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日本

yasuokaの日記: 在留カードの正字

日記 by yasuoka

在留カードの氏名欄では、簡体字の「营」や「萤」は常用漢字の「営」や「蛍」に直さなきゃいけないのに、なぜ簡体字の「荣」はそのまま氏名欄に印字されるのか、という意味の御質問をいただいた。端的に言えば、在留カードに限っては、「荣」は正字であって簡体字ではないからだ。平成23年12月26日法務省告示第582号での「正字」の定義を見てみよう。

正字 工業標準化法(昭和二十四年法律第百八十五号)に基づく日本工業規格(以下「日本工業規格」という。)X〇二二一号(以下「国際符号化文字集合」という。)に規定する漢字(国際符号化文字集合附属書JA日本文字部分レパートリに該当するものに限る。)及び別表第一に定める漢字をいう。

要するに、JIS X 0221:2007の「日本文字部分レパートリ」の漢字と、別表第一の漢字が、在留カードの正字にあたるわけである。ここで、「日本文字部分レパートリ」の漢字は、そもそもJIS X 0208-1997とJIS X 0213:2004とJIS X 0212-1990と、あとIBM拡張漢字からできている。したがって、第4水準漢字の「荣」は、在留カードの正字にあたるので、そのまま在留カードの氏名欄に書かれることになるのだ。一方、「营」や「萤」は在留カードにおける正字ではないので、正字の「営」や「蛍」(あるいは「營」や「螢」)に直して印字されることになる。

では、なぜ「荣」が第4水準漢字に含まれていて、「营」や「萤」が含まれていないのか。これは、「荣」の人名用例がNTT電話帳にかなりあったのと、「荣」が大漢和辞典や新大字典に収録されていたからだ。まあ、たまたまといえば、たまたまなのだが、中国で簡化字総表に載る以前から、日本でも「荣」は使われてきたということなのだろう。あるいは、JIS X 0212に「刘」が収録されてしまって、在留カードの正字になってしまったのも、同様の理由かもしれない。

ちなみに、「靑」や「晴」や「精」も在留カードの正字として扱われており、「青」や「晴」や「精」に直したりはしない。しかし、どういうわけか「靖」は、人名用漢字の「靖」に直さなければいけない。「靖」は「日本文字部分レパートリ」のCOMMON JAPANESEに含まれているのに、どうして在留カードの正字じゃないんだろ。

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