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日記

masakunの日記: 川内原発にカルデラ噴火のリスクはあるのか 2

日記 by masakun
現在九州電力が擁する川内原子力発電所は国内にある他の原発に先駆けて再稼働できるよう着々と進行中だが、ここにきて近隣の噴火のリスクを問う声が上がっているという。しかしそれはたびたび噴煙を上げる桜島ではなく、鹿児島湾と桜島を囲む姶良カルデラが噴火したらという途方もない話である(ロイター)。

ご存じのとおり日本は世界有数の火山列島であるが、日本付近で一番最近に起きたカルデラ噴火はおよそ7300年前に現在の薩摩半島から南に 40km のところにある鬼界カルデラ(海底カルデラ)で起きたアカホヤ噴火。この噴火による火山灰(鬼界アカホヤ火山灰)は種子島で20~40cm、はるか遠くの琵琶湖でも 3 ~ 5 cm の地層として確認できるほど広範囲に降り積もり、周辺の屋久島や薩摩半島や大隅半島の南部一帯にも海上を数十キロ流走した幸屋火砕流が押し寄せた。また噴火の前後には南九州に強い地震があったともいわれている(屋久島を覆った約7300年前の幸屋火砕流堆積物の流動・堆積機構)。このことからいかにカルデラ噴火が破壊的なのかうかがいしれよう。

さてロイターの記事によると、原子力規制委は「川内原発の半径160キロ圏内に位置する複数のカルデラが、破局的な噴火を起こす可能性は十分に低いうえ、全地球測位システム(GPS)などによる監視体制を強化すれば、前兆を捉えることができる」としている。しかし火山噴火予知連の東大名誉教授は川内原発の運用期間中に破局的噴火が「起こるとも、起こらないとも言えない」と異論をさしはさむ。さらにこの点を記者に指摘された原子力規制委は「原子炉を運用する30―40年の間に、カルデラ噴火のような破局的噴火が起こるという不安定な状態にはない」と断定したという。

現代科学が対峙したことのないカルデラ噴火が事前に察知できるかどうかはさておくが、京都大学学術情報リポジトリにある大規模カルデラ噴火の前兆現象という地質研究の資料によると、鬼界カルデラは「噴火の前に長い休止期間が必ずしも必要ではないこと」「アカホヤ噴火からまだ1万年も経っていないが、カルデラ中央には再生ドームが形成されており、次のカルデラ噴火が差し迫りつつあるのかどうか、多面的な研究が望まれる」とし、また姶良カルデラについては、桜島誕生の1万年後にできた堆積物を調べると、桜島のものとはマグマの組成が違かったため、「姶良カルデラと桜島火山のマグマ溜りは分離した存在」と考えられるという。つまり表面的な火山活動(この場合、桜島)が活発であればカルデラ噴火は起こらないというのは迷信だとしている。

ただし陥没カルデラはマグマ溜まりさえあれば火山ではないところにもできるので、姶良カルデラが再噴火したら川内原発が危ないという主張は想像力が欠如しているといえなくもない(笑)

【7/28修正】若干主語がおかしかった部分を修正しました。コメントには再稼働反対パンフレットのリンクもいれてありますので、よろしければどうぞ。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by Anonymous Coward on 2014年06月04日 13時18分 (#2614923)

    問題なのは巨大なカルデラ噴火が起きる可能性ではなく、
    それによって川内原発が致命的な事故を起こすかどうか、それによって住民が被害をうけるかということ。

    さて、噴火の火砕流などで原発が致命的な被害を受ける状態だ。
    鹿児島県ほぼ全域を襲う、東日本大震災をの津波をはるかに凌ぐ未曾有の大災害。
    住民の被害という点では、原発の話してる場合じゃなくね?
    断層があるから危険とかは、原発自体の問題だからわかるけど、
    今回のは噴火で原発事故が起きるという結論ありきで、変な箱開けちゃったようにしか見えない。

    • >さて、噴火の火砕流などで原発が致命的な被害を受ける状態だ。

      過去のカルデラ噴火の火砕流跡が、川内原発の敷地内で見いだされているだろうか。

      反原発・かごしまネットが提供するパンフレット「仙台原発直近の巨大活断層と幾度も襲った火砕流 川内原発の再稼働はこれで消える!」 [synapse.ne.jp]にはこうある。

      第 2 部 川内原発を幾度も襲った火砕流
      1. 原子力規制委員会が火山基準を策定
       これまで、地震に対する指針はあったのですが、火山に関するものはありませんでした。様々な提言を受けて、2013 年 3 月 28 日、原子力規制委員会
      より、「原子力発電所の火山影響評価ガイド(案)の概要」が示されました。
       原発から半径 160 キロ内の活火山を対象とするもので、原発に到達する火砕流が発生した場合は、対策をとることがそもそも不可能なので、火砕流が
      発生する可能性が「十分小さい」と評価できない場合は「立地不適」と判断され、既存原発なら廃炉を迫られる、としています。
       川内原発のある鹿児島県は、日本有数の火山県です。今も多くの活火山を有しています。さらにこれまで、川内原発は幾度も火砕流に襲われています。
      川内原発は、廃炉にされなければなりません。

