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凄い気がするけどどうなんだろう。5割回収できなければやらないとか?結局コストパフォーマンスの問題だけでしょう。
この手の海洋富栄養化に関しては,現在国際的な規制の対象となっています.
1990年代から2000年過ぎ頃までにいろいろな実験が行われました.金属イオンが不足している海域での鉄散布やマンガン散布,貧窒素領域での尿素散布などですね.これらはCO2の回収や海産資源の増加などへの影響を調べる小規模実験だったわけですが,2000年代あたりからいくつかのベンチャーが商業化を目指し大規模化しよう,という事を計画し出しました.オーストラリアやフィリピンあたりでは国家レベルで商業化しようという動きもあったかと思います.
ここで問題になるのが,周辺国への悪影響です.そもそも実験回数も少なく影響がはっきりしない部分も多い上に,プランクトンの異常増殖による害(赤潮とか)であるとか,生態系の変化による生息種の変化(とれる魚種が変わったり,生息域が変わったり),といった危惧もありましたし,何より貧栄養域ってのは陸から離れた場所ですから(陸付近は,陸上から様々なミネラル等が流れ込むので元々栄養的にはリッチ),実験や商業化後に悪影響が出ると,その被害を被るのは広い範囲の多数の国になる,という問題があります(自国領内だけで完結しない).そのため実験実施国に対し周辺国から異議が出されるなど,もめる状況も出始めました.#このあたりは,気象制御の歴史に似ています.
そういった流れを経て,この手の海洋散布に関しては,・実験研究レベルの散布は制限.審査あり.・商業レベルの散布は禁止.というのがロンドン条約の枠組み内で決定されています.
まあ,この手の環境エンジニアリングに関しては,今までいろいろやった事の大部分はろくでもない結果になったりしてるので,慎重に行くのは良いことだと個人的には思います.
ここまで南だと、他国の漁場には影響を与えそうもない気がしますが
この手の手法を実際に二酸化炭素固定のために大規模に行おうとするなら、周辺環境への予想外の悪影響が出るリスクの考慮はもちろんとして、そもそもリンや窒素のような元素が堆積物から分離・リサイクルされないと美味しくないような気が。
今回の実験では、炭素と一緒に有用な元素も珪藻に取り込まれているようですが、長期的に見るとリサイクルされる(堆積物からPやNが海中に溶け出す)のでしょうか。
>リンや窒素のような元素が堆積物から分離・リサイクルされないと美味しくないような気が。
恐らく分離はかなり難しいと思います.何せNやPはC共々分子内に取り込まれていますので,それを分離しようとなると結構難しい気が.
今の所Fe等の海洋投入で想定されているのは,濃度の低い硫酸鉄(等)の水溶液をちょろちょろと継続的に垂れ流して,その海域で継続的に藻類を発生させよう,というものです.この場合の利点は,鉄溶液さえ流し続ければ後は手を加えなくて良いというお手軽さなのですが,ここからPやらを回収しようとするとプランクトンの沈降物を回収して何かしないといけない,という事になるので,結構面倒くさい気がします.面積もそれこそ100km四方とか大きいですし.
その場で魚育てて水揚げ,食った残りを……ってやると炭素が海底にあまり行かないんで駄目ですね.どうしたもんだか.
ものすごい長期的にはリサイクルされるんですけどね.海洋に沈降したプランクトンが次第に分解してポリリン酸とかアパタイトになって,それが造山運動(とか沈み込み帯経由)で地上に出てくるという.何億年後だ,って期間になっちゃいますが.#確かリン鉱石の起源がそんな感じだった覚えが.
リンはアホードリかなんかの糞だとも聞いたのですが、特定の島限定ですかね。
お金かけて人工的に散布しなくても、温帯地域なら、河川の水源地域に、木材目的の針葉樹ではなく、広葉樹の落葉樹林を作れば、十分賄えるという話があります。河川の水源地域が金属イオンを吸収しにくい針葉樹ばかりになったので、落ち葉による金属イオンの供給が減ってしまって、磯焼けするというのが、根本問題です。海の環境を改善するには、山の環境を改善する必要があるのです。変な環境破壊もなく、一番自然な方法です。
今回の実験で検討されているのは,そういう「比較的鉄分がある領域」であるとか,「鉄分は少ないけど局所的な領域」では無く,もっと大規模に鉄分が欠乏している,遠洋(大陸から遠く離れた部分)のHigh Nutrient Low Chlorophyll海域と呼ばれる領域です.
