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tsuyaの日記: サラリーキャップ: もうひとつの戦力均衡ルール

日記 by tsuya

チャンスの多寡はみられるものの弱小球団でも優勝が狙える、という状況は、NPBもMLBもおおむね共通である。これは確かにドラフトの恩恵といえるかもしれない。今年2008年、NPBのリーグ優勝は埼玉西武と読売で比較的順当に分け合った感があるが、MLBは万年弱小球団として知られた老舗のフィラデルフィア・フィリーズと、「デビルレイズ」を名乗った10年間勝ち越したことすらなかった11年目のタンパベイ・レイズがワールドシリーズを争った。特にレイズは球団創設以来、弱小球団から這い上がるために、ドラフトで有望な新人を優先的に獲得し、じっくりと育てることで戦力を増していったようだ。このような過程を経て元弱小チームが数年後に優勝を狙えるというシステムは、確かにリーグの優勝争いを面白いものにしてくれているのだろう。

しかし、この程度のチャンスが各球団にありさえすれば満足だというのなら、果たしてドラフトのように選手の選択肢をたったひとつに限定してしまうような強制的な制度が必要か、という論点は常に考える必要があるのではないか。現状を見ると、リーグにドラフト制があるか、ないかに関わらず、リーグ団体スポーツ興行の戦力の強弱を決めるもっとも大きな要素は、やはり選手に支払っているサラリーの多寡である。そこで、カネの条件をできるだけ均等にするため、サラリーキャップという制度が世界の多くのスポーツリーグで採用されている。これは、ひとつのチームに所属する選手の総年俸の上限を規制するルールで、特定のチームが財力にあかせて優れた選手を独占することを防ぐ効果がある。

Wikipediaによれば、サラリーキャップは欧州のサッカーリーグなどでも一部採用されており、ドラフト制よりも広く世界に普及しているようだ。これは戦力の均衡がはかれるだけでなく、選手の年俸が高騰しにくくなる効果も見込まれているからだと思われるが、NFLやNBAを見る限り、戦力を均衡させる効果も高いものと考えられる。これをNPBに導入することを議論してみてはどうだろうか。

サラリーキャップは、ドラフト制とは独立に実施できる戦力均衡化ルールだ。筆者は今時点で、NPBは、さまざまな副作用のあるドラフト制を廃止する代わりにサラリーキャップを新たに導入すべきではないかと考えている。NFLやNBAのように、ドラフト制とサラリーキャップを併用する必要はないという考え方である。ドラフトの副作用とは、田沢投手をはじめとして有望選手がチームを選べないという根本的な問題の他にもいくつかある。次回以降はそれらについて少しずつ触れつつ、今のNPBにおける戦力均衡化策について考えていきたい。

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「科学者は100%安全だと保証できないものは動かしてはならない」、科学者「えっ」、プログラマ「えっ」

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