書籍の売り上げ、無料配信で増加する傾向に 37
ストーリー by hylom
試行錯誤 部門より
試行錯誤 部門より
あるAnonymous Coward 曰く、
WIRED VISIONによると、「電子書籍の無料提供は少なくとも一時的な本の売り上げ増加につながる」傾向があるという調査結果が明らかになったそうだ。
41冊の本について、無料版がリリースされる前と後の8週間の、本の売り上げをモニタリングした研究で、「永久的に利用できる無料のデジタル書籍と、本の短期的な売上増加の間に、中程度の相関関係」が見られた、と研究の執筆者は述べている。
日本でも文藝春秋の新書「生命保険のカラクリ」が全文無料公開されたり、角川書店の「クラウド時代と<クール革命>」が発売前に期間限定で全文公開されるなど、本文全体の無料公開の試みが行われている。
全文公開といえば (スコア:4, 参考になる)
藤原博文さんの『Cプログラミング診断室』が日本では有名ですよね。
http://www.pro.or.jp/~fuji/mybooks/cdiag/index.html [pro.or.jp]
ぼくも,2冊の本の草稿pdfを全文公開していますが,それには,全文公開後に再刊されてしかも売れたという藤原さんの記述に触発されたという面もあります。具体的には,まず草稿をpdfで全文公開してから,出版しても公開したままという条件で出版してくれる会社をwebで募ったところ,ピアソン・エデュケーションが手を挙げてくれたので,『Rによる統計解析の基礎』『Rによる保健医療データ解析演習』とも草稿pdf全文公開のままです。
http://phi.med.gunma-u.ac.jp/statlib/stat.pdf [gunma-u.ac.jp]
http://phi.med.gunma-u.ac.jp/msb/medstatbook.pdf [gunma-u.ac.jp]
『Rによる統計解析の基礎』の方は,おかげさまで想像以上に売れて,現在第7刷までいっています。この種の本だと,参照しながら書き込みもして読み進めようと思うと印刷物が欲しくなるので,pdfを印刷する紙代とか,体裁のきれいさとかを考えたら,本を買う方がかえって安上がりなくらいの1800円という値段にしたのが売れた原因ではないかと思っています。出版のタイミングもよかったと思いますが,公開を続けさせてくれているピアソン・エデュケーションには感謝しています。
もっとも,後者はまだ第1刷が売れ残っているので,常に全文公開すれば売れるとも限らないと思います。たぶんページ数が多くなったために値段が3000円を超えたのと,類書がいくつも出た後だったので,売れなかったのではないかと思っています。たんなる印象ですが。
自分が読者の立場で考えると,普通のエンターテインメントだったら紙媒体でなくても読めると思うので,無料で入手できてしまったら,書籍は買わないかもしれません。でも,凄く面白くて手元に置きたいと思ったら,全文pdfで入手できていたとしても,紙媒体も買うと思います。
以上の経験と感覚から考えると,売り上げが無料公開で増加するかどうかは,内容や体裁や周囲の状況によって変わってくると思います。
Minato NAKAZAWA, Ph.D. Demographer, Human Ecologist
その他の例 (スコア:1, 参考になる)
PHP4徹底攻略 [sra.co.jp]も結構有名だと思う。あと、オライリーのオープンソースソフトウェア [oreilly.co.jp]も。
自分が知ってる限り最も古いのは「Think GNU [19290.net]」。まぁ、商売に繋がったかどうかは疑問だけど(w
# Think GNUは多分、ビレッジセンターという会社が無かったら、
# 出版物として世に出ることは無かったんじゃないかな。
Re: (スコア:0)
1988年に出版された共立出版の「GNU Emacsマニュアル [amazon.co.jp]」は、
本のコピーが自由な本でした。手元にないので確認できないのですが、
Copyleft になっていて、権利表示さえすればスキャンしたものを
ネットにそのまま公開しても問題ないものだったはずです。
全文公開 (スコア:3, 興味深い)
ポイントは、2つあると思うのです。なんでこんなことして売れるのか?ってのと、一部公開じゃダメなのか?ってのです。
1. なんで売れるのか?全文公開したら、それだけで満足しちゃう人がいるんじゃないのか?
現状、電子文章は読むのが大変だから売れた。
電子ブックが十分に普及しており、電子文章をすぐに取り込んで本と変わらない読みやすさで読めるような時代だったら、売れなかった。
全部読めなくはないけど、そうするのは大変なので買うという文化は昔から「立ち読み」として存在している。
立ち読みしてから買っていく人というのはそれなりにいて、本の種類やターゲット層にもよるだろうけど、その選択を間違えなければ売上アップに貢献すると思われる。
ただ、一部だけを読みたかった人が、読みたいところだけを印刷できるのは売上にあんまり貢献しないかもしれない。
最初から最後までを読みたいと思わせる本じゃないと、売れなくなるかもね。
.