こういった領域は,それこそ一辺が1000km単位の広さで鉄分が枯渇しており(南極域なら,南北1000kmで南極大陸一周とかそんな領域),山の環境とかそういうレベルではありません.#何せ近くに山(というか陸)が無い.それが根本的な原因.
日本の沿岸で起こっている鉄分の欠乏などの問題はまあ言ってしまえば局地的な問題で,漁場がいくつか壊滅するかしないか程度の問題なわけですが(もちろん現地の人にとっては大災害ですわな),HNLC海域というのはそれこそ日本の沿岸全てが丸ごと数個分入ってしまうような膨大な鉄欠乏領域です.で,「これだけだだっ広い領域にプランクトンが少ないんだから,ここに鉄流し込めばスゲェプランクトンが増えてありがたいんじゃね?」ってのが今議論している実験です.
オフトピ気味ですが局所的に(東北の1つの湾内で)やってみようと言うプロジェクトはあります。http://www.mori-umi.org/ [mori-umi.org]ヨーロッパ辺りで理論的に可能性があると言う論文が有ったってのをどこかで読んだ(かTVで見た)気がしたのですが元ネタを見つけられませんでした。
日本もやってますよ?ダルマ船ってご存知ないですか
時間と規模と影響を考えてみ?
植物プランクトンにCO2を吸収させるって光合成によるものだと思っていたのだけれど、酸素欠乏状態を引き起こすってことは勘違い?
Wikipediaによると [wikipedia.org]昼は光合成ができるので植物プランクトンが激増、それを食べる動物プランクトンも激増。夜になると光合成ができなくなってあっという間に共倒れ。死骸の有機物の酸化的分解によりさらに酸素が少なくな~る。
小中学校の理科で習っただろ?植物は「呼吸」と「光合成」をしているって。
# 緑豊かな山中で、日の当たらない窪地で窒息死なんてことも
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アレゲはアレゲを呼ぶ -- ある傍観者
一割でも・・・ (スコア:0)
凄い気がするけどどうなんだろう。
5割回収できなければやらないとか?
結局コストパフォーマンスの問題だけでしょう。
Re:一割でも・・・ (スコア:5, 参考になる)
この手の海洋富栄養化に関しては,現在国際的な規制の対象となっています.
1990年代から2000年過ぎ頃までにいろいろな実験が行われました.金属イオンが不足している海域での鉄散布やマンガン散布,貧窒素領域での尿素散布などですね.これらはCO2の回収や海産資源の増加などへの影響を調べる小規模実験だったわけですが,2000年代あたりからいくつかのベンチャーが商業化を目指し大規模化しよう,という事を計画し出しました.オーストラリアやフィリピンあたりでは国家レベルで商業化しようという動きもあったかと思います.
ここで問題になるのが,周辺国への悪影響です.そもそも実験回数も少なく影響がはっきりしない部分も多い上に,プランクトンの異常増殖による害(赤潮とか)であるとか,生態系の変化による生息種の変化(とれる魚種が変わったり,生息域が変わったり),といった危惧もありましたし,何より貧栄養域ってのは陸から離れた場所ですから(陸付近は,陸上から様々なミネラル等が流れ込むので元々栄養的にはリッチ),実験や商業化後に悪影響が出ると,その被害を被るのは広い範囲の多数の国になる,という問題があります(自国領内だけで完結しない).
そのため実験実施国に対し周辺国から異議が出されるなど,もめる状況も出始めました.
#このあたりは,気象制御の歴史に似ています.
そういった流れを経て,この手の海洋散布に関しては,
・実験研究レベルの散布は制限.審査あり.
・商業レベルの散布は禁止.
というのがロンドン条約の枠組み内で決定されています.
まあ,この手の環境エンジニアリングに関しては,今までいろいろやった事の大部分はろくでもない結果になったりしてるので,慎重に行くのは良いことだと個人的には思います.
Re:一割でも・・・ (スコア:5, 参考になる)
これを読むだけでも無駄な煽りコメントが減ると思われますし。
phasonの日記: 南氷洋における海洋肥沃化はかなりの炭素を海底に沈める [srad.jp]
Re:一割でも・・・ (スコア:3)
ここまで南だと、他国の漁場には影響を与えそうもない気がしますが
Re:一割でも・・・ (スコア:2)
この手の手法を実際に二酸化炭素固定のために大規模に行おうとするなら、周辺環境への予想外の悪影響が出るリスクの考慮はもちろんとして、そもそもリンや窒素のような元素が堆積物から分離・リサイクルされないと美味しくないような気が。
今回の実験では、炭素と一緒に有用な元素も珪藻に取り込まれているようですが、長期的に見るとリサイクルされる(堆積物からPやNが海中に溶け出す)のでしょうか。
Re:一割でも・・・ (スコア:5, 参考になる)
>リンや窒素のような元素が堆積物から分離・リサイクルされないと美味しくないような気が。
恐らく分離はかなり難しいと思います.
