、秋田県角館で33.8℃、岩手県盛岡で33.6℃、宮城県仙台で32.0℃、山形県山形で34.0℃、福島県福島で35.7℃を記録。東北電力管内での最大使用電力は1249万kWだった(9日14時台)。
とはいえ7月末の新潟・福島の豪雨の影響で止まった29箇所のほとんどの水力発電所は復旧の目処が立っておらず、さらに何らかのアクシデントで稼動中の発電所が止まることになれば、融通を受けながらも東北電力の供給力が低下する最悪の事態もありうる。しかし東北電力の供給力が減少する場合でも、まず大口需要家との調整契約に基づき電力供給の一部または全部を停止する処置がとられた後計画停電が実施されるとのこと(9日の日経新聞9面より)。そのため現在東北電力は大変厳しい状況でありながら「計画停電は原則として不実施」の方針を明らかにしている。
全力で安定供給の維持に取り組む電力会社だけでなく、日々震災復旧に迫られている東北地方の方々の節電の努力を忘れてはいけないと思う。
東北電力管内電力使用状況モニタ(速報値) (スコア:1)
setsuden.tohoku-epco.co.jp
91% - 1226万kW使用中 / 1347万kW供給可能
08月10日11:00更新
setsuden.tohoku-epco.co.jp
91% - 1235万kW使用中 / 1347万kW供給可能
08月10日11:15更新
setsuden.tohoku-epco.co.jp
91% - 1237万kW使用中 / 1347万kW供給可能
08月10日11:25更新
気象庁|気温一覧表 [jma.go.jp]によれば、10:00現在東北地区で26℃未満の最高気温を観測したのは青森県酸ケ湯(23.1℃)と福島県鷲倉(23.8℃)のみで、すでに30℃の真夏日のところは多い。また青森県内ではすでに8地点で「今年最高気温」をマークしており、真夏日を記録した地点は16地点と昨日より多い。さらに岩手県太平洋岸で気温が上がっており、たとえば岩手県釜石 [jma.go.jp]の9日の最高気温は8月中旬並の27.9℃(12:50)でしたが、今日は34.2℃(10:28)をすでにマーク。朝方は22.5℃(4:42)の最低気温にも関わらず、8時には31.1℃になるなど、釜石では急激に気温が上昇している。
モデレータは基本役立たずなの気にしてないよ
東北電力曰く「想定どおり」 (スコア:1)
setsuden.tohoku-epco.co.jp
92% - 1245万kW使用中 / 1347万kW供給可能
08月10日12:00更新
asahi.com(朝日新聞社):東北電、10日の使用電力を今夏最大と予想 - 社会 [asahi.com]
モデレータは基本役立たずなの気にしてないよ
今日は本当に暑いけれど、意外と電力供給は余裕あり (スコア:1)
なるほど。今夏で一番暑いと思われる8月10日のピーク時間帯でこうですか。
東北電力管内電力使用状況
setsuden.tohoku-epco.co.jp
91% - 1234万kW使用中 / 1347万kW供給可能
08月10日14:45更新
関西電力管内電力使用状況
www.kepco.co.jp
91% - 2758万kW使用中 / 3010万kW供給可能
08月10日14:33更新
東京電力管内電力使用状況
www.tepco.co.jp
89% - 4906万kW使用中 / 5460万kW供給可能
08月10日14:40更新
九州電力管内電力使用状況
www.kyuden.co.jp
87% - 1518万kW使用中 / 1735万kW供給可能
08月10日14:45更新
一方で今年夏は電力会社の台所事情は大変らしい。関電の中の人 [kepco.co.jp]曰く「一回で数百億円という資金を調達するので、その調達が会社に与える影響は非常に大きくなります。例えば、10年で100億円の借入れを行う場合、金利が0.1%高くなるだけで1億円の利息負担が会社に生じることになります」とのことだが、日経記事 [nikkei.com]によると、福島事故やエネルギー政策の混乱で社債の発行が難しい。そこで短期返済型のコマーシャルペーパーによる資金を調達しているのだが、関西電力や九州電力は3月末500億にも満たなかったCP残高が、6月末には関西電力で2390億円に、九州電力は2000億円超になっている。さらにCPの発行残高の限度額が3000億円のため、上限に近くなると電力会社は資金調達のやりくりが大変になるらしい。
モデレータは基本役立たずなの気にしてないよ
Re:北東北は午後雨雲がかかっていたのね (スコア:1)
2010年8月10日の日照時間 [jma.go.jp]
午前中北海道南部で降っていた雨が、午後青森・秋田でも降り始めていた。今日秋田県で高温注意報が出ていなかったのはこのせいか。
青森や岩手で「今年最高」や「観測史上最高」をマークしていたのに、秋田県で気温が前日比でマイナスが出ているのは雨雲のおかげか。
モデレータは基本役立たずなの気にしてないよ
いろんな隠し球を見せてもらおう (スコア:0)
ここ2,3日でもう無理かなって思ったら、「東京電力との共同出資の発電所の配電替えさせてもらう?」これで60万KWhクリア?
これだと東京電力は停電出来ないはずですよね。
まぁ、福島で迷惑掛けたってのはありますけど。
せこい (スコア:0)
Re:せこい (スコア:1)
Re: (スコア:0)
そりゃぁ、余裕度は大きいに越したことはないからでしょう。
自社より逼迫するところ(この場合東北電力)があればそちらへ譲るのが筋でしょうけど、これまではそこまで切迫した状況になってなかっただけかと。
東京電力の場合:過去ストーリー@/.J (スコア:0)
東電だとこまめに(3・4月に)ストーリー立っていたのに、夏になって東北電力管内の危機だと全力でスルー@/.J
計画停電のグループ分けは細かく変更されているらしい [srad.jp] (タレコミ本文は東電管内の話だけ)
夏の電力不足、どう対処する? [srad.jp](タレコミ本文は東電管内の話だけ)
有志が「東京電力電力供給状況API」を作成 [srad.jp]
東京電力、計画停電のグループを細分化 [srad.jp]
東京電力、夏季も計画停電しないで頑張ることに [srad.jp]
東京電力の計画停電、4月いっぱいで終了予定。対応策は? [srad.jp]
震災復旧は東京じゃ「終わコン」あつかいなんですかねぇ?
Re:東京電力の場合:過去ストーリー@/.J (スコア:1)
はーい予想どおり却下でーすwbyタレコミ人
議論が原発の是非にも及んじゃうので結構採用が微妙なネタだと思います
# 同じ予想気温なのに明日以降関電は「余裕ある一日」 [kepco.co.jp]とか訳ワカラン
モデレータは基本役立たずなの気にしてないよ
まんまと釣られたわけだ (スコア:0)
でんき予報、「ピンチ」は本当? 東北電、隠れ電源次々と [nikkei.com]
> 東北電力管内(東北6県、新潟県)で続いていた電力需給の逼迫は11日、お盆休みに入ったことで
> 需要が前日より約80万キロワット減少し、お盆前の山場はひとまず越えた。当初は政府が、需給逼
> 迫時に警鐘を鳴らすことになっていたが、結局そうした事態に至らなかった。ホームページで需要
> 家に需給状況を知らせる「でんき予報」では連日ピンチが伝えられていたにもかかわらず、東北電
> などが慌てなかった背景には“隠れ電源”の存在があった。
まんまと釣られたmasakun乙