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2796 story

国産固体燃料ロケット ミュー・シリーズの開発に幕 18

ストーリー by Oliver
流動性政治 部門より

mabu 曰く、 "読売新聞社の記事によると、宇宙科学研究所が衛星打上げ用固体燃料ロケット「M(ミュー)-V」の開発を打ち切り、技術を民間に移転する方針を固めたそうです。「M-V」は、日本最初の衛星「おおすみ」を打ち上げた「L-4S-5L」の後継である「ミュー・シリーズ」の最新型ロケットで、これまでに2機の科学衛星を打ち上げました。しかし、宇宙科学研究所と宇宙開発事業団、航空宇宙技術研究所が2003年度に統合することになり、今後のロケット開発を液体燃料ロケット「H2A」に一本化することになったそうです。
実は、以前日経新聞社によって「M5廃止」と報道されたときに、日本惑星協会のMLで宇宙科学研究所の的川氏「ガセネタかアドバルーン」と反論されていました。今回の記事が本当かどうかは分かりませんが、宇宙科学研究所と宇宙開発事業団、「J2」ロケットを開発中の経済産業省・文部科学省の間で縄張り争いが激しいのは間違いないみたいです。"

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  • 誰の為のロケット? (スコア:4, すばらしい洞察)

    by mizuki tohru (2645) on 2002年04月15日 20時44分 (#82451) ホームページ
     どんな物でもそうなのですが、ユーザを無視したハードウェアほど情けない代物はありません。
     今回の決定は、ユーザである宇宙研の意思とは別の所でおこなわれました。言ってみれば、トラックが必要なところに旅客バスをあてがうようなものです。
     そもそも三機関統合も、事業団と宇宙研の存在目的の違いを無視して、民間航空会社と航空自衛隊を合併するようなものでした。
    ユーザにとって、それは決して、ひとくくりに同じ物と言って良い代物では無いのです。

     かつて科技庁の誰かが、事業団の固体ブースターと、宇宙研の上段をドッキングすれば、安い開発費でロケットがつくれるぞ、と思いついた事がありました。
     お上がそう言えば、下々は逆らえません。お金出るし。開発費は確かに安く上がりましたし、ロケットのコストも、そう高い、という塩梅でもありませんでした。
     しかし、肝心のお客がいませんでした。どんな機関も、どんな企業も、ペイロードが中途半端で打ち上げ時の振動条件が厳しいこのロケットを使おうと言いませんでした。2号機はまだ打ちあがっていません。1号機と2号機を見比べると、これを同じロケットと言い張る連中のアホさ加減が実に笑えます。
     宇宙の駄っ作機、J-Iロケットの出来あがりです。

     M-Vの後継として暗に目されているJ-I改ロケット、こいつのチャレンジャーっぷりはわりと好きなのですが、こいつをJ-Iの”改”と言い張る辺りもステキです。
     どこかに、アホがいるのです。

     決定は、宇宙研が下すべきです。
    • by locate (5848) on 2002年04月16日 0時23分 (#82527) 日記

      なんで宇宙研の人は民間への技術移転をいやがるんだろ。
      自分らが研究してきた結果として、技術が確立し、
      民間移転できるとこまで来たわけですよね。
      喜ばしいことだと思うのですが。

      ひょっとして、重箱の隅をつついていた研究者が、
      自分の仕事が無くなるのを危惧して、わーわー言ってるだけ?
      科学者なら液体燃料ロケットに新しい研究テーマを見い出して、
      その新しいテーマに心血を注げば良いのでは。

      どうしても固体ロケットにこだわりたい人は、
      民間に移れば良いんだし。

      親コメント
      • by mizuki tohru (2645) on 2002年04月16日 7時39分 (#82596) ホームページ
         移転が無い、と言うのは、移転するものが無いからです。
         研究者が作るロケットですから、論文ネタとして、充分すぎるほど技術は公表されていると思います。そして、肝心のコンポジット推進剤については、そもそもの初めから、IHIエアロスペースと日本油脂は全てを知っている筈です。
         この辺りについては、日本のロケット開発史資料から、容易に推測することができます。
         ”技術移転が無い”というのは、”勉強していない”というのと同義とまで言わないまでも、相当に近い内容だと思います。宇宙研が何をしてきたのか、良く知っていない発言です。
        親コメント
    • ほんとのユーザは宇宙研じゃなくて、ロケットを使うお客さんじゃないんですか?
      • >ほんとのユーザは宇宙研じゃなくて、ロケットを使うお客さんじゃないんですか?