2. 一部公開じゃダメなのか?
物語とかであれば、最初の方だけを一部公開でいいのかもしれない。
けれども、全文公開されていることが読むきっかけにつながり、読むことが買うきっかけにつながるのであれば、全文公開もありなのかなぁ。
そのへんは試してみないと分からない感はある。
HOW TO本や解説本は、自分の知りたい部分がどれだけ詳細に載っているのかが重要である。
なので、目次やイントロだけじゃ、欲しい本かどうかが分からない。
全文公開の意義は大きいが、前述の通り、読みたいところだけを印刷されちゃ、売れない。
.
ところで、最初の方は普通、途中から文字サイズがおかしくなったり、変な線が入ったりで読みづらくなる(決して読めなくはない)で全文公開というのを思いついたのだけど、どうだろ?
1を聞いて0を知れ!
Re:全文公開 (スコア:2)
> 前述の通り、読みたいところだけを印刷されちゃ、売れない。
印刷した程度だと、短期間でなくしてしまうので
結局、紙の書籍を買うのではないでしょうか。
紛失して良い程度の書籍は購入しませんし
携帯のカメラでパシャリという方法もあります。
Re: (スコア:0)
紛失して良い程度の書籍は購入しませんし
携帯のカメラでパシャリという方法もあります。
いやいやいや、ちょっと待て。 [google.co.jp]
#犯罪性は問えるかどうか微妙だが。
Re:全文公開 (スコア:2)
えーと、情報万引きは
ネットでもリアルでも出来ますよ的な事です。
結局、買わない人は
売る側がどんなにガードを固めても
無料でなんとかしようとします。
買う気のある人を
どう釣り上げるかが問題なのです。
Re:全文公開 (スコア:1)
Kindleもまだまだこれからっぽいし。
だから、電子ブックで全文公開しても、物理書籍にいく可能性が高いけど、もし電子ブックが普及して読みやすいデバイスができたら、全文公開したあとに金を出そうなんて人はいない。
そうなると、一部公開のみで、金払って全文を、という感じになるだろうと思う。
まぁ、日本じゃまだまだ先の話ですわ。音楽でもまだDRMフリーになる気配すらないし。電子ブック配信に積極的な出版社もあるらしいけど、実際は腰は重そうだ。
Re:全文公開 (スコア:1)
「買うかどうか決める判定に使う部分(全部見る前はどこか分からない)」が見れない(分からない)一部公開なんて、時間を使ってまで見る価値は無い。
the.ACount
Re: (スコア:0)
そういう制限という名の嫌がらせをされると、意地でも買わない、という人は少なくないと思います。
特に日本人というのはマイナスイメージを過大に捉える傾向にあると思うので。
立ち読みの代わり (スコア:3, 興味深い)
本屋に行くよりアマゾンで注文した方が楽ですし
衝動買いを狙えます。機会損失も防げます。
しかし本屋と違って、アマゾンでは立ち読みが出来ない。
中身を読まずに、題名とコメントだけで選ぶのは不安です。
全文を無料配信で、立ち読みができれば
売上が伸びるのは当たり前です。
Re: (スコア:0)
> しかし本屋と違って、アマゾンでは立ち読みが出来ない。
中身をチェックできる本もだんだん増えてきてますよ。「立ち」読みじゃないですけど。
立ち読みの補助 (スコア:2)
従来は本屋で何度か立ち読みをして
購入するというパターンでしたが
作家さんのウェブサイトやtwitterをチェックしていると
本棚から優先的にピックアップですし
内容をチェックするまでもなく
既に著者自身にネットで購入を説得されているような物なので
購入までのハードルは低いです。
立ち読みを補助されているため
本屋の立ち読みは一回で済ませて
その場で購入というパターンになりつつあります。
「生命保険のカラクリ」の場合、 (スコア:1, 興味深い)
本が売れることよりも、この本を読んでライフネット生命の加入者が増えるほうがありがたい、
というインセンティブがあるので公開できるんですよね。
本自体は至極真っ当で、自分の入っている保険の内容を合理的に説明できない人は
一読の価値ありです。
人によっては何百万も節約できるかもしれません。
Re:「生命保険のカラクリ」の場合、 (スコア:2)
印税はモノ(本、雑誌、音楽CD……)や版元・メーカーによって異なるけれど、数パーセント~15パーセントといったところ。
だから、版元にすると、著者が印税はいらないといっただけで、冊子が売れなくても良いとは判断することはないでしょう。版元に、本文無料公開で冊子が売れる切っ掛けになるかも知れないという判断があったから出来たこと。
もちろん、著者側が版元に別のインセンティブを与えた可能性もありますが。例えば、自費出版の分野では、共同出版などといって、著者が自著を流通に載せたい場合に、著者と版元が互いに費用負担(詳細は契約次第)することもあります。
PDAが読みやすい (スコア:1, 興味深い)
.Book形式で購入して書籍も買っていたんですがある時から
KeyringPDF形式のみになってPDAで読めなくなったので
電子版は購入するのを辞めてしまいました。
.Book形式、値段は書籍の大体半額位で購入できますし
名前が埋め込まれるので人に貸すみたいな使い方も
