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テクノロジー

絶縁体を超電導材料にする手法が開発される 10

ストーリー by hylom
高電圧に耐えられるFETがキモ 部門より

あるAnonymous Coward 曰く、

絶縁体を超電導材料にする手法が東北大で開発された(朝日新聞の記事Nature Materials電子版に掲載の論文概要東北大の発表資料[PDF])。

従来、超伝導効果を持つ物質(超伝導体)は絶縁体に様々な元素を混ぜ合わせることで作っていたが、今回開発された手法は電界効果を利用し、電気的な手法で絶縁体を超伝導体に変えるというものだ。

朝日新聞の記事などによると、今回開発された超伝導体はチタン酸ストロンチウムとプラスチックを使って作った電界効果トランジスタ(FET)のような構造のもので、電極に高電圧を加えながら温度を下げたところ、-272.85℃(0.3K)で超伝導現象が発生し、電気抵抗が無くなるとのこと。

電界効果で超伝導現象を誘起できることは以前から予言されていたものの、今までは高電圧に耐えうる構造のFETがなかったため、実証ができていなかった。今回は高電圧に耐えられるプラスチックを材料に使用することで、この問題を解決できたそうだ。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by phason (22006) <mail@molecularscience.jp> on 2008年10月15日 17時45分 (#1437917) 日記
    >電界効果トランジスタ(FET)のような構造のもので

    FETそのものです.細かく言えばその中でも最近ちょろちょろとやる人が増えてきた電気二重層FET
    というやつになります.
    #FETで超伝導というのは非常によく知られたアイディアで,例のSchönによる捏造論文の
    #元アイディアでもあります.ある種,原理的にはできて当然だったためすんなり受け入れられました.

    そもそもの電気二重層というのは,例えば電解質溶液中に電極を入れ正電圧をかけると,その表面には
    負電荷を持ったイオンが寄ってきて張り付き,オングストロームからナノメートルレベルの距離で
    正負の電荷がペアになった状況となりますが,こういうものを指します.身の回りですと電気二重層
    キャパシタなどが広く使われており,いわばコンデンサの電極間隔がナノメートルになるわけで,
    膨大な電気容量を持ちます.例えば普通の電解コンデンサ(容量がμF)と同じサイズで容量の単位が
    Fだとかそういう感じで,文字通り桁が違います.(電池には及びませんが,かわりに高速応答が可能)

    これと同じ構造を試料表面に作る,つまり電解質と試料が接した状態で試料に電位をかけると表面に
    電解質がくっつき,これの作る局所電場によって界面にキャリアが注入されます.単なるFETと比べて
    有利な点は,非常に近接した距離に多数のイオンが吸着できるため,局所的には通常のFETでかける
    場合に比べて非常に大きな電場をかけることが可能な点です.このため,物質の相を(薄い界面のみ
    とはいえ)絶縁層からかなり大きく離す(通常のFET構造では絶縁破壊が起きてしまいかけられない
    ような大きなゲート電圧をかけることに相当)ことが可能となるわけです.

    また,絶縁相と超伝導相が隣接しているのはよくある話で,新規の超伝導体を探す人たちは大抵
    絶縁体にちょっとだけキャリアをドープ(よくやるのは化学的手法.今回のは電気的手法)して
    超伝導相が出てこないか調べます.大抵の超伝導相はぎりぎり絶縁化するあたりに存在しますので.
    #圧力をかけていくとかドープ量を増やしていくと,絶縁相->超伝導相(大抵狭い)->金属となる.
    #電子が安定しきった金属状態よりも,殺るか殺られるか,そういうぎりぎりの殺伐とした状況が
    #超伝導に向いています.
  • ツンデレ効果 (スコア:3, おもしろおかしい)

    by Anonymous Coward on 2008年10月15日 16時45分 (#1437869)
    電気を通さないお堅い彼女も
    極限状態を経験したら・・・という訳ですね。

    # 絶縁体萌え
  • 参考資料 (スコア:3, 参考になる)

    by prankster (12979) on 2008年10月15日 16時47分 (#1437871)
    プレスリリースWeb版「透明な絶縁体を電界効果で超伝導に [jst.go.jp]」。図入りで解説があるのでリンクされているPDFファイルよりは分かりやすいと思います。
    # そんだけだけど一応IDで。
    • その参考資料は図が良くないですね.
      トランジスタではなくて,ダイオードにしか見えない.
      良い研究の発表をするのなら,広報に使う図にも気をつかってほしい......
  • 超伝導物質の電線というより、素直に超伝導での巨大な電流をスイッチングできるFET(電界効果トランジスタ)になるのかなとも思いましたが、ON・OFFの過渡時に燃えてしまいますね。

    FETのスイッチング時はゲート容量だけでなく過渡時に損失してますから

    大電流で鋭くスイッチしたら凄い電波が出そうだね。
  • by Anonymous Coward on 2008年10月15日 18時47分 (#1437977)
    >電界効果で超伝導現象を誘起できることは以前から予言されていたものの、
    >今までは高電圧に耐えうる構造のFETがなかったため、実証ができていなかった。

    話の筋からは離れるんですけど、「予言されているけど実証されていなかったもの」
    の特許とかどうなっているのでしょうか?

    常温核融合とかバブル核融合関連のような、全然実現していないものでも特許取られていたり
    するのを見ると、もし万一実証されても苦労して実証した人が報われないような…。

    #常温核融合のヨタさは今回の件とは比較になりませんが。
    • by Anonymous Coward
      自然現象は特許になりません。
      実現するための製法は特許になるでしょうけど。
  • by Anonymous Coward on 2008年10月15日 19時50分 (#1438031)
    超電磁ヨーヨーの実用化にメドがたったという事ですか?
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