
yasuokaの日記: 「碍」の「常用平易」性 2
日記 by
yasuoka
飛翔体、車椅子、杖、障碍、といふ事例で判ったのは、行政の現場では漢字表記について人名用漢字を準常用漢字として使っている(個々の漢字の常用平易性については裁判所が担保)ってことであったわけですね。誰か碍子クン裁判を起せ!!
もじのなまえでの内田明さんのコメントにあったのだが、もし仮に「市町村長の処分に対する不服」を申立てる場合、「碍」に対して、どう「常用平易」性を主張すべきか。人名用漢字以外を子供の名づけに使うにはのケーススタディも兼ねて、試しに考えてみた。
まずは、「碍」の「常用」性。「融通無碍」や「碍子」っていう熟語もあるし、JIS X 0208の第1水準漢字でもあるので、まあ、その方向で闘うことになるだろう。地名や書籍での頻度は、ちょっとスジが悪そうだ。
一方、「碍」の「平易」性。「確」とか「礎」とかが常用漢字に含まれているので、「石へん」に関しては大丈夫そうだが、問題は「つくりの㝵」の方だ。常用漢字だと「得」しか、㝵を含む字はない。しかも、「碍」より「得」の方が画数が少ないので、「碍」の「平易」性の裏づけとしてはイマイチ役に立たない。
というわけで、「碍」は、「常用」性に関してはいけそうだが、「平易」性に難あり、という感じだ。わざわざ子供の名づけに使っても、よっぽどの理由がない限り、人名用漢字としては認められそうにないかな…。
平易性では「礙>碍」? (スコア:2)
むしろ正字の「礙」のほうが平易ということですか?
「疑」は教育漢字で、「擬」「凝」の常用漢字の旁としても使われますから。
画数は多いけど、「鑑」より5画も少ない19画しかないので、それをもって
「平易ではない」とは言えないでしょうから…。
言わずもがなのことですが野暮を承知でここで一言申し上げておきますと、
「行政の現場では人名用漢字を準常用漢字として使っている」というのは錯覚
(2004年の大量追加が凸版印刷の頻度数調査に依拠しているため、「常用漢字に
準じて多く使われている文字が軒並み人名で使えるようになった」だけ)だと
思いますので、皆様方におかれましては、くれぐれも愛児の一生をだいなしに
しかねない奇妙な名づけをされませんようにお願いいたします。
「礙」の「平易」性 (スコア:1)
判例を読んでもらうとわかるのですが、裁判所が判示している「平易」性は、一つにはその漢字の画数、一つにはその漢字の形が説明しやすいか、というのがあるようです。で、「礙」と「碍」は、画数は19対13なので「碍」の圧勝。でも、説明のしやすさという点では、「いしへんにうたがう」対「しゅうとくのとくのぎょうにんべんをいしへんにかえたじ」ですから、「礙」の方がどう見ても説明しやすい。このあたりを裁判所がどう考えるかですね。
けど、「礙」は第2水準漢字だし、「礙」を含む熟語は当然「碍」でも書けちゃうので、「礙」はむしろ「常用」性を主張するのが難しいかなぁ…。