出来ないので良いかなぁと思ってたんですが。
最近見たら.Bookでも購入出来るようになっていたので
今までの分をまとめ買いしようかと検討中です。
一般ユーザーの使い方としてはこんなもんです。
無料公開で売上が上がる本「も」出る (スコア:1)
無料公開で売上が上がる電子書籍とそうでない電子書籍という格差が大きくなるんじゃないでしょうか。
あとは、電子デバイスになじみのあるスラド住民でも電子ブックリーダーへの拒否感が大きいように
電子ブックリーダーがどれだけ一般の人に浸透するかですね。
持ち運びしやすい、読みやすい以外の本というものへの認識を変えるようなメリットがないと
利用者は広がらないような気がします。
あるいは小学校の教科書を電子化して子供のうちから慣れさせるか。
Re: (スコア:0)
新書、小説の類、一部の実用書とかは無料公開しても
その宣伝効果で売り上げが上がる可能性はありますね。
特にベストセラーになるような本は
ブームが過ぎたらブックオフに大量に流れて、新品の本が売れなくなる可能性が高いので
無料公開しても作者が被るデメリットは小さいはず。
逆に何万円もするような高価な専門書籍は
無料で公開したらまったく売れなくなると思いますね。
みんな必要なところだけチラ見して済ませるようになるでしょう。
読み辛いんだよ (スコア:0)
電子書籍はどうも読み辛い。
結果、普通に紙の書籍で買ってしまう事が多い。
自分的には現状の電子出版なんてのはCMにしかならないと思っている。
電子ペーパーディスプレイが使えれば少しは評価が変わるのかも知れないが。
Re: (スコア:0)
速読できるので普通の本がいいです
電子書籍はなぜかできないのです orz
まぁサイズが新書までってせいかもしれないですけど
Re: (スコア:0)
両目で読んでいたときは、読んで文意を追いかけている行だけではなく、
前後1~3行先を漠然と眺めながら、
いま読んでいる行の物理的位置関係と文章の繋がりも同時に得ていた気がします。
片目では、いつの間にか同じ行を2回繰り返して読んでいたり、
たった数行前の記憶が抜け落ちて読み直したりと、ストレス溜まって仕方が無い。
そんなわけで、ページを漠然と眺められる電子書籍の登場を願っております。
漠然と眺めるに丁度いいサイズで、かつフォント品質は重要です。
縦サイズは新書かハードカバーまでで、視認しやすいフォントにしてください。
#非常に個人的な感覚と嗜好が混ざったコメントですw
Re: (スコア:0)
解像度の高いディスプレイだと特に見づらく感じないなあ。
フルHDあたりでももう1万円台ですし、自分はTypePのようなミニノートなのに高解像度のモノで書籍のPDFを見てます。
紙の本は読み安いけど何冊も持ち歩けない。
自宅でもたくさん本棚があると地震の時かなり怖い(下敷きになった夢を何度も見た)
電子書籍のメジャー化を切望してます。
Re: (スコア:0)
小説を移動時などに読んでいますが読みにくいといったことは特に感じません
以前はPSPにスキャンしたJPGを突っ込んでいたのですが読み取り時とリサイズ時に
文字などが潰れて読みにくくなっていたのがテキストファイルになったことで
フォントが使えるようになり格段に環境が向上しました
一応PSPの方が解像度も高く青空文庫ビュアーは入れているのですが
ジョグダイヤルが無いのでもっぱらCLIEを使っています、PSP-1000だから
重いというのもありますが・・・
問題は既存の青空文庫を使うときは良いのですが、自分で青空文庫形式にしたものは
内容をかなり覚えてしまうということでしょうか・・・
とりあえず私は320x240あれば後はフォントさえまともであれば不自由は感じません
Re: (スコア:0)
会社においてあるプリンタが、1200 dpi。
ディスプレイの解像度がそれくらいになるのは何年後でしょうかね。
これは統計的にどうなの? (スコア:0)
>41冊の本について、
教えて、偉い人。
Re: (スコア:0)
冊数よりも、書籍の分類が重要な気がする。
一回読んで終わりの系統だと無料配信はナンセンスでしょう。
逆に技術書とか読み返し前提のは増加するかもしれない。
# 無料版は挿絵なしとかにすれば、ラノベとかでもいけるかもね
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
偉くないけど、ここらへんからどうぞ。
http://quod.lib.umich.edu/cgi/t/text/text-idx?c=jep;view=text;rgn=main... [umich.edu]
# マイナスな本が割と……。
読んでもらえてナンボでしょ (スコア:0)
聴かれてナンボの音楽でも未だにこの有様
http://www.asahi.com/culture/update/0308/TKY201003080116.html [asahi.com]
いつになったら気付くんでしょうねぇ
意味不明w (スコア:0)
「買ってもらってナンボ」です。
聴いてもらわなくても買ってもらえればいいんです。
本も同じで、読んでもらうだけなら何の意味もありません。
貴方は他人に無料で食べてもらうために農業するんですか?
