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宇宙

あかつき投入失敗は酸化剤の逆流が原因 46

タレコミ by zonkerman
zonkerman 曰く、
探査機「あかつき」の金星周回軌道への投入失敗は、主エンジンの燃料系逆流防止バルブが正常に開かなかった故障が原因と既に考えられてきたが、 毎日新聞の記事によれば、エンジンの噴射口で燃料と混ざるはずの酸化剤が、配管の逆流防止弁から何らかの理由で上流側に逆流し、 気化した燃料に触れたことで化学反応を起こしてできた結晶が弁に挟まったことで正常に開かないということにつながったようだ。 6年後の軌道再投入に向けて、とりあえず原因が解明ができたことは喜ばしいことだろう。
この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • JAXAのプレスリリースが発表されています。
    「あかつき」の金星周回軌道投入失敗に係る原因究明と対策について(その3) [www.jaxa.jp]』

    約60ページもあるので概要しか目を通していないのですが、原因究明だけでなく金星周回軌道への再投入についても触れています。

    まず、あかつきのOME(軌道制御エンジン)が破損しているかどうかを確認するための燃焼試験を、今年9月に実施する予定です。
    正常であれば11月に近日点通過の際に軌道修正を行い、2015年11月に金星の周回軌道へ再投入する予定です。
    この場合、当初計画と同じ軌道に乗せることが可能です。

    もし、9月の試験がNGであればOMEの使用を断念して、推力の低いRCS(姿勢制御エンジン)を使用することになります、
    しかしOMEの推力が約500Nなのに対し、RCSは23Nx4と低いため、当初計画と同じ軌道に乗せることは困難です。

    --
    I'm out of my mind, but feel free to leave a comment.
    • by Anonymous Coward on 2011年07月01日 18時00分 (#1980275)

      中々読み応えのある報告書でした。まさか塩だったとは。

      p31より

      案1:OME・RCSとも使用できる場合

      1.近日点マヌーバ
      実施時期:2011年11月or2012年6月頃
      ΔV量:230~300[m/s]程度

      2.金星軌道再投入マヌーバ:(4日軌道)
      実施時期:2015年11月頃(金星再会合)
      ΔV量:280~360[m/s]程度

      3.観測軌道投入(4日軌道から30時間軌道へ)
      実施時期:2015年11月以降,近金点で実施
      ΔV量:200[m/s]程度

      当初計画の観測軌道に投入可能

      案2:OMEを使用できない場合
      姿勢制御エンジン(RCS)によってΔVを行う

      1.酸化剤投棄試験及び酸化剤投棄
      実施時期:(近日点マヌーバ前)

      2.近日点マヌーバ
      実施時期:2011年11月or2012年6月頃
      ΔV量:230~300[m/s]程度

      3.金星軌道再投入マヌーバ:
      実施時期:2015年11月頃(金星再会合)
      ΔV量:280~310[m/s]程度

      案2の方法により達成できるΔV量では,当初予定の観測軌道までは到達できない.

      610/860で良いのかな?。案2の場合どの程度の観測が可能なんだろう。何か一つでも新発見をさせてあげたい。

      #原発事故の関係者はどうしてこの様な報告書を出せないんだろう。

      親コメント
  • by shesee (27226) on 2011年07月01日 19時36分 (#1980327) 日記
    なんて物騒なこと書いてありますね。ノズル噴射試験の際あかつきごと吹き飛ぶ可能性はあるようです。
  • 逆流の原因 (スコア:2, 興味深い)

    by Anonymous Coward on 2011年07月01日 20時15分 (#1980347)

    配管の逆流防止弁から何らかの理由で上流側に逆流し

    報告書によると(P.16)
    > 弁を通過してガスが漏れるメカニズムは,大きく分けて以下の2種類があり,
    > 弁の構造によっては,後者の影響が支配的になる場合がある
    >• 微小な隙間からガスが流れ出す(「リーク」)
    >• 弁シール部の高分子材料の内部をガスが透過する(「透過」)
    ということで、隙間から逆流したのではなく内部を透過したことが原因のようですね。
    そのほか異物の挟み込みの可能性も(可能性は低いながら)否定は出来ないと。
    透過の場合、噴射まで長時間かかる場合には問題になり、低軌道衛星のように打ち上げ後
    短時間のうちに噴射をすませてしまう場合には問題にならない、とも(P.17)。

    • by Anonymous Coward
      汎用品使っておけば実績あって安心、ってのが通じないところで仕事しなきゃいけないのか。
      高い授業料だけど、ちゃんと元は取りますね。
  • by Anonymous Coward on 2011年07月01日 16時47分 (#1980231)

    酸化剤がこんな惨禍を招くなんて!

    • by Anonymous Coward
      嘆くべきは己のセンスの悪さかと
  • by Anonymous Coward on 2011年07月01日 16時51分 (#1980236)

    はやぶさの改良版が搭載されているらしいが、かぐやでも故障があったし
    油断できないね。

    • by Anonymous Coward on 2011年07月02日 2時25分 (#1980548)

      リアクションホイールは日本に限らず、海外でも衛星・探査機のアキレス腱です
      日本よりも遙かに経験が深く、手堅い造りをしているといわれる米国ですら、
      土星探査機カッシーニやハッブル宇宙望遠鏡もミッション中にリアクションホイールが壊れましたが、
      複数基積む冗長性ある設計でやり過ごしていますし、ハッブルに至っては軌道上で交換修理もしました

      リアクションホイールに冗長性を持たせなかったのは日本のはやぶさぐらいなモノで、
      二基破損して窮地に立たされた教訓から、あかつきはXYZの三基+予備1基の構成にしました。
      探査機のボディーであるバスもはやぶさの設計がベースで、万が一リアクションホイールが全損しても
      スピンで姿勢を安定できる設計にしてあるそうです

      親コメント
      • by Anonymous Coward

        そんな重要な部品に、まだ改良の余地があったというのが驚きなわけだが。

        • by Anonymous Coward

          可動部は、機械の弱点ですからね。
          いつか、可動部が全く無い機械が実現されるのだろうか。(cf. 都市と星)

        • by Anonymous Coward
          リアクションホイールとは,いわば高速に回転するコマ(+モータ)ですから,本質的にこわれやすいようです。
          そして宇宙空間(無重力)でしか使い道がないという特殊な部品です。
          (部品というより装置のほうがイメージが近いかも)
          • by Anonymous Coward

            最初からスピン安定でいいんじゃないか?

    • by Anonymous Coward

      「派手に驚くクジラの様な巨漢の芸人」のイメージが頭から離れない。まいう~

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