
jonykatzの日記: ES/iPS細胞の大規模生産を可能にする三次元培養法が開発 21
京都大学の中辻憲夫教授の研究グループが、ヒト多能性幹細胞(ES/iPS)を三次元的に大量生産することが可能な手法を開発したと発表した (Technityの記事、京大リリース)。
幹細胞の医療応用には大量の細胞を必要とするが、従来の接着培養法では大量生産には不向きであり、最近注目の浮遊培養法では細胞スフェアが底に沈んだり、互いに凝集して大きな塊を作ってしまう等の問題の他、撹拌により細胞が物理的にダメージを受けるという問題があった。今回、メチルセルロースを添加物することで細胞の沈殿を防止、ジェランガムというゲル状ポリマーを加える事で細胞スフェア同士の凝集も防止、それに加え、細胞解離においては酵素処理ではなくメッシュフィルターを用いた機械的処理による細胞株の継代法を確立し、それらによって安定した大量生産を可能としている。この方法で200mL容量のガス透過性培養バッグを用いた培養において、10の8乗個の細胞数を獲得できたという。
蛇足ではあるが、この手法はまずES細胞を用いてプロセスの確立がなされ、その後にiPS細胞でも確認されたとのことだが、当の中辻教授はES要らないiPS写真よこせ!というメディアの要求にお怒りのようだ。これもSTAPの余波であろうか。