akiraaniの日記： 池田信夫氏の原発論

　なんとなく面白そうなので、池田信夫ブログでの原発関連エントリのまとめのようなものを日記に。

　反対派とよくブログでケンカしているので推進派と思われているようですが、これまでのブログに書かれた内容を見る限り、池田信夫氏は原発反対派でも賛成派でもないです。
　強いて言うなら、原発政治体制の反対派であり、同時に原発技術への肯定派だというのが個人の印象。

　福島第一に関する事故の見解については、直接の原因は冷却用電源の全損。これを防ぐ方法はあったし、現に対策が行われている新しい炉では地震で被害を受けているが安全に冷温停止に至った。技術的な対応が正しく行われていれば災害時でも致命的な事態は引き起こさないことが証明されており、廃炉ではなく新しい安全な炉への建て替えが本来あるべき対応。このあたりが原子力発電所というシステムに対する池田氏の見解のようです。
　ゲイツ氏の話も何度か話題に出てますが、おおむね肯定的な評価です。ちなみに、「メルトダウン」というのは定義があいまいで誤解を招く表記なので公式発表や報道などでは使用すべきではない、という話も何度か上がってます。あと、放射線への影響についても何度かエントリが上がってますが、こちらも基本マスコミの報道姿勢に関する批判で、今となってはアンチ安全厨が噛み付くから仕方なく解説してやってるよ、的なエントリが主です。

　一方で、原発の政治的な体制については基本批判の嵐です。交付金を通じたいわゆる原発利権の体制、それに伴う政治闘争による弊害と安全対策への影響、などなど。
　送電と発電の分離についても何度か言及されています。現在の日本の電力システムは制度として寡占が保証されているので腐敗癒着は必然的に起こるし、イノベーションを阻害するので技術の促進も起きにくい。そのシステムを根本から変えてしまうべきだという旨の話は何度かありました。
　東電の再生案に関しても政府の対応を批判しまくってますね。正直このあたりの主張は経済に関してド素人なため私個人がよく理解できていませんが……。

　池田氏の主張に対する個人的な感想ですが、こと原発に関しては大きな間違いはないと思ってます。原発利権体制なんかの話も、少なくとも首尾一貫していてぶれはないし(ポジショントークしかしない人はこのあたりがたいてい怪しい)、技術分野の細かい話はさておき、大筋の論では否定材料もあまりない。
　ただ、どうすべきかって話に関しては基本オーバーに物事を語ってるところはあるんじゃないかと。以前良くエントリに上がってた電波利権の解体の話でもそういうところがありましたが、自由競争でのメリットは語っても、デメリットを分析してるところをほとんど見ないので。
　そのあたりをきちんと差し引いてみれば、興味深く面白い話が多いですね。アゴラとかやりつつ、個人ブログにあんだけのボリュームの問題提起的なエントリをこれだけの更新頻度で出してこれるってのはすごいですよ。

追記：ご本人によるまとめ