64bitの日記: 志半ば 10
・・・どころか,志を決める前に諦める学生.大学生生活こそ一生の中で最も充実したときに思えるのだが,そうとも限らないということを改めて実感.むしろ,しょっぱなからモチベーションが低く,新しい(といっても世の中から見れば全然新しくない)技術に興味がなく,とにかく楽な方を選びたがる.この傾向は我が4流大学の学生に限ることなのか,それとも一流大学でもそうなのか.
きっかけは,研究プロジェクトを立ち上げようと学部4年生を募集したこと.Java開発を指導できない教授陣が多いためか,我が情報科学科で研究発表されるWebアプリケーションの主流はPHPなどのスクリプト言語である.そこで,Javaを用いたケーススタディを残そうとプロジェクトを立ち上げた.本プロジェクトで使うフレームワークは決して新しくない.Struts + Spring + JPA (+ Ajax)である.正直なところ,いまさらこれらに関するケーススタディを残してもちっとも世の中に貢献しないだろう.しかし,今のWebアプリケーション開発の主流の1つであるのは間違えないし,今後数年はこの形が残ると考えれば大学に事例があっても良いはずだ.
参加した学生にとっても価値ある経験となるであろう.その点はガイダンスの際にも説明した.「実際と同様のソフトウェア開発プロセスを通して,就職後に即戦力になれるような能力を身につけることも研究目標の1つである」と.
ガイダンスの後,数名の学生が興味を抱いて集まってきた.出だしはマズマズと思ったが,全員口を揃えて「興味はあるんですけど,自分にできますか?」という.確かに,大学授業ではC++を学んだ(しかもほんの入り口)だけなので不安もあるだろう.もちろん私は「大丈夫」と答える.しかし,どうもパッとしない.私が学生なら,新しいことが学べると思ってワクワクしたものだが,そういう気持ちを学生の視線から感じないのだ.
案の定,1週間もしないうちに学生たちは本ロジェクトから離れていった.
来るものは拒まず、去るものは追わず.
技術もまたしかり?
やっぱりここは一句 (スコア:0)
詠み人しらず
まぁ、カリカリしなさんな
Re:やっぱりここは一句 (スコア:0)
Re:やっぱりここは一句 (スコア:0)
そういう子でもそっと背中を押してやれば、一歩踏み出す事が出来る子も多いです。問いかけて来るのは興味はあるからですから。
失敗させないようにする事に集中した結果、失敗した時のリスクが相対的に大きく感じてしまうってのも原因かも。
#死なない失敗なんぞ後悔したり反省したりすれば良いだけの話なのだけど。
Re:やっぱりここは一句 (スコア:1)
そうなんですよね.なので「私がしっかりサポートしますよ」と言ったのですが,それでも離れられると,要は私への信頼が薄いのかな~なんて思ったり.そう思ったせいで余計ガッカリしちゃったんですよね.
“週24時間は研究しましょう.”というのが効いたのかな~.決して多いとは思えないんだけど.
Re:やっぱりここは一句 (スコア:0)
ま、そういう励ましの方がいい人も居ますけどね。
Re:やっぱりここは一句 (スコア:1)
そうなんですかねぇ~?
でも実際にそういうニュアンスもありました.
研究とはいえ徹夜することもあり得ますから,そういうような事情で“日に24時間”やったならば,その分どこかで休みましょうという意味です.もちろん(今回こそは?)そのような事態が起きないようにしますが.
一昨年は,バグがいつまでたっても収まらなかったために実験予定日前に徹夜が続いたことがありました.仕方なく,私も何日か徹夜を付き合いましたが,それがまた酷いコードで・・・.まぁ~,ウチの大学のプログラミングのカリキュラムでは仕方ないか・・・.
Re:やっぱりここは一句 (スコア:0)
遠慮したんですよ。甘え下手な子も多いですから。
失敗を恐れるというのも関係ありそうですが、プライドが必要以上に高いんですかね。
Re:やっぱりここは一句 (スコア:1)
遠慮しなくていいのに~.
その後,何人か参加することが確定しつつあるので少しは安心してますが・・・.
>失敗を恐れるというのも関係ありそうですが、プライドが必要以上に高いんですかね。
どうなんでしょうねぇ~.
就職活動が始まる10月ごろ,学部3年生に就職先の希望業種を聞くと,情報科学科に属していながらIT関係に就職しようと考える学生が半分に満たないことがあります.ソフトウェア技術者になると決めている者は5%ぐらい.まだ就職の実感がわかないのかもしれませんが,あまりに少ない気がします.本件は,その点にも関係している気がします.
あのぅ・・・ (スコア:0)
大学でやることじゃないでしょう・・・。
Re:あのぅ・・・ (スコア:1)
私もそう思ってます.そもそも,こんなテーマは情報工学系の“研究”にならないでしょうね.
大学によっては,こういうような内容を授業としてやってるでしょう.例えば東工大では,こんなカリキュラム [titech.ac.jp]があるようです.ウチの大学はC++をやっているといっても,大事なオブジェクト指向の概念の理解がすすまないような状況です.ポインタや仮想関数あたりをやったら授業が成立しないようです.デザインパターンの話題なんかを出すと,かえって混乱して逆効果になるようです.
もちろん教え方の問題もあるでしょう.しかし先生方も,(数十年間)色々と試行錯誤してきたようです.結局,いまは理論より実践を通して感覚的に覚えさせる形の授業となっており,本来大学で教えるべき理論的なことはお粗末気味に成っているようです.その意味では「専門学校のレベル」なのでしょうね.いやむしろ,ソフトウェア開発に関する専門性では,その分野の専門学校のレベルのほうが高いでしょう.(まぁ,情報工学=ソフトウェア工学ではありませんので,学生は広く勉強しなければならんのですよ.)
そんな状況ですから,もう少しオブジェクト指向の開発を実践に近い形で体験して欲しいということを感じてました.(それは,私がソフトウェア開発の現場にいた人間だからかもしれません.)今回は,ちょうど良いネタがあったので募集をかけてみたというわけです.