sawadayの日記: 三頭山
今日は東京地方は晴れ。いい天気です。暑いが湿度がそれほどでもなく風も適度に吹いてるので快適。一日中窓を開けてすごせる。
昨日は今シーズン初めて登山をした。八王子近辺の低い山だが、嫁さんも一緒だったのでゆっくり登れる山にした。あいにくの小雨混じりの天気だったが、照葉樹の森だったのであまりぬれることなく登山できた。
都の管理で、登山道が整備されているため、異様に整った快適な登山ができる。快適だ、確かに。でも、ちょっとやりすぎなような気がする。
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それにしても山に登るたびに感じることだが、杉林が本当に多い。
杉が多いのは建築用に国策として植林政策を進めた結果によるものだが、外材が安価に入手できることから割高の国内杉は需要がない。
杉は車も入れないような山の急斜面に植えてあることが多いので、仮に切り出す場合には索道(工事用ロープウェイ)を張ってふもとまで降ろす必要がある。結局、そこまでコストをかけて切り出すより輸入したほうが安いというわけだ。
それでも、関東などの雪の降らない地域はまだマシだ。雪国では冬に降った雪の重みで若い杉の木は地面に寝てしまう。これを春になると起こしてやらなくてはならない。「杉起こし」という。
木なので重い。というか普通に押しても起きない。当然、車も入れないようなところなので手動だ。専門の手動ウィンチがあるので、ワイヤーで固定して起こす。起こした後は荒縄で結んで固定する。結ぶ先はもう雪で寝たりしないような巨木の根元とか。
切れやすい荒縄を使うのは、冬になるまでに切れてほしいからだ。
木を起こすことで夏過ぎには木は起き上がって、支え(縄)が必要なくなる。なので腐って切れてくれる荒縄のほうが都合がいいというわけなのだ。切れないとその縄に雪が積もって、木に力がかかるので良くないわけだ。
ウィンチがない昔は滑車を使っていた。これでもずいぶんと楽になったそうだ。急斜面なので作業はしにくいし、作業中にワイヤーや縄が切れることもあるので危険な作業だ。こんな作業を植林した後何十年も面倒を見てやらなければならないのだ。それ以外にも下草刈り、枝打ち。まあやってられんわけです。そんなに高く売れるわけでもないし。
それでも、代々受け継いできた森を手入れしないわけにもいかず、金になるわけでもないのに手入れを続けているのが実情なのではないのだろうか。(少なくとも私の実家ではそう)
杉の木は最近、花粉症の引き金ともなっており、悪役のイメージも強い。
実際に林の中に入ってみればわかるが、針葉樹林の土壌部分というのは乾燥している。杉は落葉樹に比べると、根の張り方も狭く、保水能力や土壌を安定させる能力も低い。
さらに、人工的に植えたものなので植生密度が非常に高い。通常はある程度育ったら間引きして、育ちの良いものだけを残すということをしなければならないのだが、人不足なのか手入れがされない。そのため、林の中は昼も暗い。非常に暗い。
結局、明治から行ってきた施策が問題になっていってしまったわけだが、その当時はこんなことになるとは誰も予想できなかっただろう。いかに施策というものが難しいものなのかよくわかる。
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快適に山を登りをしながら、所々にある杉林を見て、そんなことを考えていた。