        そのロケットを使うお客さんが宇宙研です。
        宇宙研の探査機や観測衛星を打ち上げるわけですから。

        IHIエアロスペースはほかのお客さんに使ってもらうことも考えてるのでしょうけど、まだ影も形もないロケットを使おうとするお客さんもそうそういないでしょう。
        ちゃんと開発できるかどうかも外から見たらわからないわけですし。

        で、手っ取り早く確保できるお客さんとして、宇宙研に目をつけたと。
        #しかもM-Vを人質に取った形で。
        親コメント
        • > そのロケットを使うお客さんが宇宙研です。

          ああ、なるほど。それが開発の理由なんですね。つまり、自分たちで独自に開発できれば良いということですか?

          てっきり、開発に成功したあとは、日本の衛星ビジネス参入のチャンスを狙ったり、と産業の振興に寄与するのが目標なのかと思ってました。
  • by SteppingWind (2654) on 2002年04月15日 16時58分 (#82383)

    素人目に見ても, やっぱり無理がありますからね. いえ, 決して技術的に悪いということではなく, むしろ芸術的とさえ思うのですが, どうしても一品ものになってしまいますから. 最近の商用打ち上げみたいに2~3個の衛星を複数軌道に投入というような用途で汎用性を持たせるためには, やはりソフト的に調整の出来る液体燃料モーターにコスト的にかなわないということなんでしょうね.

    希望としては, ミューシリーズで蓄積した固体燃料モーターの最適化技術をH-2Aの補助ブースターのバリエーションでいかして欲しいと思います.

    • 同じく素人目で申し訳ないのですが。

      >素人目に見ても, やっぱり無理がありますからね. いえ, 決して技術的に悪いということではなく, むしろ芸術的とさえ思うのですが, どうしても一品ものになってしまいますから.

      液体エンジンでもロケットは一品ものだと思うのですが。
      #いえ、領収試験をやるのは知ってますが、運用時と同様の条件下ではないですよね?

      >最近の商用打ち上げみたいに2~3個の衛星を複数軌道に投入というような用途

      こういう用途やGEOへの大型衛星打ち上げにはにはH-IIAを使えばいいと思います。
      そうではなく、1〜2機の衛星/探査機を即応性とコストを考えて運ぶシステムとしてのM-VとJ-IIの比較が問題なんですよね。

      >やはりソフト的に調整の出来る液体燃料モーターにコスト的にかなわないということなんでしょうね.

      どうなんでしょう。固体燃料モータには構造が単純であるという利点がありますし。
      なにより本当にコスト的に勝てるのであれば、税金の投入がなくてもJ-IIを作ることができると思うのですが。
      ましてJ-II二段目の液酸・メタンエンジンは新規開発ですよね。
      個人的には"J-II一機30億円"というのは的川発言の"あと50億出せばM-V一機30億円強"と同程度の説得力だと思っています。
      別コメントにある水城さんの発言にあるように、どちらを選ぶかは宇宙研自体が考えるべきだと思います。

      話はかわりますが、今回のアドバルーン(私はそう信じています)は前回に比べてかなりしぼみましたね。
      どこまで小さくなるか見て見たい気もします。
      親コメント
      • by Dobon (7495) on 2002年04月16日 2時04分 (#82559) 日記
        日本以外では成功していません... 実は非常に高度な技術だったりします。
        問題はシステマティックな技術ではなく『職人芸』で達成した点にあります。
         後継者がいないから2段目を液体燃料に変更したのでしょう…。

        なお、固体ロケットは質量比では液体ロケットにかないません。(ペイロードが小さければ問題ないのですが…)
        詳細は別スレッドののロケットガールを参照[笑]

