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yasuokaの日記: 「活字棒の衝突を防ぐため」説の日本上陸 3

日記 by yasuoka
神戸市立中央図書館で、各務忠方の『誰にも分るタイプライターの構造と使ひ方』(太陽堂書店, 大正13年11月)を読んでいたところ、108ページのところで以下のネタにぶち当たった。

キーの配列に就ては何故アルファベット順に配列されて居らぬかは初學者の誰しも起す疑問であるが、現に使用せられてゐるキーの配置はUnivenrsal又はStandard Keyboardと稱せられて、此配列法は左右双手を相互に迅速に活動し、平均に使用させんが爲めで、之れによつてタイプバーの衝突を比較的に輕減する事が出來、尚ほ又速力の點から云つても最も利益があるのである。

「Univenrsal」って誤植ヒドイな、と思いつつも、大正13年っていえば1924年だぞ。「活字棒の衝突を防ぐため」説としては、たぶん日本では初出なんじゃないだろうか。というのも、私が知る限りでは、QWERTY配列が「活字棒の衝突を防ぐため」という説の最も古い例は、『The Story of the Typewriter 1873-1923』(Herkimer County Historical Society, 1923年)の67ページに出てくる

The truth seems to be that the arrangement of the universal keyboard was mainly influenced by the mechanical difficulties under which Sholes labored. The tendency of the type bars on all the Sholes models was to collide and "stick fast" at the printing point, and it would have been natural for Sholes to resort to any arrangement of the letters which would tend to diminish this trouble.

だったりする。しかもこの文章「The truth seems」とか書いてて、イマイチ自信ナサゲだ。それとも、これ以前の例がどっかに埋もれてて、まだ私が発見できてないだけだろうか?

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  • Current(1949)脚注26に挙げられている

    『The Story of the Typewriter 1873-1923』(Herkimer County Historical Society, 1923年)の67ページ
    より少し前の51 ページのショールズからバロン宛の手紙  [srad.jp]は、タイプバスケット上の隣接タイプバーの干渉の影響をみて「The truth seems」と記述した根拠の一つとはみれないでしょうか?(手紙が真書ならば、、)
    --
    初期TYPE WRITERの活字は 絡んだりしなかったか? 衝突は問題なかったのか? http://slashdot.jp/journal/560336
    • 残念ながら私には、そうは思えません。『The Story of the Typewriter 1873-1923』の51ページに出てくるWalter Jay Barron宛の1872年6月9日付の手紙では、故障が起こった原因を

      I HAVE BEEN WORKING THE MACHINE WITH THE BRASS RING OFF FROM OVER THE TRUNNIONS.
      つまり、軸受側(つまり活字棒の根元)の真鍮製のリングが壊れたことによる、とSholes自身は特定しています。活字棒の衝突などとは書いていません。
      親コメント
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