もしかして趣味の世界の話?
Re:意味不明w (スコア:2, すばらしい洞察)
君の方が意味不明だね。
なら君は白紙の本でも売り出したらいいじゃない。
君は腹が減っているからといって、食べ慣れた食材やどこかで紹介されていたおいしそうな食材が売っているにも関わらずわざわざ、見たことも聞いたこともない紫色の斑点の付いたキノコをいきなり買うのかね?
商業(というか世の中)が3大欲求と趣味と娯楽(暇つぶしから自己満足も虚栄心を含む)に根ざしているのはごく普通のことでしょ。知らなかったのかい?
そんなんじゃ商業的にも成功できないよ?どうやって顧客の満足度を上げられるか?遊び心をくすぐれるか?虚栄心をくすぐるか?なんてよくあるマーケティングの話でしょ。
# 人件費は消費者側にもあるのだよ。つまり、客だって費用対効果に見合わないものにはお金も時間も使わないと言うことだ。
# もちろんその"効果"はこの場合"3大欲求と趣味と娯楽と~"のことだ。
Re:意味不明w (スコア:1)
「聴いてもらわなくても良い」なんてモノを買ってもしょうがない。(それで最近ちっとも買わず聞かずになったのか、納得!)
the.ACount
Re: (スコア:0)
> 聴いてもらわなくても買ってもらえればいいんです。
買ってもらうきっかけがなければ、買ってもらえないのでは?
昔はWEBサイトのMIDIのBGMで気に入ったメロディの曲があれば
CDを買いに行ったものですが、今はBGMもありませんからねぇ。
ま、テレビの番組のテーマ曲(?)なんかで気に入った曲があれば買いますが、
そもそもあんまりテレビ見ないので・・・。
Re:意味不明w (スコア:2)
2009年度 音楽メディアユーザー実態調査 [riaj.or.jp]を見ても
アーティストの公式サイトやYouTubeの効果は高いですよね。
特にテレビ離れが進んでいる若年男性層には効果があります。
書籍もそうですが、ネットで売れないと騒いでいる業界は
宣伝する場所や方法を間違っているのではないでしょうか。
Re: (スコア:0)
>聴いてもらわなくても買ってもらえればいいんです。
表現者としてどうなんででしょう。何も伝わらなくても良いって事なのか・・・。
味気ない世の中だと思うなら それを運動じゃなく音楽で変えておくれ。
Re: (スコア:0)
まず、何で絶対に買わなきゃいけないのかがわからん
まずは聴かせろよ読ませろよ
買うかどうかを決めるの消費者だ
価格を決めるのも消費者だ
今のクズみたいな書籍は、無料以下の価値しかない
活字中毒 (スコア:0)
活字中毒なので本屋で買ってきた青空文庫DVDのデータをザウルスに保存して読んでます。
CGシリコン&LCフォントでものすごく読みやすいです。
それでも岩波文庫やちくま文庫はよく買いますね。
カマラーゾフで話題になった光文社古典新訳文庫みたいに読みやすい新訳が出ると欲しくなるし。
個人的には書籍全体の売上よりまちの本屋さんの方が気になる。
立ち読みOKの本屋は貴重な存在です。
ネット上の書評よりやはり店頭でパラパラめくってみる方がわかりやすい。
書店によっては店長のこだわりが見られるところもあるし。
売り場を一回りするといろいろ発見するものも多い。
掲示板に張られた青空文庫へのリンクで興味を持って書店に足を運んでくれる人が一人でもいれば大きいんじゃないでしょうか?