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tsuyaの日記: 時事ネタ: WBC辞退は球団ぐるみではない

日記 by tsuya

原構想崩壊…中日勢がWBC全員辞退

落合監督らしい合理的な主張である。日本の野球人にとって、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場すること、そして好成績を収めることに対するステータスは未だ確立していない。したがって、WBC日本代表に加入するための時間と労力を負担することで所属球団での仕事に支障が出る恐れがあり、その犠牲がWBCに参加することで得られる意義よりも大きい、と選手が判断したのだとすれば、辞退は当然だ。落合監督のインタビューは、中日選手の辞退が球団ぐるみであるかのような報道に対する反論だが、堂々たる論旨で現状の重要かつ根本的な問題点を語っている。

興味深いのは、落合監督があまり穏やかでない発言をしていた、という報道があることだ。

 また昨年12月の北京五輪アジア予選のメンバーから外れた松中(ソフトバンク)にも言及。「けがをしたときにどうなるんですか、と聞いたら外された。(ファンから)首くくって死ねといわれて、誰かがフォローしてやってくれるのか? 負けて被害を受けるのは選手なんだ。二度と味わいたくないと思う人間がいても不思議はないだろ。(代表に)来いといえば全部出てくると思うのは大間違いだ」とまくし立てた。

日本は2006年の第1回WBCこそ最高の結果を残したものの、プロが加わった2度の五輪では不満な結果しか出せていない。中でもメダルが獲得できなかった北京五輪は手ひどく批判され、特に星野監督への壮絶なバッシングは知れ渡っているところだ。選手たちも相当精神的に傷つけられたに違いない。負けて被害を受けるのは選手、という落合発言が本当だとすれば、その理不尽さを間近に見た重要な証言といえるだろう。初のベースボール世界ランキングで栄えある1位を獲得した日本が世界に冠たる強豪であることは疑いの余地がないが、それでさえ他の多数の強豪国が参加する国際大会で常時好成績を収めるのは容易ではない。ファンの期待に劣る成績しか残せないリスクは小さくないのだ。それを考えれば、監督・コーチ・選手にとって、国際大会への出場は割に合わない仕事だ、というのが日本のプロ野球の現実だ。

だから、本気でWBCに勝ちたい、そのために有力選手の選考漏れは少しでも避けたい、と思うなら、万全の態勢で臨むことをNPBぐるみで強く推進して負けるリスクを減らすか、あるいはリターンの増大、すなわちWBCとその参加者のステータスを高め、苦しくても出てよかった、と心の底から思えるように導くか、しかない。これらは一朝一夕には達成できないし、まして後者は日本一国だけの努力ではどうにもならないが、最大限の努力を払っていることを示すことはできるはずだ。現在のNPBははっきり言ってその部分が欠けている。ドラフト制に垣間見えるNPBのパラダイス鎖国体質は、この状況を助長していると筆者は思う。

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弘法筆を選ばず、アレゲはキーボードを選ぶ -- アレゲ研究家

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