パスワードを忘れた? アカウント作成
15514 story

日本の基本特許の寿命は欧米に比べて劇的に短い 20

ストーリー by yoosee
時間と品質のバランスが難しい 部門より

jonykatz 曰く

東京医科歯科大学から 日本におけるバイオテクノロジー分野の基本特許の寿命は劇的に短い というプレスリリースが発表されている。 それによれば、 バイオテクノロジー分野に関して、日米欧の特許保護の現状を調査した結果、 日本では特許庁の厳格な審査のために審査期間が長期化し、 特許の存続期間、権利範囲の減縮が起きているとのこと。そのために、 審査期間の短縮と特許期間の延長制度を求めるという内容である。
例として挙げられているDNAチップでは、日本は欧米に比べて18年遅れて特許が成立したため、基本特許の存続期間が半分以下になってしまったことが述べられている。

確かに米国に比較すれば各段に日本の審査は厳しいとは思うが、 本当に審査しているのかよく分からない米国の特許制度の歩調に合わせることがいいのかどうか微妙なところな気がする。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by Anonymous Coward on 2007年05月26日 19時07分 (#1163333)
    基本特許であるからといって、公知の事項や他者の発明内容まで記述することはできません。
    当たり前の話です。

    日本の特許制度は、そうした点を綿密に調べて必要があれば権利範囲の減縮を特許を受けよう
    とする者に対し求めていることから、日本の特許庁の審査は適切であると考えられます。

    また、基本特許の特許化が遅れたからといって、特許成立までの他者による特許侵害に対する
    対抗手段が無くなるわけではありません。

    ザルのような審査と綿密な審査による特許とどちらが良いのでしょうか。
    ザルのような審査により成立した特許は、成立した後に訴訟が起きて泥沼のような長期戦に陥る
    だけです。

    日本人特有の丁寧な仕事の結果がこのような状況を生んでいるわけです。

    #まぁ、それにしても審査期間は長いと思うのだがAC
    (審査請求してから、そもそも審査が始まるまで現在24~27ヶ月掛かっている。それまでは棚の上に積まれている)
    • by xan (25964) on 2007年05月26日 20時55分 (#1163368) 日記
      >ザルのような審査により成立した特許は、成立した後に訴訟が起きて泥沼のような長期戦に陥る
      >だけです。

      そもそも、アメリカは裁判で片つけろっていうスタンスですよね。まぁどうせ最後には裁判になるんだから、という考えなのかもしれませんが。

      日本人があっちの制度を理解してないのと同じく、あっちの人も日本の制度が良くわかってないんじゃないでしょうか。スタンダードは国によって違うんですから。

      >#まぁ、それにしても審査期間は長いと思うのだがAC

      審査をきっちりやることで、クレームや明細の定義が曖昧な単語が明確になり、保護したい技術内容もはっきりするため、後で裁判等になった時に後出しじゃんけんが防げるので、審査はきっちりやって欲しいと私は思いますけども。
      親コメント
    • #まぁ、それにしても審査期間は長いと思うのだがAC
      (審査請求してから、そもそも審査が始まるまで現在24~27ヶ月掛かっている。それまでは棚の上に積まれている)

      それって、特許庁の人員が足りてないって事でしょうか?

      親コメント
      • by Anonymous Coward on 2007年05月26日 22時21分 (#1163413)
        以前は審査請求可能な期間が”7年”だったのですが、最近の法改正により
        新規の出願に関して審査請求可能な期間が”3年”に改められました。

        その結果、旧法準拠での期限ぎりぎりの駆け込み審査による審査請求と、新法
        準拠による通常の審査請求が同時期に集中することになり、人員が足りなくなる
        状態が一時的に発生しています。

        元記事の18年掛かったというトピックスですが、この元となった特許、一体
        何時の時点で審査請求を行ったのでしょうね?(多分旧法での出願でしょうから、
        7年間手元にもてたはずです)

        特許出願をするだけすれば、他社に対する牽制や脅しになります。下手に審査請求
        を行うと、権利範囲が狭められる可能性もありますから、むしろ審査請求を早期に
        行わない方が良いという考え方もあるのです。

        その結果、そうした権利が確定していない特許を早期権利化させるため、審査請求
        可能期間が7年から3年に短くなったわけですが、その副作用として一時的に審査
        開始となるまでの期間が延びてしまっています。

