土星の衛星Enceladusは熱い状態で始まった 28
実はIapetusが好みらしい 部門より
jonykatz 曰く、
ABC Newsや読売新聞の記事などによれば、土星の衛星の一つであるEnceladusの内部に存在する放射性物質が熱を発し続けているという見解をNASAの科学者が出した(NASA JPLのニュースリリース)。 一昨年、カッシーニによる観測で、南極にあたる部分において火山のように水蒸気が噴出していることが確認されていた。
Enceladusは、放射性同位元素を含んでいるアルミニウムおよび鉄と氷から約45億年前に誕生したが、その後の数百万年の期間に渡る同位元素の急速な崩壊によって熱をもたらし、Enceladusの内部を温めて溶かしたようだ。その余熱と同位元素の崩壊が今も続いており、中心部に熱源を保持しているようである。
昨年には、Enceladusの地表面近くに水が存在するということが示唆されている。モデルに従えば大量の有機物が合成されているということで、生命が発生できる可能性があるとも書かれている。
昨年の3月にScienceで特集も組まれていて、いまやTitanやEuropaに匹敵する注目を集めているEnceladus。2005年にCassiniが数度に渡ってEnceladusを観測した際、南極付近で水蒸気と氷の噴出を発見した。また、その後の観測で噴出物に窒素分子が含まれていることも判明。この窒素分子はアンモニアの熱分解によって生成されたものと推測されるが、そのためにはウランなどの放射性元素の崩壊と土星による潮汐力だけでは説明できない577℃という高温が必要であった。
Julie Castilloのモデルは、Enceladusは形成初期に短半減期の核種が急速に崩壊することによって高温の状態から始まり、その余熱と長半減期の核種の崩壊、潮汐力によって高温を維持しているというもの。このモデル自体は、昨年のAstrobiology Science Conferenceで発表されている(Science News Online 2006/05/06の記事)が、そこから新たな進展があったのかどうかは、今回の発表からはよくわからなかった。
なお、Cassiniは2008年5月にまたEnceladusのフライバイ観測を行なう予定。
窒素分子供給源は熱分解だけ? (スコア:3, 興味深い)
窒素分子が現在のアンモニアの熱分解によらずに供給されている可能性は ないってことでしょうかね。
例えば昔熱かった頃に熱分解されてできた窒素分子が 水その他の構成物質中に溶け込んでいる分だけでは足りなくて 現在も熱分解が続いていなければ説明できない量そこにあるってこと?
衛星も注目? (スコア:1)
Re:衛星も注目? (スコア:3, おもしろおかしい)
#勇気がないのでACだよっ
Re:衛星も注目? (スコア:3, 参考になる)
#何でもかんでも英語読みしないで…
=-=-= The Inelegance(無粋な人) =-=-=
Re:衛星も注目? (スコア:0)
Re:衛星も注目? (スコア:0, すばらしい洞察)
衛生にも注意 (スコア:2, 興味深い)
環境汚染を防ぐため、地球外の天体に探査機を接触させる際は
打ち上げ前の検疫が今や常識となっています。
もし生命が発見されてもそれが地球から持ち込まれた可能性を否定できなければ
科学的には大きな損失となってしまいますから。
宇宙空間といえど簡単に生命を根絶できる環境ではありません。
無人月面探査機から2年以上後にアポロが回収したパーツからも、
微生物が検出された実例があります。
Re:衛星も注目? (スコア:0)
「ただしEnceladusは除く。決して着陸してはならない」
2061年までお待ち下さい。
#土星系という事は、原作に忠実な訳ですね:-)
Re:衛星も注目? (スコア:0)
放射性物質 (スコア:1, すばらしい洞察)
太陽系内の物質分布はある程度規則性があるはずなので、特別な理由が
ないと、それから外れることはないと思います。
それから、何十億年も保持する余熱っていったい...
Re:放射性物質 (スコア:3, 参考になる)
>なぜEnceladusだけに放射性物質がそんなにたくさんあるのでしょうか。
そんなにたくさんあったわけではなくて,初期にAlとFeの短寿命の放射性同位体(半減期100万年ぐらい)
が急速に崩壊&潮汐力などの熱で融解,重元素が中心部に集積される.
中心に集まったことにより以後の他の放射性物質の熱が効率よく内部に貯め込まれて,現在でも内部は
だいぶ熱い状態をキープしている,という感じのようです.
