ottotoの日記: ガラパゴス 1
最近ショパンを中心に演奏動画をよく観てるのですが、「ハイフィンガー奏法」なるものがあるのを知って検索したらこんな感じでした。
私が学生の頃は、ドイツ式のマルカートで習いました。
一本一本指を上げるので、指を落とすタイミングで音の強弱や表現をつけることができます。
古典派向きの弾き方です。
脱力も教わりましたが、音楽学校へ通っていた時に「癖がついている」と言われ、強制的に直されました。
我が子は桐朋の附属音楽教室でお世話になっていますが、基本はコテコテのドイツ式ですね。ハノン・スケールはもちろん、チェルニ-や古典物とバッハインベンションはもちろん毎日練習です!
指の独立から脱力、肘や手首の使い方まで細かい指導が入りますよ。
ドイツ式=マルカート、というのは、ちょっと違うような気がするんですよ。
>一本一本指を上げるので、指を落とすタイミングで音の強弱や表現をつけることができます。
指をどのくらいの高さから落とすんでしょうか。これ、ドイツ式、というよりも、すでに歴史的遺物となった、ハイフィンガー奏法のように思えてしまいます。
フランス系のみならず、ロシアンピア二ズムの台頭で、欧米では、少なくとも1950年代には、誰も見向きもしなくなった奏法です。日本では、なぜか井口基成一門を中心に珍重し、ずいぶんと日本の教育をゆがめました。
1950年代に、井口がギーゼキングの演奏を聴いて、ポジション奏法、と言って非難し、ついでに、ピアノは叩かなくては鳴らない、と書いているのを見て仰天しました。おかげで、何千人の若いピアニストが腱鞘炎でピアニスト寿命を縮めたでしょうか。クロイツァーやシロタといった日本に住んだ本物の超一流や、田中希代子や原千恵子など本場のピア二ズムを習得した名手を黙殺した、日本の戦後のクラシック音楽界の暗黒面です。
スポーツではありがちなパターンですが、芸術関係でも似たような話はあるんですね。
どうしてこうなっちゃうんでしょうか、海外の人から見たら、「とっくに絶滅したと思ってた珍種が東洋の小国で生き残ってた」くらいの感覚なんじゃないでしょうか。