        #個人的には:職人さんが町工場でロケット作るって構図が好きです。
        --
        notice : I ignore an anonymous contribution.
        親コメント
        • >問題はシステマティックな技術ではなく『職人芸』で達成した点にあります。
          >後継者がいないから2段目を液体燃料に変更したのでしょう…。

          本当にこういう理由なら仕方がないのですが、政治的な理由にしか見えないところが気に入らないところです。

          >なお、固体ロケットは質量比では液体ロケットにかないません。
          >(ペイロードが小さければ問題ないのですが…)

          そのペイロードが小さいときのコストの問題をしっかり考えたのかなあという点が気になります。
          LEO5.5tの中途半端な打ち上げ能力を、現時点で誰が必要としているのでしょうか。
          #もちろんそれを開発することは必要かもしれないと思いますが、M-Vを完全に捨ててまでやることでしょうか?

          >詳細は別スレッドのロケットガールを参照[笑]

          ロケットガールは質量比で液体ロケットを軽く超える固体ロケットを作る話ですよね。
          #素子さん萌え。

          >#個人的には:職人さんが町工場でロケット作るって構図が好きです。

          私も好きです。早くそういう時代にならないかな。
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  • この後は..... (スコア:3, 参考になる)

    by Hebikuzure (489) on 2002年04月15日 17時11分 (#82386) ホームページ 日記
    固体ロケットエンジンの技術は民間移転するとの事ですが、固体ロケット技術は軍事転用の危険がつきまといます。
    技術拡散の危険性は無いのでしょうかね。ガードが甘いと国際問題化しちゃうよ。
    • Re:この後は..... (スコア:2, 参考になる)

      by BAK (1020) <bakNO@SPAMd2.dion.ne.jp> on 2002年04月15日 19時08分 (#82426) ホームページ 日記

      そういえば,Μの開発当初は「軍事用ではない」ということを明確にするためにノズル(というのかな)の方向で姿勢制御を行わなわず,段の切り離しや点火のタイミングだけで制御していた,という話を聞いたことがあります.

      今はここらの話はどうなっているのかは知らないのですが…

      親コメント
    • by tada (5086) on 2002年04月15日 20時14分 (#82445)
      民間に移転といっても、今までだってM-Vを実際に製造していたのは
      ゴーンが売った日産の宇宙部門、今のIHIエアロスペースですからね。
      何か上の方でごちゃごちゃ変わっているようですが、
      実際やっていることはどれくらい変わるんでしょうか。
      親コメント
    •  うーん、推進剤以外の技術については、軍事用途への移転は極めて難しいだろうと思います。あんな極端な設計の技術群を軍事転用するというのは、フォーミュラマシンを装甲車にしようと言っているようなものです。クルマだからとひとくくりにはできません。
       宇宙研の公開技術を使ってミサイルを作ろうというのは、素人がMozillaのソースを使って軽量ブラウザを作ろうとするようなものです。ソース見て目をまわすのがオチ。
       推進剤については、防衛庁の研究者が教科書出版してるし。
      [amazon.co.jp]
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  • by hctom (8713) on 2002年04月15日 16時23分 (#82369) ホームページ 日記
    固体燃料は技術的に挑戦する意義が薄いと考えてなのか、単に実用性が薄いと感じての判断なのか気になります。

    >縄張り争いが激しいのは間違いないみたいです。
    競争によってより良いロケットができるなら大歓迎ですが、それを官同士でやられるとねえ。
  • そ、それは困る! (スコア:0, オフトピック)

    by Mad Kucky (1893) on 2002年04月15日 16時30分 (#82373) ホームページ
    ロケットガール [asahi-net.or.jp]の世界が実現しなくなってしまふ(爆)
    --
    _ to boldly go where no man has gone before!
    • 国内の主流から外れて、やりたいことが出来なくなったから無理やり別予算を作り出して海外で活動する訳で、意外と実現が近くなったのかも

      #海外流失してミサイル開発されるのは怖いけど
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一つのことを行い、またそれをうまくやるプログラムを書け -- Malcolm Douglas McIlroy

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