地球ぐらいのサイズだともともと保温がかなり効いてるんですが,Enceladusクラスのサイズだと
その大きな比表面積からもっと早く冷えているはず,というのが,実は一旦溶けることによって熱源が
中心に集まりほどよく保温されることで今でも中心部は熱いんだよ,という感じでしょうか.
>それから、何十億年も保持する余熱っていったい...
上にも書きましたが,もっとゆっくり崩壊する同位体分の熱も加わっています.
Re:放射性物質 (スコア:0)
Re:放射性物質 (スコア:3, 参考になる)
1. 惑星とかの大きな天体 -> 元からコアは熱くて当たり前
2. 普通の衛星 -> 惑星と同じくコアは熱くても不思議じゃない.特に大天体の近くでは.
3. 十分小さな天体 -> 最初熱くてもすぐ冷えるから冷たい
4. 程よく小さい孤立した小惑星 -> 最初熱くてもすぐ冷えるから冷たい
5. 程よく小さくかつ大天体の近くを回る小惑星 ->最初に溶けて熱源が集中,かつ潮汐力等で
追加の熱ももらえるから今でも熱い(冷たいという昔の予想を裏切る観測結果)
となるわけで,偶然5番に当てはまるような天体はそもそも少ないのでは?
#1,2,3,4はたくさんあるわけで.
Re:放射性物質 (スコア:1)
地球型の惑星の場合、主な地熱源がコア部分の核分裂反応であると仮定した場合、核分裂が終わってしまって「ただの岩の塊」になってしまっている場合って結構ありそうだし、
木星・土星型のガス惑星の場合、そもそも十分な質量が中心部にあつまらなかったりして、恒星のような持続した核融合反応を維持できなかったから惑星(恒星の周りをまわっているかどうかはともかく)の位置に甘んじている場合が多いのではないかと思うのですが…
つまりは、大きさとかよりは中心部で核分裂/核融合反応が持続しているかどうかで惑星が熱を持っているかどうかの大半は決まるのではないかと思うんですけど。
# 勿論、太陽のような活発な恒星の周りを回っている水星のような例外は沢山あるわけですけど…
この衛星の状況を詳しく調べることによって、我々人類や多くの生物が生きることが出来ている地球という惑星が類まれな・たくさんの偶然が重なったからこそ存在しているものであるか、意外とありふれた存在のひとつに過ぎないのかどうかという宗教にも深く関わる命題の答えに触れられるかもしれませんが…
Re:放射性物質 (スコア:1, 興味深い)
(理由としては大気が薄いことが挙げられている)
サイズに関係なく、大気をどれだけ持つことが出来たか、がその後の運命を分けるのかも知れないよ。
今回は衛星でも大気が十分にあり、+熱供給がある程度あれば、水が液体であり得る例なのでは。
Re:放射性物質 (スコア:1)
ものが作られ、ウランやカリウムに富む鉱脈に相当する部分がこの衛星
に取り込まれた。とか、さらに高濃度のウランの存在が、天然の原子炉
を構成した。とか、書き始めて、45億年後のファーストコンタクトへ
話を持ってゆくのでしょうかね。
Re:放射性物質 (スコア:0)
Re:放射性物質 (スコア:2, 興味深い)
地球の地熱も崩壊熱を無視したら熱収支の勘定が合わない──って話を、 学生時代に講義で習った覚えがありまする。
Re:放射性物質 (スコア:0)
読売の見出し (スコア:0)
Re:読売の見出し (スコア:4, 参考になる)
・それは、アンモニアが分解されて出来たらしい
・アンモニアが分解されるほど高温の部分があるはず
・高温の部分では、有機物が合成された可能性がある
・有機物があれば、生命が発生した可能性もある
って流れなのね。
その中で、高温の部分があるって所が、昔のモデルだと説明が付かない。
でも、先に発表された新しいモデルなら説明がつくので、「生命に適した場所が存在する証拠をつかんだことになるのではないか」というNASAの研究者の言葉になるんですね。
Re:読売の見出し (スコア:2, おもしろおかしい)
Re:読売の見出し (スコア:2, おもしろおかしい)
土星の衛星・エンセラダスに生命存在 か!?
でも許してもらえるんでしょうけどねぇ。
#もちろん空白の部分に折り目があります。
タイトル (スコア:0)
本当に熱い状態で始まったのかどうかは、直接の証拠はないよね?
急に熱くなる原因がなければ、始まったときに既に熱かったとしているだけ。
「今でも熱い」ことがニュースなんじゃないの?
Re:タイトル (スコア:0)
それは去年のニュース