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margaletの日記: 熱く語る夏 2

日記 by margalet
今年の夏は”熱く”語り合う機会を与えてくれるのだろうか。

東電の夏場の給電能力がかなり増えたというのでちょっと調べてみると、 揚水発電 を使うということらしい。

こちら こちら(WikiPedia) に詳しい解説があるが(まとめていただいた方、感謝です)、原発や火力発電の効率化が目的で、反対派からは批判的な意見もあるという。 最初に戻り、実は会員ではないので肝心の2ページ目は読めていないのだが、これで真夏を乗り切れるというのは早計だ、という内容なのだろう。

なぜか。
読めないなりに推理してみると、まず揚水発電の原理上、余剰電力が利用できることが前提となる。
当初、夏場のピーク電力に対して22.5%不足すると言われていたが、その後回復した給電能力にはこの揚水発電による供給力550万kWがカウントされている( Jパワー による供給もさらにあるらしいのだが、そうであっても以下の論旨は多分あまり変わらないだろう)。

揚水には夜間の余剰電力を使うのが一般的なのだろうが、現在議論されているようなピークカットに加えてピークシフトを行うとなると、その分夜間の余剰電力が減少する可能性があり、そうなると揚水発電の稼働率は大きく低下する。 怖いのは、中身を見ずに積み上げた数字だけを見て給電能力が回復したと勘違いして消費電力全体を底上げしてしまうことで、そうなるとますます余剰電力が不足してそこから不測の停電が起こる可能性はまだまだ大きい。

その意味で「どうしようもないときの最後の手段」という東電の考えはまったく正論で、結局は揚水発電による給電にはあまり期待せず、それを除いた給電能力をベースに節電に努める以外にない。

ピークシフトに加えて、ピーク時間を短くする、たとえば会議時間を短くして早く退社するなどの工夫も効果的だろうし、東電の範囲外からの在宅勤務ももちろん推奨だろう。

節電が基本であることは変わりないが、一方で大量の高齢者を抱えている東京で無理にそれをやろうとすると、夏場の高温で衰弱死する老人や生命維持装置が不可欠の方が大量に出ることをどこかの段階で覚悟しないといけないかもしれない。

一方で、当然のことながら反対意見も多いが、現在停止している原発の再開を急ぐべきという意見もあり、早急に経済活動を元に戻すには確かに効果的だろう。

原発に頼らず、CO2放出と社会弱者の大量死のリスクを抱え、これまでの労働スタイルを根本的に見直して節電に努めるべきか、それとも原発稼働という別のリスクを抱えて社会活動レベルを早急に戻すのがよいか、これまでのようにナイーブな是非論ではなく、また、我関せずのニヒリズムに堕するのでもなく、各人がいよいよ真剣に問題に向き合い、選択を迫られる夏となるだろう。

私の考えは「稼働可能な原発を早急に稼働するべき」であるが、もちろんのことながら十分に安全点検され、原発内部と施設内だけでなく、周辺地域と行政、政府組織の防災連携対策が重層的に行われ、緊急時のバックアップ電源やロボットなどがすぐに利用できることなどが前提となる(その意味で、浜岡原発の再開には疑問を感じている)。

どこかの新聞に、そろそろ大人の議論をするべき時期が来た、と書いてあったが、それは言い換えれば今までの議論がいかに幼稚であったかということへの最大の皮肉であろう。
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  • by gedo (7079) on 2011年05月07日 15時54分 (#1948060) 日記

    どこかの新聞に、そろそろ大人の議論をするべき時期が来た、と書いてあったが、それは言い換えれば今までの議論がいかに幼稚であったかということへの最大の皮肉であろう。

    しかし、最大の問題は、日本にリスク評価と十分な知見、科学リテラシーを持ち、「大人の議論」ができる政治家や論客がいないのですよね。
    まさに民主党もダメ、臭い物に蓋リスクは先送り文系の巣窟の自民党はもっとダメ。
    ただCO2に関しては、京都議定書などからの離脱が許されなければ減らさざるを得ないわけでして、もし脱原発を目指すなら国の仕組み(政治や行政、経済とか)を分散型低エネルギー消費社会に転換した上、国民の意識(スローライフ型ライフスタイルや労働スタイルへの転換)や、日本文化も変革を迫られることになります。これを実現するだけの国民の覚悟とコンセンサスを取りつけることはかなり困難でしょう。
    とはいえ、原発依存を続けるならば、CO2削減分+退役原発のリプレース分に関しては、原子力発電所を作りつつけなければならないわけで、リスク評価や安全対策、万が一の事故対策等から逃げることは許されなくなるのは、その通りです。

