numaの日記: 古い建物好き
どうも、自分のなかには、昭和30年代から40年代に建てられた古い建物、特に商業施設に対する愛好があるようだ。なぜか、落ち着くというか、郷愁を感じさせるというか、そういう感覚がある。
もっと古い建物、たとえば神田連雀町の蕎麦屋とか、旧交通博物館(元万世橋駅)とか、ああいうのも風情があっていいのだが、懐かしいとまでは思えない。時代が違いすぎているせいか、自分とは別の世界に属しているように感じてしまう。
さて、なぜ商業施設かというと、そういう古い建物に新しい店、新しい商品が並んでいるところが、微妙にミスマッチな雰囲気を醸し出していていいのかもしれない。なにもかも古いままでは、時間が止まってしまった世界のようなもので、あまり面白みを感じない。 といって、新しいオシャレなビルには、自分の身の置き場所がないような気がする。
古い建物は老朽化のために建て替えが推進されていて、徐々に減っていきつつある。 東急文化会館の閉鎖以来、それが加速されたような気もする(そういう時期だったのだろう)。文化会館には大きな劇場があったし、三省堂も2フロアあって、わりと行くことが多かった。三省堂の一方はマンガ専門店だったと思う(渋谷にはマンガ専門店も多い)。古いといえば、大盛堂の旧店舗も古かったものだ。あそこのエスカレーターはいつ止まるかと思うような動き方をした。渋谷ハチ公斜め向かい、いまはTSUTAYAが入っているビルは、むかし渋谷宝塚劇場があった場所である。宝塚の名のとおり東宝系だったが、ここも古かった。これ以降、渋谷の書店は全体的に弱体化し、映画館も小さなものが多くなる。どんどんオシャレなビルが建てられて、どんどん入りづらくなっていく。
映画館といえば、新宿の映画館も激減した。歌舞伎町にたくさんあった映画館(やはり、どれも古かった)は、東急系を除いて絶滅したし、東映パラスも新宿ピカデリーも建て替えられて、いまやオシャレなシネコンである。 パラスは、むかし大劇場だったのを無理やり4つ(だったか)に分けたため変な構造になっていて、椅子もへたってガタガタだった。あれでは終わりも近いと思っていたが、ピカデリーはそこまで古かったわけではない。まあ、シネコンになるのも時代ではある。あまり面白くはないけれど。
最近では、ラジオ会館もアキハバラデパートも消えてしまった。あとはラジオデパートが残るのみ。アキバにはさすがにオシャレビルは似合わないだろうが、アキバ人種も変わっていきつつあるしなあ。ファッショナブルなアキバ……ないな、やっぱり。アキバのファッションはメイドさんだけでいいよ。
ちょっと昔に戻れば、あちこちで同様のことが起きていた。大和の駅前も、地上に電車が走っていた頃は、古臭い建物もあったものだが、知らないうちに小奇麗になっていた。まあ、駅からちょっと離れれば昔ながらの街ではあるのだが。
もっとずっと昔の話をすると、川崎の地下街が完成する前は駅ビルも結構古くて、私の好きなにおいがした。映画街もチネチッタになる前で、やはり古かった。地下街と駅ビルと映画街がほぼ同時期に新しくなり、川崎は急にモダンになった。それでもやっぱり川崎なのだが。チネチッタはさらに改装され、いまでは流行のシネコンである。なんだかなあ。
というわけで、古いものはやがて消えてゆく運命にある。そろそろ私も消えようか。
# ここに並んでいる街に共通するキーワードがあるような気もするが、たぶん気のせいだろう。
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