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火星

Torisugariの日記: オープンソース・ポルノグラフィ

日記 by Torisugari

1.オープンソース
私が知らないだけなのかもしれませんが、オープンソース的な手法で作られているポルノメディアは、まだないと思います。しかし、これは思考実験として、わりと面白いテーマではないでしょうか?例えば性教育に熱心な学校の教師が数人集えば、実現の可能性は十分あると思います。少なくとも、昨今では技術的なハードルはかなり下がっています。今や、障害となりうるのは、社会的な抑制だけでしょう。

金銭的な報酬は見込めませんが、「何かを伝える」という観点から見ると、これほど大きな見返りを期待できる分野もありません。今のところ性教育くらいしか思い浮かびませんが、その性教育にしても、単純な性知識に留まらず、内容によっては、道徳的な意味での啓蒙の効果が期待できるでしょう。特に、需要が飽和していないうちは、提供側が完全にキャスティングボードを握っているので、大きなチャンスが眠っています。結果が思い通りになる、とまでは行かなくても、社会に大きなインパクトを与える一大契機になる事は間違いないでしょう。これだけネット上に性的なコンテンツが溢れているとはいえ、それだけは確かだと思います。

2.ライセンス
話は変わりますが、ウェブ上には、ライセンスの制限が存在しないポルノメディアが存在します。例えば、喜多川歌麿の美人画などがそうです。結論から言うと、歌麿の絵はポルノメディアとして市場に通用していないでしょう。性的な価値があるかどうかはあくまでも個人の嗜好の範囲ですし、金銭的な価値があるかどうかは、画商が決めることです。しかし、「性の商品」としての価値が発表時より遥かに低いという点に反対する人はいないと思います。ポルノメディア的な価値は、時間と共にいとも簡単に蒸発してしまうのです。

しかしながら、実写映像ではどうでしょうか?この話は、あながち机上の空論でもないのです。
http://www.archive.org/details/Blonde_2
これは、サイレント時代のストリップ動画で、既にパブリックドメイン入りしています。もちろん、これにしても既存のポルノメディア産業に十分な影響を与え得る、とは言い難いかも知れません。しかし、我々はサイレント映画がフルハイビジョンになるまでの技術的な歴史を知っているので、パブリックドメインのポルノ作品群が、それを追いかける過程を容易に想定できてしまいます。映像技術が発展していく限り、ポルノメディアが産業全体として廃れることはないでしょうが、量的緩和が効いてくるであろうことは想像に難くありません。

そして、フリーライセンスは後ろから追いかけてくるだけではありません。横からも来ます。
Taric Alani氏(男性)
http://commons.wikimedia.org/wiki/Category:Taric_Alani
Keeani Lei氏(女性)
http://commons.wikimedia.org/wiki/Keeani_Lei

このように、自らを題材にしたポルノメディアにGFDLを適用している人が出はじめています。おそらく、宣伝の一環としてフリーライセンスを付与しているのでしょう。ただ、よくよく考えてみると、第三者でも(出典とライセンスさえ明記しておけば)本にして売ってしまってもいいのですから、単に自分のウェブサイトで作品を発表して「自由な閲覧」を許可しているのとは一味違います。みかけの価格は同じゼロでも、こちらの方がより「安価」に設定されている、と捉えるべきなのです。

つまり、デフレです。有り体に言えば、コモディティ化が進行しているのです。おそらく、この十数年はITの影響で空前の市場を得たと想像されますが、この先はグローバル化の波に飲み込まれて、更なる競争の激化と淘汰が進むでしょう。そして、その淘汰はポルノメディア提供者の淘汰であって、コンテンツの量と種類はむしろ増えるはずです。

ナショナリズムや社会正義に関する議論は省きますが、何れの主張を持つにせよ、眼前の事実を見ないわけにはいかない、と思うのです。

3.知名度
余談ですが、上に挙げたリンク先の3名を既に知っていた人はいるでしょうか?特に、最初の人は「ブロンド」と銘打たれているくらいですから、おそらく名前も伝わっていないのではないかと思います。これがエポックメイカーの恐ろしさですね。WikipediaのPornographyの項にそのまま収録されているので、永遠に残る、とは言わないまでも、それなりに人の目に触れ続けることは確実でしょう。ウェブページや論文と違って、人間の業績は被リンク数で簡単に数値化できるものではありませんが、それでも、人が生前と死後に持つ影響力の差について考えさせられてしまいます。

そういえば、発表年によっては、存命の可能性も十分にありますね。そもそも、何年前の作品かもわかっていないのに、パブリックドメインなっているのは確かなのでしょうか?

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私は悩みをリストアップし始めたが、そのあまりの長さにいやけがさし、何も考えないことにした。-- Robert C. Pike

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