何せNやPはC共々分子内に取り込まれていますので,それを分離しようとなると結構難しい気が.
今の所Fe等の海洋投入で想定されているのは,濃度の低い硫酸鉄(等)の水溶液をちょろちょろと継続的に垂れ流して,その海域で継続的に藻類を発生させよう,というものです.
この場合の利点は,鉄溶液さえ流し続ければ後は手を加えなくて良いというお手軽さなのですが,ここからPやらを回収しようとするとプランクトンの沈降物を回収して何かしないといけない,という事になるので,結構面倒くさい気がします.面積もそれこそ100km四方とか大きいですし.
その場で魚育てて水揚げ,食った残りを……ってやると炭素が海底にあまり行かないんで駄目ですね.どうしたもんだか.
ものすごい長期的にはリサイクルされるんですけどね.海洋に沈降したプランクトンが次第に分解してポリリン酸とかアパタイトになって,それが造山運動(とか沈み込み帯経由)で地上に出てくるという.何億年後だ,って期間になっちゃいますが.
#確かリン鉱石の起源がそんな感じだった覚えが.
Re:一割でも・・・ (スコア:2)
リンはアホードリかなんかの糞だとも聞いたのですが、特定の島限定ですかね。
新人。プログラマレベルをポケモンで言うと、コラッタぐらい
Re:一割でも・・・ (スコア:2, 参考になる)
お金かけて人工的に散布しなくても、温帯地域なら、河川の水源地域に、木材目的の針葉樹ではなく、広葉樹の落葉樹林を作れば、十分賄えるという話があります。河川の水源地域が金属イオンを吸収しにくい針葉樹ばかりになったので、落ち葉による金属イオンの供給が減ってしまって、磯焼けするというのが、根本問題です。海の環境を改善するには、山の環境を改善する必要があるのです。変な環境破壊もなく、一番自然な方法です。
Re:一割でも・・・ (スコア:4, 参考になる)
今回の実験で検討されているのは,そういう「比較的鉄分がある領域」であるとか,「鉄分は少ないけど局所的な領域」では無く,もっと大規模に鉄分が欠乏している,遠洋(大陸から遠く離れた部分)のHigh Nutrient Low Chlorophyll海域と呼ばれる領域です.
こういった領域は,それこそ一辺が1000km単位の広さで鉄分が枯渇しており(南極域なら,南北1000kmで南極大陸一周とかそんな領域),山の環境とかそういうレベルではありません.
#何せ近くに山(というか陸)が無い.それが根本的な原因.
日本の沿岸で起こっている鉄分の欠乏などの問題はまあ言ってしまえば局地的な問題で,漁場がいくつか壊滅するかしないか程度の問題なわけですが(もちろん現地の人にとっては大災害ですわな),HNLC海域というのはそれこそ日本の沿岸全てが丸ごと数個分入ってしまうような膨大な鉄欠乏領域です.
で,「これだけだだっ広い領域にプランクトンが少ないんだから,ここに鉄流し込めばスゲェプランクトンが増えてありがたいんじゃね?」ってのが今議論している実験です.
Re:一割でも・・・ (スコア:1)
オフトピ気味ですが局所的に(東北の1つの湾内で)やってみようと言うプロジェクトはあります。
http://www.mori-umi.org/ [mori-umi.org]
ヨーロッパ辺りで理論的に可能性があると言う論文が有ったってのをどこかで読んだ(かTVで見た)気がしたのですが
元ネタを見つけられませんでした。
えっ (スコア:0)
日本もやってますよ?ダルマ船ってご存知ないですか
Re: (スコア:0)
時間と規模と影響を考えてみ?
Re: (スコア:0)
植物プランクトンにCO2を吸収させるって光合成によるものだと思っていたのだけれど、
酸素欠乏状態を引き起こすってことは勘違い?
Re:一割でも・・・ (スコア:2)
Wikipediaによると [wikipedia.org]
昼は光合成ができるので植物プランクトンが激増、それを食べる動物プランクトンも激増。
夜になると光合成ができなくなってあっという間に共倒れ。
死骸の有機物の酸化的分解によりさらに酸素が少なくな~る。
Re: (スコア:0)
小中学校の理科で習っただろ?
植物は「呼吸」と「光合成」をしているって。
# 緑豊かな山中で、日の当たらない窪地で窒息死なんてことも