himmelの日記: .
#推敲に飽きた。
児童ポルノサイトを閲覧しただけでは違法とはならない - ニューヨーク州判決
ニューヨーク州上訴裁判所は、児童ポルノサイトのウェブキャッシュは、それだけでは違法要件を満たさないとし、地方裁判所の判決を覆した。(本家/.のストーリー、MSNBCの記事、判決文はそれぞれのリンク先にある。)
ニューヨーク州法では、情を知って児童ポルノの取得等をすることと所持することを禁じており、被告人は136個の児童ポルノ画像等を取得あるいは所持した罪で有罪判決を受け、上訴していた。
一審の地裁は、ウェブキャッシュには画像が自動的に保存されるので、ウェブキャッシュに児童ポルノ”画像”があることだけでは情を知って児童ポルノを取得あるいは所持した証拠にはならない、としつつも、被告人はReal Playerで児童ポルノを見たり(履歴から判明)、過去に児童ポルノを所持していたり(そのような内容のメッセージが残っていた)するので、児童ポルノ”サイト”のウェブキャッシュは被告人がそのページを情を知って閲覧したことを意味し、意図して閲覧することは児童ポルノ画像を情を知って取得した証拠となる、とした。
一方上訴裁では、閲覧した画像がウェブキャッシュに保存されることを被告人が知っていたのならばウェブキャッシュの児童ポルノを取得し所持したことになるが、被告人が知っていたという証拠を検察は示していないとし、またウェブキャッシュは単に閲覧した証拠であり、取得や所持の認定には閲覧することだけでは足りず、より積極的な行為(印刷、ダウンロード、保存など)の証拠が必要となるとして、閲覧の証拠だけでは取得の証拠にはならないという被告人の主張を認め、地方裁判所に再審を求めている。
判決は6対4で採択され、多数意見に反対した判事の一人は「ニューヨーク州では、インターネットを通じて児童ポルノを意図して閲覧することが合法になってしまった。」と意見を述べている。この判事は、児童ポルノを根絶し、児童ポルノ市場を破壊することを目指した30年前の立法者の意図を最大限に考慮すべきだと考えている。多数意見の判事の一人は、立法者があらゆる児童ポルノの利用方法を禁じようとしていると仮定するべきではない、と述べている。
なお上記の上訴審判決は、サイトを通じた児童ポルノ画像の取得および所持についての2件の起訴事実に対する有罪判決に関するものであり、残りの134件(1つの児童ポルノビデオの取得および所持と132個の児童ポルノ画像の所持)に関しては、上訴審は「適切に有罪判決が下された」としている。これらは被告人がダウンロードし、保存し、削除していること等から、被告人が情を知って取得し所持していたと見なされたようである。
ちなみに連邦法(18 USC 2252A §[1][a][5])では児童ポルノを所持することだけではなく、閲覧の意図をもってアクセスすることも禁じている。この条項は2008年に追加されたものだが、それ以前の2002年と2006年には、閲覧するとウェブキャッシュに保存されることを知っている場合、児童ポルノのウェブキャッシュは所持の証拠となる、という判決が連邦裁判所により下されている。
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