tinyfortの日記: Appleを特許侵害で訴えたアベトシヤス氏に自分も訴えられた!! 4
まあ訴訟されたのではなくて侵害のメールを受けたのですが、皆様の情報や知恵を頂ければ。
似たような特許侵害の訴えを体験した/しているホビー開発者もコメント頂ければと思います。
少し長文ですが、事の背景です。
私はmozcをベースにしたAndroid用ソフトウェアキーボード(こんなの)を開発し、Googleストア上で公開していました。T9機能もどきを辞書への単語登録で実現したのと、操作を若干強化しているのが特長です。実のところ全然ダウンロードされずユーザーもほとんど居ない状況が続いており、ほとんど自分専用のソフトになっています。
そこにアベトシヤス氏の特許権管理者から
あなたのソフトはアベトシヤス氏に発行された米国特許第6,520,699号と中国特許番号CN 100396499を侵害している。
私達は過去および将来のすべての侵害に対して損害賠償を受ける権利がある。
本件についての参考として対アップル社の事件を紹介する。事件番号:3:18-cv-01067-SB。
という概要の警告メールが届きました。
Apple社との訴訟の概要は「iOSのフリック入力や3D Touchが特許侵害であるとして日本人発明家がAppleを訴える」にありますね。具体的な特許の内容はGoogle特許のUS6520699B2にある通りです。
ちょうど前後してアプリ開発に対するモチベーションを失って公開を中止していたこともあり、私は
該当ソフトに対する関心を失っているため既に公開を停止済み。
当該特許は本アプリに当たらない。
当該特許は当時の既知技術((T-CUBE(参考用PDF)&MFキーボード等の組合せなど)から容易に想到可能。
既に公開停止しているので議論等の対応は考えていない。
(なお本メール及び返信にはネット等に情報公開する場合がある)
と回答しました。
その後返信として
侵害ソフトを提供していないことは確認した。
しかし、過去の侵害に対して金銭的損害賠償を受ける権利がある。
それにもかかわらず、特許の安価なライセンスをあなたに提供する。
別途示される和解契約に従うことを条件として、基本的に以下のとおりとなる。
- 特許を使用するには、安倍氏に100ドルの一時ライセンス料を支払う必要がある。
- 安倍氏は、侵害アプリの開発と使用から生じる特許侵害に対するすべての請求からあなたを解放する。
という概要のメールが届いたのが現状です。
元々根拠のない特許侵害/侵害期間が無いため向こうの訴えの根拠を失っている状況ですが、少し興味が出てきたので、ソフト特許侵害に関して色々と皆さんお持ちの情報をお教え頂ければと思います。
特に本件に関連する部分として
- Apple訴訟の最新状況
- 同様のソフトを出しているGoogleやJustSystem、Baidu、アルテ、flickの対応
- 米国特許第6520699号を明示しているアプリ・デバイスの存在。特に最新のiPhoneやAndroidが表記しているかどうか。(アメリカの特許制度だと特許表示が必須のようですので)
- アメリカから撤退した(私のような)日本人を相手にアメリカで訴訟できるのかどうか。
について何かご存知の方がいらっしゃいましたら情報頂ければと思います。
また、もっと一般的な話として
- 自分が開発している/していたソフトについて特許で訴えられた体験
- オープンソースにおける特許回避策(ソースコードのみの公開など)
- ソフト特許や米国特許制度、米国司法制度における注意事項。
などについても、(問題の無い範囲で)コメントいただけると参考になります。
もちろん、法の解釈などについて責任を有さない前提で構いません。
(出典へのリンクなどはわかる範囲でお教えください)
このやり取りで少しモチベーションが復活したので、mozcからフォークして改変部分をオープンソースで公開しようかと考えています。
今のmozcだとAndroid用にビルド出来ないですからねぇ。最新の環境に対応すれば少しは需要あるのではないかと。
私も興味がある (スコア:0)
公開予定はないけど、T9やCUT Keyのデッドコピーを試作してみようかと思っていたんで。
抵触する特許があるか否かを把握するのは、素人には難しい。
Re:私も興味がある (スコア:1)
まずは過去に類似の技術があるかどうかですね。
特許の存続期間は20年なので、それより古い技術は特許を取得していても大体無効になっています。
T9は2015年7月26日で無効になっていますね [google.com]
CUT Keyは2001年にはあるみたいですけど、何時からあるかは不明……
なお、(日本の)特許は「業として行う」ものですので、個人で使う分には問題無いです。
アプリとして公開しないのなら大丈夫そうですね。
Re: (スコア:0)
情報ありがとうございます。
「業として」ってのがどこまでを指すのかがいまいちよくわからなくて、
変則キーボード作ってうごかすまでは問題なし、だとして、
これで仕事のメール書いたら「業として」に該当しちゃうんじゃないか、とか。
基本の特許は切れていても、そこにちょっとした改良を追加しただけで
別の生きてる特許に触れるんじゃないか、とか、いろいろ心配になります。
アイディアだけ公開して20年待つか…
Re:私も興味がある (スコア:1)
「業として」というのはかなり微妙な概念になりますが、大雑把には事業を助けるために実施することを指しているみたいです。
「業として 特許」あたりで検索すると、微妙な部分の解説がいくつか出てくるかと思います。
その辺りはホント悩ましいですよね。
mp3の特許をソースコード配布で回避しようとしたLAMEの手法もけっこう疑わしいみたいですし、なかなか難しいものです。