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Kyoutarou.Nekoの日記: ネットワークの中の律子さん(その31)
その31
あたし、五十嵐雲雀は不満だった。4月に正式に配属され、5月の後半になったが京太郎さんは全然かまってくれない。忙しいのは分かるけど、あたしみたいな後輩がいるんだからもっとかわいがってくれてもいいんじゃないか。高杉先輩とシェルスクリプトについて聞くために京太郎さんのところへやってきた。
「京太郎さん、高杉先輩にシェルスクリプトのこと聞けっていってましたけどあたしが聞いたら高杉先輩も分からないんだそうです」
「そうなの?高杉君」
「はい、分かりません」
「国際会議のAcceptance letterを受け取ったとはいえ直しがあってね、時間がないんだ。一回しか言わないけどそれでいいなら説明してあげる」
「ありがとうございますー!」
「高杉君、雲雀さん、CUIには慣れている?」
「俺はある程度なら…」
「あたしは殆ど使いません。GUIでやれないことだけ使ってます」
京太郎さんは困った顔をして、
「雲雀さんはまずCUIになれることから始めて、じゃないとシェルスクリプトは書けない」
「何でですか?」
「標準入力をキーボードに、標準出力をターミナルに繋げたのがCUIのシェルつまりユーザを包む殻なんだ。シェルスクリプトはファイルにCUIのコマンドを列挙したのがシェルスクリプトなの」
だからそこから始めないとね、と京太郎さんはいった。
「じゃあ、僕の作例から解説してあげる。いいかい…」
「ま、こんなとこ。分かった?まあ、もっとマニアックな使い方もあるけどとりあえずこれぐらいでいいだろう」
「ある程度なら」高杉君はいう。
「あたしもなんとなく分かりました。要は標準入力と標準出力を組み合わせることですね?」
「そういうこと。雲雀さんはCUIがどういうものかわかったでしょ?GUIじゃなくてCUIを使うようにしてね」京太郎さんはいった。
「ありがとうございましたー!!」
「シェルスクリプト覚えたならスクリプト言語どれか一つ覚えるのを薦めるよ」
そっちの方が効率がいい場合もあるから、と京太郎さんは付け加えた。
「京太郎さんは何を覚えてますか?」あたしは聞いた。
「Rubyだね。Perlも昔使ってたけど複雑すぎて忘れた」
へー、じゃあRubyを覚えよう。
その31終わり
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