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16055 story

イオンビームによる突然変異で、二酸化窒素浄化能を高めた植物を開発 16

ストーリー by Acanthopanax
窒素肥料 部門より

あるAnonymous Coward 曰く、

読売新聞の記事になっているが、大気汚染物質のひとつである二酸化窒素の吸収能力を従来よりも最大で80%も高めた環境浄化植物の開発に広島大と日本原子力研究開発機構の研究グループが成功したそうだ。(プレスリリース補足説明資料)。壁面緑化に使うヒメイタビというツル植物にイオンビームを照射し、突然変異を起こさせることで、二酸化窒素を吸収・分解する能力が高い株を作ることができたとのこと。

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  • この後が大切 (スコア:2, すばらしい洞察)

    by teratera (19792) on 2007年08月03日 23時40分 (#1200499) 日記

    手当たり次第変異体を作って、たまたま良いものができた……ってだけですね。
    厳しい見方をするならば。

    この後、

    • どうして二酸化窒素処理量が増えたのか
    • 種として環境への影響はあるのか
    などなどの研究が進んだら、使い物になるんじゃないかと。
    • Re:この後が大切 (スコア:2, すばらしい洞察)

      by flutist (16098) on 2007年08月04日 0時02分 (#1200514)
      「使い物」を「実用化」と捉えるならば、そのためには
       ・遺伝子組み換え体に対する安全性の確認方法を確立すること
        (で一般に認知されるよう普及活動を行うこと)
       ・法規制に対する活動
      が不可欠で、いずれも研究者が苦手とする活動がです。おっしゃる「環境への影響」は前者に含まれるかと思います。

      というわけで正直、学術的には充分認められる成果ではあるけども、じゃぁ数年後には例えば路側帯や中央分離帯に配置できるかというと、だれもそれを推進しないだろうなぁ、と思います(しかも、そんなことは一言もプレスリリースにもありませんしね)。
      親コメント
      • Re:この後が大切 (スコア:1, 参考になる)

        by Anonymous Coward on 2007年08月04日 0時45分 (#1200540)

        ご存知だとは思いますが,これは,いわゆる遺伝子組み換え植物ではありません.(放射線などを使って突然変異を促す方法は,通常の品種改良の範囲であり,食料作物などにも普通に使われている方法ですよね)

        # だから安全だと主張するつもりはありません

        ところで, NOx の分解に対する植物の寄与率がどのくらいか,ご存知の方はいらっしゃいませんか? ほとんど分解に寄与していないのならば,それが数割改善しても大気汚染に対する効果は期待できないので,ちょっと気になりました.

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        • Re:この後が大切 (スコア:2, 参考になる)

          by TarZ (28055) on 2007年08月04日 1時19分 (#1200558) 日記
          「分解」という言葉が微妙に違和感あるかも。読売の記事では「分解」とありますが、
          元のプレスリリースでは「分解」とは書かれていませんね。

          排ガス浄化での「NOxの分解」というと、普通は還元触媒によるN2とO2への反応を指すと
          思います。一方、植物の場合はN2への分解ではなくて、有機窒素に変わって自身の養分に
          なります。

          人類が火を使う以前から落雷によってNOxは生まれていて、これは植物の養分になって
          きました。数字はちょっと分かりませんが(年間数千万トンという数字だったか)、
          バカにならない量だと思います。
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        • Re:この後が大切 (スコア:2, 参考になる)

          by SteppingWind (2654) on 2007年08月04日 12時50分 (#1200725)

          窒素固定量についての数値は, こちらのページ [rakuten.co.jp]に載っていました. 元データはテイツ&ザイガー編著「植物生理学」(第3版、培風館、2004刊)だそうです.

          ご存知だとは思いますが,これは,いわゆる遺伝子組み換え植物ではありません.(放射線などを使って突然変異を促す方法は,通常の品種改良の範囲であり,食料作物などにも普通に使われている方法ですよね)

          放射線による突然変異を利用するものとしてはガンマーフィールド [affrc.go.jp]が有名ですね.

          親コメント
    • Re:この後が大切 (スコア:2, 参考になる)

      by electric_goat (19709) on 2007年08月04日 17時30分 (#1200818)

      育種からだけ考えると、目的の品種が出来た時点でプロジェクトは一段落ですけど、理学研究科なので(?)機構解明は行われるんじゃないかと思います、たぶん。

      まあ、個人的には環境に影響がない、と主張するつもりはありませんけども、別物ですが、このようにして作られた園芸品種は既に商品として出回っているようです(例えば花持ちの良い“バーベナ”が誕生 [riken.jp])。このような品種については(もちろん不利になる書き方はしないでしょうけど)イオンビーム育種研究会 [nii.ac.jp]のイオンビーム育種情報のFAQが参考になるかと。

      変異体というと何か遺伝子を導入したものがイメージに浮かぶのかもしれませんが、「手当たり次第変異体を作」って探索することはブラックボックスである生物を解析するために、今でもよく用いられる方法です。概念はこんな感じです。

      1. 生物をブラックボックスと考えて、とりあずランダムにどこかを壊してみる。
      2. 壊していない元の生物(野生株)と、どこだかわからないけどどこか壊れた変異体に任意のインプットを入れてみる。
      3. アウトプットを比較する。
      4. 欲しいアウトプットの変化が見られたものを選ぶ。
      5. どこが壊れたのかを調べる。

      変異体作成にはイオンビームの他にもいろいろな放射線や物質 [wikipedia.org]、あるいはトランスポゾン [wikipedia.org]が使われます。イオンビームは植物育種でしばしば使われるみたいですが、他の生物・分野ではそんなにメジャーではなさそうです。

      特に2-4のステップを指してスクリーニングと言います。たくさん行うので、作業量としては一番大変です。この研究では「約25,000の外植片から得られた約500個体を分析した」そうです。どういう風に500個体にしぼられたのか、この書き方ではちょっとよくわかりませんが、たぶん測定以前に1ステップ別のスクリーニングが入っているんじゃないかと思います。例えば外観や生育上の差異が大きくて、壁面緑化植物として使えない、とか。

      でたらめに壊しているので、どこ(どの遺伝子)が壊れたのかを調べるのはちょと大変ですが、遺伝的組換え [wikipedia.org]をつかってマッピングしていくんだと思います、たぶん。

      解析が進んでホワイトボックスっぽいところもありますが、基本的に生物はまだまだブラックボックスです。

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  • 二酸化窒素ということはディーゼルエンジンで排出されるNOxに入るってことだよね。
    都市の空気浄化に役立つってことになるのかな?
    • Re:NOxだよね (スコア:1, すばらしい洞察)

      by Anonymous Coward on 2007年08月03日 23時46分 (#1200505)
      ディーゼルに限らないってのはちょっと前のストーリー読んでれば分かりそうなものを…
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      • by Anonymous Coward
        全てのストーリーに目を通さなけりゃコメントする資格が無いってこともあるまい。
  • 対象が間違っている (スコア:1, おもしろおかしい)

    by Anonymous Coward on 2007年08月04日 8時06分 (#1200630)
    ここは人間に照射して、NOx耐性の強い変種を作るべきだ。
  • そのかわりに… (スコア:1, おもしろおかしい)

    by Anonymous Coward on 2007年08月04日 12時32分 (#1200715)
    うっかり近づくと、食われます。

    とか、おもろい副作用はついてないのでしょうか?
    そこが残念です。
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コンピュータは旧約聖書の神に似ている、規則は多く、慈悲は無い -- Joseph Campbell

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