    一番危惧しているのは、どちらからも逃げつづけて無策を続け、結果電力供給力をズルズルと減らし、経済も衰退、企業は海外に逃げ、没落していくことです。
    そうなれば、昔のように移民を送り出さざるを得なくなったり、フィリピンのように出稼ぎ者の送金が頼りの国になるのでしょう。

    • コメント感謝です。

      私の見方は(やや楽観的かもしれませんが)それなりの数の政治家や上級官僚には問題の所在がしっかりと見えていて、政治的な立場を別にすればそれぞれが問題意識を持っていると感じています。

      ただ一方で、何のリテラシーも持たずに無責任な発言と行動を繰り返す政治家達がしばしばマスコミに取り上げられる結果、感情的な議論に流されてしまうことが多いことが問題と感じています。

      ただCO2に関しては、京都議定書などからの離脱が許されなければ減らさざるを得ないわけでして、もし脱原発を目指すなら国の仕組み(政治や行政、経済とか)を分散型低エネルギー消費社会に転換した上、国民の意識(スローライフ型ライフスタイルや労働スタイルへの転換)や、日本文化も変革を迫られることになります。これを実現するだけの国民の覚悟とコンセンサスを取りつけることはかなり困難でしょう。

      「困難」かどうかは、どのくらいの時間と投資を前提としてその方向に持って行くのかに依存する部分が大きいと思います。 半年や1年というスパンで考えると不可能と言うしかありませんが、京都議定書に始まるCO2削減にせよ、当初はニュースにすらならなかったものでも、時間をかけることで多くの成果が出てきています。エコバックにしても出始めは「あんなものカッコワルイ」でしたが、今ではおしゃれなものが多数出てきて何の違和感も無くなっていますし、夏の節電対策で断熱フィルムがオフィスビルの窓に貼られているとも報道されています。

      無意識にせよ原発のしがらみがあるせいか、短期間で一気に進めなければと言う雰囲気がありますが、5年、10年かけるのであれば実は驚くほど沢山のことが出来る可能性があるのではないでしょうか。

      とはいえ、原発依存を続けるならば、CO2削減分+退役原発のリプレース分に関しては、原子力発電所を作りつつけなければならないわけで、リスク評価や安全対策、万が一の事故対策等から逃げることは許されなくなるのは、その通りです。

      長期的には原発依存から脱却できればそれに越したことは無いでしょうが、短期的には非現実的な提案で、その間のつきあい方を考える以外の選択肢はないと考えています。 私は「ピンチはチャンス」という言葉が好きですが、あえてこの状況に当てはめて次の3つのような可能性を考えてみました。

      1)当初想定していた以上のCO2削減を可能にするだけの代替エネルギー技術の開発
      2)想定可能なあらゆる事象に対して安全と言えるだけの原発技術の開発
      3)節電に限らず、一定時間の停電があっても問題なく稼働する機器、工業技術の開発

      到底数年で結果が出るようなものではないですが、逆に5年から10年かけてこれらを解決できれば、21世紀の日本の未来は明るいと無邪気に言えるでしょう。
      誤解を恐れず書くならば、原発事故と放射性物質の拡散、除染、管理について日本の関係機関は世界に類を見ない技術的、社会的なノウハウを蓄積しつつあるわけで、北朝鮮の原発が暴発した際の具体的な対策という意味では現実的な対応策が整いつつあると言えるかもしれません。

      地震と原発で非常に多くの問題が表面化していますが、問題の大きさばかりがクローズアップされ、それぞれの問題の大小からその解決に必要な時間と経費の概念までが一緒くたにされてしまったまま混乱しているようにも見えます。 政治と決断の問題については 決断する政治家 [srad.jp]に書いてみましたので、良かったらご覧下さい。

      親コメント
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人生の大半の問題はスルー力で解決する -- スルー力研究専門家

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