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yasuokaの日記: 新漢字表試案とJIS C 6226-1978

日記 by yasuoka
国立国会図書館で1970年代の雑誌を漁っていたら、『漢字コード統一化をめぐって』(コンピュートピア, Vol.11, No.132 (1977年9月), pp.57-59)という記事に、以下の記述を見つけた。

JIS規格案では,基準となる漢字を二つのグループに分けている。第1水準漢字集合として2,965字,これは当用漢字(同補正案)を主として,人名用漢字別表や,当用漢字以外で広く使用されている漢字のグループである。第2水準集合は3,385字,これは第1グループよりも使用頻度は少ないが,一応必要であるという漢字で,37種類にのぼる種々の漢字に関する調査,研究書の頻度をさらに統合,これに情報処理学会標準コード用漢字表および行政情報処理用基本漢字にもとづく補正を加え,選定された。この第1,第2水準のグループ分けは,確定のものではなく,正式なJIS規格発表時には,多少の変更があるかもしれない。
このグループ分けに伴う,コード付けのための配列に工業技術院では相当労力をさかれた模様で,特に昨年の新漢字表試案や,人名用漢字の補正による作業のやり直し(文字の配列の入れ替え)に手間取り,また,部首別の索引表や,音訓読みの対応索引表の作成は,国立国語研究所の林氏等の協力を得て微に入り細に入り行われたので,難航したという。

ビンゴ。『JIS漢字案(1976)とJIS C 6226-1978の異同』を発表した段階では、JIS C 6226-1978に「新漢字表試案」が本当に影響を与えたかどうか、イマイチ確信が持てなかったのだが、これでまず間違いないと言えるだろう。すなわち、西村恕彦が『漢字のJIS』(標準化ジャーナル, No.171 (1978年5 月), pp.3-8)で書いた

ただ,これだけの手法で機械的に選ぶと不釣合になるおそれがあったので,内閣訓令等に根拠を有する漢字として,当用漢字表,同補正案,人名用別表,地名コードのJISにある漢字を,系統的に補充した。原案作成の最終段階で,新漢字表試案が公表されたが,その漢字はすべて第1水準のなかに含まれていた。

という文章には微妙にウソが含まれていて、実際のところは、「新漢字表試案」の漢字が全て第1水準に含まれるよう入れ替えをおこなった、ということだ。ただ、そうだとすると、褐・挟・蛍・缶・挿の5字に関しては、「新漢字表試案」に合わせるべく字形変更や入れ替えをおこなっておきながら、なぜ嫌・溝・遮・逝・栓・濯・塚・扉・頻・泡・癒の11字に関しては字形変更しなかったのか、という謎がやっぱり残る。うーむ。

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ハッカーとクラッカーの違い。大してないと思います -- あるアレゲ

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