      (略)

      4. 川内原発周辺に見られる火砕流
       このうち入戸火砕流と阿多火砕流は川内原発付近まで到達したことが明らかになっています(九電「川内原子力発電所 敷地周辺・敷地近傍の地質・
      地質構造」2009.7)。入戸火砕流については、川内原発の南 2km の寄田地区に高さ 10m ほどの露頭、東 5km の高江地区には 4m ほどの堆積が確認され
      ています

      図 7. 九電による川内原発周辺の地質図 (2009.9.18)

       九電は、入戸火砕流、阿多火砕流の堆積物が敷地内にないことをもって、影響は小さいと評価してきました。

      図 8. 九電の火山に関する見解
      (2009.4「3 号機増設に係る環境影響評価準備書についての意見の概要と当社の見解」)

      5. 立地不適、廃炉にされるべき川内原発
       たとえ敷地内に見られなくとも、原発よりわずか 2km の地点に火砕流堆積物の露頭 10m があれば、同規模な火砕流が襲えば川内原発が壊滅するこ
      とは確実です。100 人火山学者がいれば、100 人とも認める事実です。
       ここで、2013 年 3 月に原子力規制委員会が示した「原子力発電所の火山影響評価ガイド(案)の概要」を見てみましょう。

      将来の火山活動可能性があると評価された火山について、原子力発電所の運用期間中において、以下の設計対応が不可能な火山事象が発生する可能性が十分小さいか評価を行う。
      1. 火砕物密度流
      2. 溶岩流
      3. 岩屑なだれ、地滑り及び斜面崩壊
      4. 新しい火道の開通
      5. 地殻変動
      火山事象が発生する可能性が十分小さいことの評価は、現在の火山状況調査から対象火山が安定しており、大規模噴火による影響が及ばないと評価されることをいう。

      川内原発は沖積層 [wikipedia.org]の上に建設されたので、姶良カルデラの火砕流跡地に建設されたのではないことは反原発派もすでに認めるところ。

      もちろん九州電力が提出した川内原発の火山影響評価資料 [nsr.go.jp](平成26年4月23日)をみると、周囲にある複数のカルデラの、個々の噴火可能性の分析についても盛り込まれている。姶良カルデラについてはこうだ。

      3.2(2)姶良カルデラ〔概要〕
      地質調査の結果、敷地を中心とする半径30kmの範囲に入戸火砕流堆積物が認められるものの、敷地に同火砕流堆積物は認められない。なお、敷地から半径5kmの範囲に同火砕流堆積物が認められることから、敷地に到達した可能性は否定できない。

      3.2(2)姶良カルデラ〔噴火履歴による検討〕
      * 前述の鹿児島地溝における破局的噴火の活動間隔に関する検討から、運用期間中における破局的噴火の可能性は十分低いと考えられる。
      * 破局的噴火の活動間隔(約6万年以上)は、最新の破局的噴火からの経過時間(約3万年)に比べて十分に長いこと、現在、破局的噴火に先行して発生するプリニー式噴火ステージの兆候が認められないことから、破局的噴火までには十分な時間的余裕があると考えられる。
      * 姶良カルデラにおける現在の噴火活動は、桜島における後カルデラ火山噴火ステージと考えられる。

      3.2(2)姶良カルデラ〔地下構造による検討〕
      * 姶良カルデラのマグマ溜まりについて、深さ約6kmに桜島のマグマ溜まりが、深さ約12kmに姶良カルデラ中央部のマグマ溜まりが想定されている。
      * 姶良カルデラ中央部のマグマ溜まりについては、深さ10kmより深い位置にあるため、大規模な珪長質マグマ溜まりではないと考えられる。

      「姶良カルデラについては、現在のマグマ溜まりは破局的噴火直前の状態ではなく、今後も、現在の噴火ステージが継続するものと判断される。
      運用期間中の噴火規模については、後カルデラ火山噴火ステージである桜島での既往最大規模(桜島薩摩噴火:約11立方km)を考慮する。」

      ですから「原発運用期間中」に破局的噴火が訪れないという現実的な結論に至った学術資料も提示されているので、ロイターの記事で批判を展開している火山学者はそれなりの根拠を提示するべきです。そして3,40年以内に破局的噴火が訪れる兆候があるのならば、まず政府がやらなければいけないのは、九州・四国からの住民の退避でしょう。

      # カルデラ噴火なんか起こったらたとえ火砕流が直撃しなくても火山灰だけでも十分危ないと思うけど、「火砕流が原発を襲う」程度しか思いつかない連中には想像もつかないことらしいw

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      モデレータは基本役立たずなの気にしてないよ
      親コメント
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計算機科学者とは、壊れていないものを修理する人々のことである

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