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h.morinoの日記: CDのできること、smfのできること、楽譜のできること

日記 by h.morino

CDは音楽を記録できません。
midiは音楽を記録できません。
楽譜は音楽を記録できません。

これは「音楽とは何か」という問題であるとともに「抽象度」の問題です。

・CDはなぜ音楽を記録できないか
CDをはじめオーディオ機器が記録しているものは、マイクに到達した空気の振動です。録音しているときに大気中に音楽があったから音楽がたまたま記録されているだけで、冷蔵庫のうなりがあればそのまま記録されます。オーディオ機器は大気の振動が音楽であるかどうかを認識することなく、あるがまま記録し再生しています。そこには全く音楽に対する解釈はありません。
コレを再生条件がかなり変わってもなぜ人間が音楽と認識できるかは人間の認識側の問題です。
(サンプリングレートや音量の階調がかなり大まかでも大丈夫。このへんは画像と同じで、かなり小さなサムネイルでさらに減色がかかっていても大体何だか理解できるのはなぜ?ということ)

・midiはなぜ音楽を記録できないか
midiが記録するものは、鍵盤楽器の鍵盤に対する入力です。記録形態は時間当たりのサンプリングではなくて、入力の変化した時刻を記録するタイプ。鍵盤の入力とリリースのタイミングだけでなく圧力の変化時にもタッチとして記録します。再生時はその入力に対応した音色で音を合成し、出力します。
これだけ書くとかなり楽譜に近く思えますが、実際にmidiから楽譜に起こすと全く楽譜として使い物になりません。
たとえばポップスなどですと、ボーカル相当の鍵盤、ギター相当の鍵盤、ベース相当の鍵盤、ドラムの鍵盤、キーボードの鍵盤の入力をひとつのmidiファイルとして格納してしまうことができますが、同時発音数が足らない場合など一つのトラックにあらゆる楽器が混在する技巧を使ったりします。
また、データとしてPCで位置から作成したものでは起こりにくいことですがキーボード直接入力で得られたmidiファイルなどでは微妙なタッチの変化を全て拾ってしまい、そのまま楽譜にすると一つの音を発するのに異様な数の記述が必要になってしまいます。
さらに、純粋に鍵盤入力を拾っているため「旋律と伴奏」「和音」という考え方自体が存在しません。
その他数多ある特徴の結果として、かなりうまく解析を行わないと人間が自然に読める楽譜にはなりません。

・楽譜はなぜ音楽を記録できないか
楽譜は演奏指示の情報です。楽譜にしてしまうと音楽の大意だけが残り、細かなニュアンスが全て記録されずに消えてしまいます。

・音楽とは何か
私はここの結論が出せませんでした。CDが記録しているのは音声です。midiが記録しているのは指使いです。楽譜が記録しているのは音楽の本質を一種類取り出して大意だけダイジェストしたものです。
楽譜が音楽を全てあらわしているなら、なぜ私は歌っている歌を即座に1音あげて歌ったりできるのでしょう。3拍子とワルツの違いを何で区別できるのでしょう。拍子を変えていきなりスゥィングできたりするのでしょう。硬くひいたりやわらかくひいたり楽しくひいたり悲しくひいたりできるのはどうしてでしょう。なぜ即座にハモるための旋律を生成できるのでしょう。
多分私は勉強不足なのでしょう。

・抽象度
音声<指使い<楽譜<楽譜を読んだときに脳内に生成される楽曲のモデル

・比喩
音声→GUIへの出力
指使い→CPUで実行されるコード
楽譜→ソースコード
音楽→仕様
私の研究したかったこと→rubyのコードをCOBOLのコードに読みやすく変換する

・結局は翻訳なのだと考えると
単語を拾って逐語訳で翻訳すると、無理が出ます。(私以前のアプローチ)
上位概念に変換してから書き下そうとすると、上位概念を十分に定義するための高度な能力が必要です。(私が挑戦して敗れたアプローチ)

・結局何が欲しいかというと
誰か音楽とは何なのか、過不足なく表現できるデータ構造を発明してください。

備考
以上の文章は故意に単純に書いておりますので、細かい所は気になるとは思いますが大意を汲み取っていただくと幸いです。

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