心臓を止めずに弁の手術を行う装置、開発される 8
ストーリー by hylom
驚きの最新医療、 部門より
驚きの最新医療、 部門より
capra 曰く、
心臓を止めることなく僧帽弁閉鎖不全症の手術を行える装置がハーバード大学とボストン小児病院の共同研究により開発された(Technology Review、本家記事より)。
心臓の手術を行うには人工心肺を取り付け、心臓を停止させて行われることが多い。このような手術方法は患者への負担が大きく、回復に2~3ヶ月を要する上、脳障害を引き起こすリスクもある。今回開発された手術は、心臓に中が空洞になっている針を挿入し、そこから心臓内に入れたアンカーを弁に取り付け、針金縫合して弁をきちんと閉じるようにするというもの(手術風景動画:血液等苦手な方注意)。
心臓は常に動いている為、手術中の弁の位置を正しく把握することが重要であり、3D超音波装置で心臓の動きを視覚化し、70~100ミリ秒後の組織の位置を予測するプログラムが開発された。これを確認しながら器具などの位置を調整し、1~2mmの誤差内でアンカーを取り付けることが可能となったとのこと。また器具の先には組織に触れたことを知らせるセンサがついているため、万が一予想外に接触してしまったような場合でも直ちに医師に知らされる。既に動物での試験は行われているとのことだが、装置に心電図システムを組み込んだり、圧力センサの精度を向上させたりと更なる開発が必要とのこと。
米国だけでも毎年5万人の患者が僧帽弁の手術を受けているとのことで、患者に負担の少ないオペ方法の実用化に期待がかかっている。
冠状動脈のバイパス手術が (スコア:4, 参考になる)
心臓手術には付きものだった人工心肺抜きでの手術が普及し始めたのは、
日本だとここ10年位の事。
人工心肺に付きまとう合併症のリスクを減らし、手術で掛かる患者の負担も軽くなり
社会復帰への時間も短くなった。
心臓を止めずに細い冠状動脈を縫い合わせるという魔法のような手術法に驚きましたが、
今度は僧帽弁手術ですか・・・・。
ただ、切り開く必要のある弁置換術ではなく、弁の形を整えたり修正する形成術のようですが。
昔は心臓弁に異常があるとたいていは弁置換術を行うのが常だったようですが、
最近では術後の患者の負担(抗凝固剤を飲み続けなければならない等)を考慮して、
形成術で治療する事が増えていると聞きますので、患者にとっては更なる朗報ですね。
生存率を向上させるのか? (スコア:2, 参考になる)
という趣旨の論文を去年あたりに読みましたが、
弁置換術・形成術をオンポンプでやる価値がどこまであるか、慎重に判断する必要があると思います。
生体弁は抗凝固療法が必要ありませんが耐久性が悪く、下手すると再オペ・オペ不可になります。
機械弁だと、凝固療法は必要ですが一生持ちます。
どっちがいいというわけでもなく、現在の所は患者の年齢や状態に応じて最適なものを選んでいます。
Re:生存率を向上させるのか? (スコア:1, すばらしい洞察)
患者はより負担の低い方法を望むのではないでしょうか?
# 身体的負担が下がる代わりに金銭的負担が以下略
閉鎖式僧帽弁交連切開術 (スコア:2, 興味深い)
狭窄症の治療は盲目的な切開術から[1]やっぱり直視下で切開と[2]PTMC(イノウエバルーン)という風船治療[pdf [jhf.or.jp]]に分かれていきました。
内視鏡 [umin.ac.jp]もあるからもう少し工夫が進むでしょうね。
チーム・バチスタの涙目 (スコア:0)
Re:チーム・バチスタの涙目 (スコア:1, 参考になる)
今回:僧房弁形成不完全症に対する新規開発技術
ということでまったく別物。
革新的なはさみができたからといってニッパの使い道はある。
まぁ、バチスタは成功率低くて時代遅れとか言われ始めているらしいが。
Re:お勧め小説 (スコア:1)
小説は、心臓病を患った少女の小説です。心臓弁の手術を
受けるかどうかで悩んでいたが、主人公の少年に勇気づけ
られてって話。個人的にはけっこう印象に残った作品。