        任期付き審査官等を募集するなどして、対策は行っているようですが解消するのは
        まだしばらく掛かるようです。
        親コメント
        • by kamesan (23069) on 2007年05月27日 0時39分 (#1163510) 日記
          少し補足させて下さい。

          > 審査請求してから、そもそも審査が始まるまで現在24~27ヶ月掛かっている。
          > それまでは棚の上に積まれている

          このような状態になっているのは待機案件が相当数溜まってしまっていて、審査は基本的に古いものから行われるからです。請求可能期間の短縮は特許法の平成11年度改正によるものですが、それ以前からもともと新規に審査請求が為される分量(つまり案件の増加量)に審査の処理能力がなかなか追いついていかず、案件が溜まりがちだったという背景があります。人員の増加や審査の効率化などによってようやく追いつき始めたところへ件の駆け込み請求が集中して、審査請求件数が大幅に増加してしまいました。特許庁の統計資料 [jpo.go.jp]によると以下のようになります。資料中の「ファーストアクション件数」が審査に手を付け始めた案件の件数、「ファーストアクション期間」が審査請求が為されてから審査開始までの期間になります。

          年 : 審査請求件数 : 審査を開始した件数 : 請求から審査開始までの期間

          1997 : 205,300 : 183,744 : 21ヶ月
          1998 : 208,392 : 216,015 : 19ヶ月
          1999 : 217,389 : 203,117 : 19ヶ月
          2000 : 261,690 : 191,131 : 21ヶ月
          2001 : 253,826 : 196,288 : 22ヶ月
          2002 : 237,345 : 215,288 : 24ヶ月
          2003 : 243,836 : 226,420 : 25ヶ月
          2004 : 328,105 : 234,109 : 26ヶ月
          2005 : 396,933 : 243,548 : 26ヶ月

          請求可能期間の短縮が実施されたのが2001年10月でして、2000年と2001年の増加が旧法下での駆け込み請求に相当します。2004年からの急増は短縮された期間の施行に対応(2001年段階で出願された特許は審査請求の期限は2004年になる)と言われています。もっとも、ここまで急激に増加した理由については正直ピンと来ないのですが。

          待ち時間を短くするため、すなわち待機案件を減らしていくための最も簡単な方法は審査する人員を増やすことですが、一時的な案件の増加に対して無闇に正規(常勤)の審査官を増やしてしまうと将来の人余りを生み出すことにもなってしまうため、任期付きの調査員や審査官によって乗り切ろうとしているわけです。

          ですが人数を多少増やした程度では処理能力の向上にも限度があるわけで、今後待機件数が減少に向かうとしても、審査開始までの期間が十数ヶ月というレベルに戻るのにさえ、相当な時間がかかるのではないかと思っています。

          ------------------------------

          ちなみに余談になりますが、2004年度実績で審査官1人あたりの処理件数は
          日本:205
          米国: 83
          欧州: 42
          です。つまり待ち時間は長いけど審査官も頑張ってるんですよってことで。はい。

          ------------------------------

          元関係者みたいなものなんですが、まぁIDでいいや。
          親コメント
          • 米国の審査がザルだと揶揄されているのに、処理件数が日本の40%ということは、
            日本人が頑張っているというよりは、審査官が根本的に足りてないのでしょう。
            任期付き審査官を雇う以前に、常勤審査官を3倍ぐらいにするのが筋なのでは。
            親コメント
            • 処理件数が日本の40パーセントとして、その2倍に人を増やせば同じ質を維持して審査できるかといえば、絶対にできないと思います。
              また、特許庁にかかる費用は幾らなんでしょうかね?たぶん、総費用自体は、日本とそれほど変わらないのではないでしょうか?
              日本人の場合、質の高さを求めるから時間がかかるのだと思います。社会全体のことについて、速さと質をどうバランスさせるかを良く考えてみるべきでしょうね。
              • 人員を増やして一時的に品質が下がるのはしょうがないでしょう。
                どうせ過渡期措置として任期付き審査官を雇うのですから、
                一時的に下がるのは同じです。
                任期が終わって十分に経験を積んだその人たちを恒久的に
                雇う選択があるはずです。
                世の中に審査官ができる程度に優秀な人材はまだまだいます。
                人を増やせないのは単に予算が無いからです。

                速さと質をどうバランスさせるかの問題は予算の枠が一定の場合の話で、
                そもそも国の特許に掛ける予算配分が間違っているのではないでしょうか。
                知的財産立国と自らを称するなら必要なことはするべきだと思うのですが。
                親コメント
    • 別に「厳格なものを緩やかにしろ」とは言ってないでしょう。期間がかかるのをすこしでも短く、長くなった場合はその分の延長をしてほしいというだけで。
      • by Anonymous Coward on 2007年05月26日 19時36分 (#1163341)
        すでに延長制度はあります。(条件を満たせば最大5年間まで延長)

        また、成立前の特許侵害であっても、条件を満たせば権利行使できるわけですから
        安易な延長制度を追加すると、特許権の実質的な延長をねらった、特許の成立を遅らせる
        時間稼ぎが横行する可能性があります。
        これは特許権者間の公平を鑑みると、とても良くないことです。駄々をこねた人だけが
        長い特許の保護期間を得ることができるからです。

        そもそも既知の事項や他者の特許を利用(抵触)しない素直な基本特許を書けば、あっさり
        通るはずです。(多分)

        日本の特許制度も完璧ではありませんが、それなりの人々がそれなりに考えて、それなり
        になるように全体を構成しています。
        親コメント
      • >期間がかかるのをすこしでも短く
        これはまだしも、
        >長くなった場合はその分の延長をしてほしい
        これは基本的にまずい。

        つ[キルビー特許]
        親コメント
  • by Anonymous Coward on 2007年05月26日 20時11分 (#1163348)
    第67条 特許権の存続期間は、特許出願の日から20年をもつて終了する。
    つまり出願日からの存続なので、審査が厳格だろうがそうでなかろうが、早かろうが遅かろうが
    存続期間には何の関係ありません。
    (恐らく「設定登録の日からの期間」ということを言いたいのでしょうけど)
    またソースを読むと「存続期間」が日本は「欧米」の半分以下(26%~42%)と表記されてますが、
    そもそも米と欧とでも相当に制度が異なるのにどうやって一緒にしているのやら。
    例えば米に審査請求制度はありませんので、登録後の期間は一番長いでしょうね。

    審査期間の長期化についてはいろいろと批判されるところがあるのは承知ですが、
    こと外国案件、しかもこのあたりの年代のものに関しては
    電子化されてなかったり、翻訳の問題、応答期間の長さ等など
    実体的要件以外の部分で長期化していることが多いです。

    また、早期審査制度(ハイウェイに限らず)を活用すれば
    日本でも相当早く審査されることになりますが
    原文ではどこまで考慮されているのでしょうね。
  • 何を優先するか (スコア:2, 参考になる)

    by shoji12 (14093) on 2007年05月26日 20時42分 (#1163358)
    の違いが出ているのでしょう。
    きっとUSPTOは、早く特許にした方が出願者の利益になる、ひいては自国の利益になると判断しているのでしょう。
    日本特許庁は、出願者の利益よりも自分たちが判断した結果を優先しているのでしょう。
    インターネツトのおかげで、早く特許になった方が、出願者以外の人たちの利益にもなるということを事実として認めている今日この頃です。
  • by Anonymous Coward on 2007年05月26日 19時06分 (#1163332)
    特許を申請してそれが認められるまでの期間やはんだんのバランス感覚が大事なきがする。

    だけどアメリカ特許庁にある「曖昧」でもとおるビジネス特許はきらいだなぁ
  • by Anonymous Coward on 2007年05月26日 19時28分 (#1163339)
    それはないよ。
    成立すれば遡って特許料の請求も出きるしさ。
  • by Anonymous Coward on 2007年05月27日 19時19分 (#1163915)

    研究成果の概要

    オックスフォードジーンテクノロジー(OGT)社とアフィメトリックス社のDNAチップに関する基本特許は、欧米では既に1990年代半ばに付与されており、DNAチップ業界を支配してきました。一方、日本では、DNAチップの発明から18年もの歳月を費やして、近年ようやく両社の特許が成立しました。このため日本における両社の基本特許の存続期間は、欧米に比して半分以下(26%~42%)になっていました。両特許の出願経過の詳細な分析を行ったところ、特許期間の短縮化の主要な原因が、日本特許庁による厳格な審査にあることが判明しました。この厳格な審査により、特許成立までに特許庁と出願人との間で激しい攻防が繰り広げられ、審査期間の長期化と権利範囲の減縮がもたらされていました。


    特許番号書いてくれ。
    でなきゃ胡散臭くて信用できない。

    # 「発明から」じゃなくて「出願から」じゃないのか?
typodupeerror

身近な人の偉大さは半減する -- あるアレゲ人

読み込み中...